話題の「おうちモンテッソーリ教育」が身近なもので「世界にはばたく力」を伸ばせる理由
#1 棋士・藤井聡太も幼児期に受けていたモンテッソーリ教育を基本から伝授
2023.03.19
現在、世界110ヵ国以上に存在する、モンテッソーリスクール。近年、棋士・藤井聡太氏も幼児期に受けていたとされ、注目が集まっています。
そんな「モンテッソーリ」をおうちでできるよう、分かりやすく解説した本『0歳からのニューヨーク流 おうちでできるモンテッソーリ教育』が発売。アメリカ・ニューヨークのモンテッソーリスクール校長が教える理論と実践方法が話題です。
今回は、その内容をもとに、「モンテッソーリってどんなもの?」「どんな教育を目指しているの?」など素朴な疑問にお答えします!
モンテッソーリの特徴って?
モンテッソーリ教育の特徴は、子どもの選択を尊重し、ひとりひとりのあらゆる潜在能力を最大限に伸ばせるよう見守る点です。さまざまな特別支援を必要とする子どもを含め、すべての子どもを注意深く見守り、検証し、環境を整えることで、自信と自立心を育てていきます。
整えられた環境があると、子どもは自分で選択できるようになります。目の前の物事を観察し、まねし、かかわりを持ち、計画し、考え、吸収し、自分の世界をしっかりと歩んでいく時間をすごすのです。
モンテッソーリって何を大事にしているの?
モンテッソーリの理念は7つの基本的な考え方に根付いています。
1 子どもの吸収する力はすごいもの。親は熱意を持って話しかけましょう
モンテッソーリ教育の創始者、マリア・モンテッソーリは、子どもは生まれてから3歳まで、無意識の吸収する精神を持つと考えていました。自分の感覚を通して世界の情報を豊富に取り込み、身の回りの環境について基本的な考え方を形成していき、それがその後の人生に影響するという考えです。
3歳以降は意識的な吸収する精神を持ち、随時、意図的に新しい情報を求めていきます。乳児は家庭で使われている言語を無意識に吸収します。4歳の子どもは、本の読み方を学びたいと意識的に思うようになります。
重要なのは、生まれてからの数年間に、触覚、味覚、嗅覚、視覚、聴覚を刺激し、感覚を洗練させる体験です。子どもが話せるようになる前から話しかけ、いろいろなことを共有しましょう。子どもはあなたの声色から多くのことを感じ取り、一緒に楽しもうとするでしょう。
自然の多い公園などに連れていけば、自然界への好奇心を抱くでしょう。美術館へ連れていけば、芸術鑑賞の素地を養えます。乳幼児期の子どもは、見て聞いて触れるものを吸収するだけでなく、それが親子のコミュニケーションの一環となるのです。
2 一歩引いて見守ることで、子どもは自ら進みだす
モンテッソーリは子どもを観察し、与えられた環境のもとでどのように知識や経験を無意識に吸収しているのか、さまざまな原因と結果から解き明かしていきました。
親として子どもに接していると、なかなか客観的に見られないものですが、子どもの発達のためには、親が客観的に観察を続けることが大切です。一歩引いて見守れば、子どもが自ら進む方向を決め、親はそれに合わせて環境を調整できます。
3 子どもが迷わないで選択できるよう、家のなかを整えよう
モンテッソーリ教育の環境を構成する要素は、主に3つあります。部屋と家具の配置、本物の素材、ガイドであるモンテッソーリ教師(または親)です。このうちモンテッソーリ教師には、子どもを観察し、活動を準備して導く役割があります。
教室や家は、子どもが自由に動き回り、すぐに活動できる空間でなければなりません。すべてのものが子どもの視界に入り、手の届くように配置します。家のなかは清潔で、秩序があり、自然の素材や植物が多く、子どもにとっても大人にとっても安全に活動できる場所にしましょう。
4 ある程度の制限のなかで、子どもを自由に探索させよう
子どもは生まれたときから、自分のいる環境を自由に探索することが大切だと、モンテッソーリは考えていました。もちろんなんらかの制限のある自由です。親やモンテッソーリ教師には、子どもの安全のためだけでなく、決められた範囲内にいる安心感を与えるために、この環境を準備する必要があります。
また、運動はとても重要です。乳児はさまざまな種類の布の上で過ごさせて、素材にじかに触れて探索できるようにしましょう。子どもが歩けるようになったら、夢中で遊べるおもちゃなども手に届くスペースに置くと効果的です。あらかじめ決めた範囲内に、成長に合わせた活動のための環境を整えてあげましょう。そこから自ら“選ぶ”という自由が、自己肯定感と自立心を高めます。