「すごい」「えらい」ワンパターン脱出法
一人っ子に限らず、子どもをほめるときについつい使ってしまうのが、「すごい」「えらい」という言葉です。ワンパターンから脱却する方法はあるのでしょうか。
「ワンパターンから脱出するコツは『あります』。同じ言葉を使ってしまうときは、お子さんをよく見て、行為や出来上がったものの良さを具体的に言葉で表現してあげましょう。
そうすると、『うさぎさんのぬいぐるみを、ちゃんとおうちに戻すことができたね(お片付けの場合)』や『葉っぱの色使いがいいね(塗り絵等の場合)』などと言ってあげることができます」(諸富先生)
「具体的にほめるには、子どもの行動を実況中継するように言葉にしてみるとうまくいきます。
小学校のお子さんなら『明日の準備が今日は早くできたね』『プリントも渡してくれるなんて、うれしい!』という具合です。
一人っ子家庭は親子が一対一なので、子どもの行動を丁寧に見てあげられる環境です。ですから、一人っ子というメリットを活かして、具体的に子どもの行動をほめてみてください」(諸富先生)
「すごい」「えらい」は、表面的な言葉になりがちです。しかし、子どもは親が自分にちゃんと関心を寄せていないと、ほめられてもうれしくありません。子どもの行為をよく見て、それを言葉で表現することが大切です。
ほめるなら目を合わせて
「これは一人っ子といわず、きょうだいがいても通じる子育ての基本テクニックではありますが、ほめるときはその場で、子どもの目を見てほめることが大切です。
目を見るために、子どもの視線にまで大人がしゃがんであげるのです。カウンセリングをしていても、ほめ方の上手な方はこの基本テクニックを取り入れて、子どもの自己肯定感を高めています」(諸富先生)
このほめ方は、なにも幼い子どもだけが対象ではありません。小学校高学年の子どもでも、その場で、目の位置を合わせてほめるのが基本です。
「たとえば、数時間前のことを、言葉だけ投げかけられても、子どもはうれしくはありません。そのようなほめ方では、大人でもうれしくはありませんよね」(諸富先生)
大人がうれしさを感じないものは、子どももうれしくないと話す諸富先生。そう考えると、ほめるときは具体的に言葉で表現したほうがいいというコツも納得できますし、その場でアイコンタクトをとって喜びを伝え、共有することが大切ということもわかります。
諸富先生の“ほめるテクニック”、ぜひ参考にしてみてくださいね。
第3回は「一人っ子の叱り方」について紹介します。
梶原 知恵
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。
諸富 祥彦
明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年近いカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。 【主な著書と監修書】 『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版) 『イラストでわかる自己肯定感をのばす育て方』(池田書店) 『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など
明治大学文学部教授。教育学博士。1986年筑波大学人間学類、1992年同大学院博士課程修了。英国イーストアングリア大学、米国トランスパーソナル心理学研究所客員研究員、千葉大学教育学部講師、助教授を経て、現職。40年近いカウンセラーキャリアを持つ。臨床心理士、公認心理師、上級教育カウンセラーでもある。 【主な著書と監修書】 『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版) 『イラストでわかる自己肯定感をのばす育て方』(池田書店) 『思春期の子の育て方』(WAVE出版)など