国語力ゼロ、数学大得意の偏向型ギフテッド。浮きこぼれ男子の自己肯定感の高め方とは?

【コーチング子育て】子どもの個性を見抜き、教えずに導く方法 #4

SoZo株式会社 代表取締役:あつみ ゆりか

IQテストに国語的IQと数学的IQがあるとご存じですか?

我が家には頑張り屋だったけど成績ビリだった長女と万年反抗期の次女がいて、今までの回では、それぞれのコーチング子育てのポイントをご紹介しました。

最後に一番下で今、中学生の長男についてのお話もしたいと思います。

左から長女、次女、あつみゆりか氏、長男、夫
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なんで読み書きできないのかな……。IQを2種類に分けて測定した結果!?

我が家の長男は小学校入学前、まったく字の読み書きができませんでした。長女と次女は保育園で自然に覚えてマスターしていたはずなのに……。しかし最初はあまり深刻にはとらえず「男の子の成長って遅いのかな」とぼんやり思っていたくらい。

一方で、空間把握能力は高く、驚かされることが何度もありました。例えば、保育園時代にはまっていたレゴブロック。図解された英語の説明書を見ながら、宇宙戦艦のような大作をブロックの色も含めて完全に再現してしまう。そんな濃淡がある子でした。

そんな中、小学校1年生でIQを測ったときのこと。平均的なIQが出たことに違和感がありました。ちょうど“平仮名が読めない書けない問題”を抱えていた時期でしたので、思い切って国語的なIQと数学的なIQを分けて調べることができる大学の教育学部まで赴き、調査してもらうことにしたのです。

ちなみにこのIQ、人類の95%が70~130に収まるそう。

長男は検査の結果、国語的IQは75、数学的IQは125だと診断されました。つまり非常に差が激しいということになります。このIQテストは数学的IQを測るときには国語的能力により差が出ないよう、読解・識字認識力などの要素を極力排除してくれます。

問題文は文字と並行して検査員が読み聞かせ、図解による補助もあるのです。つまり、国語的要素を一切排除した状態なら「長男の才能が開花する」ということが証明されたのでした。

のび太くんは実は天才の卵だった!? 偏向型ギフテッドとは

実は日本の学校教育では、この国語的IQが高くないと成績につながらない問題点があります。算数も、社会も、理科も、あるいは図工や体育でさえ、ペーパーテストにおいては国語の読解能力が第一前提にあるからです。

教科書を読み、先生の書いた内容をノートに写す──平均的な能力を持っている子からすれば容易なことですが、国語的IQが低い長男には苦労が絶えませんでした。

加えて、長男は文字を図形のようにとらえているので、人よりも一文字一文字を認識するのに時間がかかるという学習障害の一種である「ディスレクシア」の疑いもあったのです(私はこの学習障害という言い方が好きではないのですが、日本ではそう分類されているようです)。

このディスレクシアの特徴を示す典型的なエピソードが、実は「ドラえもん」に描かれているのをご存じでしょうか?

・おじさんにお礼の手紙を書いたのび太くん
・差出人名を「のび太」にしたか「のび犬」にしたか忘れた
・封書の手紙の中身が見える道具をドラえもんにおねだり
・結果「大」に二つの点を書いてあった(太とも犬とも読める状態)
・「じゃあ、いいや!」と安心するのび太くん


というオチのストーリーです。これが文字を形で捉えている典型的な証拠だというのです。実際、長男も書き初めで「お正月」の文字の「お」の点を書き忘れて提出した、というエピソードがありました(笑)。

昭和時代のできない子どもの典型と描かれていたのび太くんですが、実はそれは国語的IQが低いだけだったのではないか。そしてその裏に、別の優れた能力が隠れていた可能性は十分あったわけです。

ちなみに大人になったのび太くんは、環境保護局の自然調査員、現実世界で言えば国家公務員である環境省の職員になっています。作者がどこまで意図したかはわかりませんが、幼少期からは考えられない成長を遂げていますよね。

私はこれを「偏向型ギフテッド」と呼んでいます。しかし日本教育の中ではまだまだ理解がなされない領域です。事実、最近になって文科省もすべてに秀でたIQが高いギフテッドに加えて、特定分野に秀でた児童の教育についても、ようやく有識者会議を立ち上げたという段階。我が子の成長する速度に、国の取り組みは追いつかないことでしょう。

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