松尾依里佳さん「一日中歌って語り育てた娘は2歳でヴァイオリンが宝物」

ヴァイオリニスト・松尾依里佳さん「私の“音育”」#3 ~子育て編~

頑張りたいときに頑張れるように 健全な身体づくりのための「食育」

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松尾さんは子育てのうえで、「音育」のほかに「食育」にも力を入れていると話します。

「本人が頑張りたいと思ったときに頑張れるための土台を作ってあげたいので、まずは健全な身体づくりを第一に考えています。タフな子に育ってほしいですね。音楽や読み聞かせばっかりにならないように気をつけたいな、と思っているところです。

母が、私の運動神経を良くしてあげられなかったことが心残りだと言うんですよ(笑)。親って欲張りなもので、自分の弱点を子どもには得意にさせてあげたいと思っちゃうんですよね。外遊びをさせて自由に走りまわるという、全身を使って遊んで楽しむ時間を大切にしています。主人は部活でスポーツに励んできたので、身体づくりについてはまかせているんです。栄養バランスや食生活の管理など食事に関することは私が実践する代わりに、運動の分野は主人が担当して、お互いの得意分野を持ち寄ることで子どもの成長をサポートしていますね。

そのためにも、好き嫌いのない子に育ってほしいという想いがあって、食育にはこだわっています。離乳食のときから野菜も大好きで、自分で台を持ってきて冷蔵庫を開けて『これ食べたい』ってアスパラガスを出してきたりするんですよ。ピーラーの皮むきも自分でやる、と言ってきかなくて、しまいには生で『このまま食べる』と言い出して(笑)。乳児の頃、離乳食を『おいしいねぇ、おいしいねぇ!』と“おいしい”の押し売りをするかのように食べさせていたからかもしれません(笑)」

音育、食育と同じくらい、松尾さんが大切にしているのが「読み聞かせ」。なかには100回以上、読み聞かせた絵本もあるといいます。

「娘が1歳の頃に発売された『イヌと友だちのバイオリン』は本屋でたまたま見つけたのですが、読み聞かせすると娘がとても喜んだので、この本だけでも100回くらい読み聞かせしました。楽しいときも悲しいときも、いつも一緒に過ごしてきたヴァイオリン弾きのヘクターとイヌのヒューゴがヴァイオリンを通じてお互いを想う気持ちを確かめ合うような、心あたたまるお話です。音を通して心を通わせる様子が描かれていて、娘の心にも響いているようでした」

『イヌと友だちのバイオリン』(作:デイビッド・リッチフィールド、訳:俵万智/ポプラせかいの絵本)

また「音楽」を子どもの目線でも理解できるよう、わかりやすく説明した絵本もおすすめだと紹介してくれました。

「結婚したばかりの頃に本屋で見つけて将来子どもに読んであげたいと思い購入したのが『アバドのたのしい音楽会』です。世界的指揮者のクラウディオ・アバドがどのように音楽と出会って、触れ合ってきたかというストーリーと、オーケストラのさまざまな楽器や演奏形態などの説明が、かわいい絵とともに書かれています。娘にも、0歳のときから幼い子でもわかりやすい前半部分を読み聞かせしています。

蓄音機から楽器を手にした小さな人たちが出てきた夢のお話や、オーケストラの音をアバドが子どもの頃にどんなふうに感じたかなどが書かれていて、親の私自身も読み聞かせしながら楽しんでいます。娘がもっと興味を示すようになれば、指揮者の仕事や曲の形式のことを書いた後半部分も読み進められたらと、今から楽しみです」

『アバドのたのしい音楽会』(作:クラウディオ・アバド、絵:パオロ・カルドニ、訳:石井勇、末松多寿子/評論社)

ヴァイオリニストとしてだけでなく、クイズ番組や情報番組での活躍もめざましく、まさに才色兼備なイメージの松尾さん。受験勉強の話からは集中力が高く戦略的な性格なのが伺えましたが、いまは毎日お子さまの予測不能な行動に振り回されている、と笑う姿が印象的でした。

「娘がダダをこねて、『もうやめた!』『きらい!』とすぐに投げ出すこともしばしば。『ママはだいすきよ~』と言ったりして、探りながら日々接しているところです」。  写真:小林岳夫

取材・文/柳未央(シーアール)


※松尾依里佳さんインタビューは全3回です。
【第2回】「道なき道」の先にあった夢のステージと人生の転機
【第1回】母譲りの“超ポジティブ思考”が実現させた「京大現役合格」

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まつお えりか

松尾 依里佳

ヴァイオリニスト・タレント

ヴァイオリニスト、タレント。大阪府出身。1984年1月14日生まれ。4歳よりヴァイオリンを始め、これまでに工藤千博氏に師事。2004年、京都大学在学中にステージデビューをし、これまでにさまざまな演奏活動を行う。2008年7月10日にファーストミニアルバム『First Gate』をリリース。以後、タレントやコメンテーターなど幅広く活躍。報道番組「キャスト」(朝日放送)テーマ曲「Unlimited View」や、東日本大震災を受けて作曲された楽曲「Color of Still ~祈り~」など、計4曲を収録したマキシシングル「Unlimited」発売中。

ヴァイオリニスト、タレント。大阪府出身。1984年1月14日生まれ。4歳よりヴァイオリンを始め、これまでに工藤千博氏に師事。2004年、京都大学在学中にステージデビューをし、これまでにさまざまな演奏活動を行う。2008年7月10日にファーストミニアルバム『First Gate』をリリース。以後、タレントやコメンテーターなど幅広く活躍。報道番組「キャスト」(朝日放送)テーマ曲「Unlimited View」や、東日本大震災を受けて作曲された楽曲「Color of Still ~祈り~」など、計4曲を収録したマキシシングル「Unlimited」発売中。