【発達障害・グレーゾーンの子】正しい「ほめ方」はこれ 名前を呼んで具体的に
なんとなく「ほめる」はNG! 子どもをほめるときは「目を見て」「望ましい行動」を付け加える
2023.10.11
偶然できたことはほめない
──では「ほめる」種を見つけたらすぐ「ほめる」を実践してみたいと思います。ほめられることが多いほど、自己肯定感が上がるように思うので、なるべく日常的にほめることを心がけたほうがいいですよね?
小嶋先生:それが、一概にほめればいいというわけではないんです。偶然起きたことは「ほめない」ことも大事です。
例えば、廊下で子どもたちが楽しくおしゃべりしている場合、「元気な声でいいねえ!」などとほめてしまうことがあります。大人は「たまたま目の前で起きていること」をほめる場合がありますが、子どもの偶発的な行動は、「ほめない」ことをおすすめします。「元気な声」をほめられた子どもは、〈元気な声を出せばほめられるんだ!〉と誤学習して、その後、どこでも大声で話すようになるかもしれません。そうなっては困りものです。
子どもを「ほめる」のは、その子が「望ましい行動」をしたときです。とくに、その子が意識してできたときや、大人が教えたスキルをうまく発揮できているときです。偶発的な行動をほめる場合は、それが「次もしてほしい行動かどうか」をよく考えて、その行動を強調してほめてください。たとえば子どもが廊下を静かに歩いていたら、「○○くんが廊下を静かに歩いていて、先生とっても気分がいいよ」とほめるのはOKです。廊下はいつも静かに歩いてほしいですからね。
「ほめる」のは、子どもの望ましい行動を強化する「手段」です。ほめること自体を「目標」にして、偶発的な行動をどんどん評価してしまうと、誤学習が生じやすくなるので注意してください。
──今回は、発達特性のある子どもを伸ばすことができる「ほめ方」のコツを小嶋悠紀先生に教えていただきました。次回は、小嶋先生にすぐ反抗してしまう子に効果的なスキルをうかがいます。目からウロコの「他人事メソッド」は必見です。
取材・文/佐々木 奈々子
小嶋 悠紀(こじま ゆうき)
1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元・小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)など。2023年3月9日に新著『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)が刊行。
■今回ご紹介の書籍はこちら
教えたいことが確実に届く! 子どもが変わる! 成長する! これまで2000人を超える人の支援に関わってきた特別支援教育のエキスパートが送る「支援スキルの大全集」。
イライラ、パニック、暴言・暴力など、解決の難しい問題にも効果あり。多くの発達障害・グレーゾーンの人と関わるなかで磨き上げられた、子どもたちへの「声のかけ方」「接し方」、そしてアセスメントの方法を100集めました。
小嶋 悠紀
1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元・小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)など。2023年3月9日に『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)を刊行。
1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元・小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)など。2023年3月9日に『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)を刊行。