【発達障害】「計算が苦手?」実は「算数障害」だった…不登校・二次障害を乗り越える親の向き合い方

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優等生に育てるはずが……はじまりは不登校だった

▲我が子の不登校の背景には、もっと深い困りごとが隠れていた(写真はイメージです:アフロ)
▲我が子の不登校の背景には、もっと深い困りごとが隠れていた(写真はイメージです:アフロ)​
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水木さんのお子さんは、小学校高学年のときに初めて学校へ行けなくなりました。当時、水木さん夫妻はその理由を「自分たちの子育てのせい」と受け止めていたといいます。

「親としては、勉強もスポーツも頑張ってほしいという気持ちはありました。厳しくしたつもりはありませんが、『できれば優等生でいてほしい』という親の期待を込めすぎた声かけをしてしまっていたかもしれません」

当時は、算数障害はもちろんのこと、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD、学習障害(LD)といった発達障害の可能性はまったく頭になかったといいます。

「子どもに合わない関わり方をしていたのかもしれない」。そう考えた水木さんは、夫婦で話し合い、子育ての軸を「親の価値観」から「子ども主体」へと大きく切り替えました。

学校のサポートにも助けられ、子どもは半年以上の欠席のあと再び登校を始めます。

しかし、それで本当の問題が解決したわけではありませんでした。後になって、もっと深い困りごとが隠れていたことが明らかになるのです。

受診・診断と二次障害

子どもは中学校でも再び学校へ行けなくなり、そのまま不登校に。

保健室登校や教育相談など、できることを一つひとつ試しましたが、どれも解決には至りませんでした。

修学旅行や卒業式などの行事も欠席。卒業証書は、校長室で受け取りました。先生やスクールカウンセラーなど、誰にも発達障害と指摘されることなく中学時代を終えました。


当時、水木さんはデザイナーとして独立し、事務所を構えていました。妻と二人で子どもの様子を見守り、落ち着いたのを確認してから仕事へ向かう。そんな緊張感のある日々が続いていたといいます。

「振り返ってみると、本人は中学校特有の“スクールカースト”や空気を読んで人間関係をつくる環境に、疲れを感じていたのではないかと思います。『周りと同じような普通の子でいてほしい』という親の願いも、結果として本人を追いつめていたのかもしれません」

子どもは精神的に不安定になり、家庭内でも気持ちを激しくぶつける行動が見られるように。水木さん夫妻はその姿を見て、「これは単なる不登校では説明がつかないのでは」と感じるようになりました。

▲気持ちの浮き沈みや問題行動は、発達障害による困りごとを抱えて起こる「二次障害」が原因だった…(写真はイメージです:アフロ)
▲気持ちの浮き沈みや問題行動は、発達障害による困りごとを抱えて起こる「二次障害」が原因だった…(写真はイメージです:アフロ)

その後、子ども本人の希望もあり医療機関を受診。そこで伝えられたのは、ASD(自閉スペクトラム症)とADHD、そして算数障害という診断でした。

気持ちの浮き沈みや問題行動が見られたのも、ASDやADHDに伴う二次障害と考えられます。

二次障害とは、発達障害のある子どもが、学習や生活上の困難によって心理的・行動的な不調を起こしてしまう状態を指します。

「ASDやADHDについては本を読んで知っていましたが、いざ診断を受けると、やはりショックでしたね。算数障害に至っては、初めて耳にする言葉でした」

千円札も1万円札も同じ!?

しかし冷静に考えてみると、水木さんには思い当たることもありました。

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