
「子育てしている人」や「日中働いている人」も身近な施設に! 沖縄「繁多川公民館」のスゴい中身
シリーズ「地域をつなぐ みんなで育つ」#3‐2 「繁多川公民館」【2/2】(沖縄県那覇市)
2025.03.09
ライター:太田 美由紀
「危ない井戸はすぐに蓋をしてくれましたし、倒れそうなブロック塀は補強してくださいました。行き止まりの壁がある敷地に住む人は、『壁に穴を開けてみんなが通れるようにすればいいよ』と提案してくれました。
行政主導で防災計画を立て、『お宅の壁に穴を開けてください』とお願いしても、すぐには実現しなかったのではないかと思います。
このエピソードは一つの例ですが、地域の人たちが集まって地域の困りごとを自分たちで調査して、自分ごととして一緒に考えると、自分にできることがあればすぐにでもやりたくなる。そういうことの繰り返しが地域をつくっていくんだと思います」
中高生のボランティア「繁多川公民館おたすけ隊」
子どもたちは、そんな大人のやりとりや行動する姿を見て育ちます。
中高生のボランティア「繁多川公民館おたすけ隊」も大人と対等に意見を述べ、アイデアを出して地域づくりに実際に関わっています。
自治会の依頼でクリスマス会を企画・運営、ガイドボランティア、公民館のもちつき会や高齢者の粗大ゴミを運ぶお手伝いも行います。
多くの地域では、中高生は塾や習いごとに忙しく、このような活動に積極的に参加する人たちは少ないのでは? と疑問を投げかけると、南さんは一つの仕掛けを教えてくれました。
「『おたすけ隊』には、毎年80人前後が手を上げてくれます。エントリーして活動してくれた子には公民館から感謝状やボランティア証明書を学校に出すので、それが評価につながります。
最初はそれらを進学時に使うことを目的としてエントリーする子も当然いますが、大人の話し合いや活動の様子を間近に見たり、自分自身が活動するうちに、やりがいを感じておもしろくなり、繰り返し参加してくれる子、きょうだいや友達を誘ってくれる子もいます。
幼いころから地域の誰かと関わり、自分がやったことで誰かが喜んでくれたなどの実感を持てた子たちは、大人になっても地域でできることはないかなとチャレンジしてくれるようになります。
活動を通して好きなことや得意なことを見つけて、将来の仕事を具体的にイメージするようになっていく子どもたちも多いですね」


