【発達障害・グレーゾーンの子】反抗的な態度や乱暴な言葉には驚きの「他人事メソッド」で
特別支援教育のエキスパートが教える「他人事メソッド」と「ど言葉」がヒートアップしがちな親子関係を救う
2023.10.12
効果的な対応はほかにも
──反抗的な行動には「他人事メソッド」「ど言葉」など冷静に対応することが大事なのですね。ただ、子どもの乱暴な言葉は、親としては気になるもの。こうした言葉を使う子どもに効果的な方法はありますか。
小嶋先生:授業が終わって近づいてきた子どもが、急に「死ね死ね!」と言ってきたことがありました。なぜ「死ね」と言うに至ったのか、原因はわかりません。ふつうなら「そんな言葉を使うのはやめなさい!」と𠮟る場面ですが、それではカウンターの応酬が始まる可能性もありました。
ですので私は、あえて肯定的な言葉を返すことにしました。「死ね死ね!」と言った子を、次のようにほめたのです。
「友達に言っちゃいそうなところを、先生に言ったところがえらい!」
すると、反応が意外だったので、子どもは面食らってキョトンとします。その瞬間、怒りが途切れますが、そこがチャンスです。すかさず「どうしたのか教えてくれる?」と問い、穏やかな会話へと導くことができました。
類似の方法としてユーモアで返す方法も覚えておいてください。以前、授業中すぐ「飽きた!」と言いだす、こだわりの強い子を担当していたことがあります。あるとき、また「飽きた!」が出たのですが、私はこう返しました。
「う~ん、どちらかというと『青森』かな」
「飽きた」を県名(秋田)に見立ててダジャレで応じたわけですが、子どもが大笑いして気持ちが切り替わり、落ち着いて次の学習に向かうことができました。子どもの感情に大人が巻き込まれないようにすれば、こんな対応もできるのです。
──3回にわたって、発達障害・発達特性のある子どもを伸ばす接し方や声かけの方法について、小嶋悠紀先生に教えていただきました。小嶋先生のメソッドは、「発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル」にくわしく掲載されています。
取材・文/佐々木 奈々子
小嶋 悠紀(こじま ゆうき)
1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元・小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)など。2023年3月9日に新著『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)が刊行。
■今回ご紹介の書籍はこちら
教えたいことが確実に届く! 子どもが変わる! 成長する! これまで2000人を超える人の支援に関わってきた特別支援教育のエキスパートが送る「支援スキルの大全集」。
イライラ、パニック、暴言・暴力など、解決の難しい問題にも効果あり。多くの発達障害・グレーゾーンの人と関わるなかで磨き上げられた、子どもたちへの「声のかけ方」「接し方」、そしてアセスメントの方法を100集めました。
小嶋 悠紀
1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元・小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)など。2023年3月9日に『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)を刊行。
1982年生まれ、株式会社RIDGE SPECIAL EDUCATION WORKS代表取締役、発達支援コンサルタント、元・小学校教諭。信州大学教育学部在学中に発達障害がある人を支援する団体を立ち上げ、代表を務める。卒業後は長野県内で教員を務めながら、特別支援教育の技術などをテーマに全国で講演を実施。県の保育士等キャリアアップ研修や、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校の養護教諭むけの研修なども担当する。直接の指導や支援会議への参加を通じてこれまで2000人をこえる子どもの支援に関わり、センサリーツール「ふみおくん」の開発にも携わった。おもな著作に『発達障がいの子供を教えてほめるトレーニングBOOK』『小嶋悠紀の特別支援教育 究極の指導システム1』(教育技術研究所)など。2023年3月9日に『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル』(講談社)を刊行。