子どもの脳の発達は3段階 早期教育や幼少期の習い事より大切な「からだの脳」の育て方を脳科学者が解説
子どもが健やかに育つための「脳育て」のノウハウを発達脳科学者が解説
2024.08.27
「発達障害」といわれる子どもが急激に増えている昨今、小児科医で発達脳科学者の成田奈緒子先生は、そのなかには「発達障害」ではないのに、「発達障害」と疑われている子どももいるのではないかと指摘しています。監修書籍『子どもが「発達障害」と疑われたときに読む本』から抜粋し、全3回にわたり、その内容をご紹介します。
生活習慣の見直しで、「発達障害」のような症状が改善する可能性があるということを説明した第1回に続き、第2回の今回は、発達障害を疑われる子どもは、脳を育てる順序が間違っているのかもしれない、という成田先生の考察から、子どもが健やかに育つための「脳育て」についてうかがいました。
全3回の第2回
第1回を読む
第3回を読む(公開日までリンク無効)
脳は3段階で育つ
脳は人間が生きていくのに必要な機能の大部分を担っています。ですから、子どもを育てることは脳を育てることであり、子育てイコール脳育てといえるでしょう。
脳は大きくみて、3段階で育っていきます。これを「からだの脳」、「おりこうさんの脳」、「こころの脳」とよぶことにします。育っていくのは順番があり、からだの脳からです。脳育てを家づくりにたとえて考えてみましょう。
脳を順番に育ててバランスを整える
まずは土台となる1階「からだの脳」を育てることが大切です。眠る、食べる、命を守る力を育てる前に、お勉強ができるようになることを求めていないでしょうか。
睡眠時間が足りない、朝ごはんを食べないなど、からだの脳が育っていないのは、1階が中途半端にしかできていないようなもの。家の土台としては弱く小さくなってしまいます。
からだの脳は、生きていくための機能(睡眠と覚醒、生命の維持、運動、本能的な情動)がそなわっている部位です。わが子は寝たり起きたり食べたりしているので、からだの脳は育っていると思うかもしれません。けれど、おなかがすいて食べていますか。十分に眠ってしっかり起きていますか。「食事や睡眠がとれない」といった悩みや「発達障害」のような症状があるなら、からだの脳が育っていないかもしれません。
第1回で紹介したように、生活リズムを整えることが大切です。「からだの脳」は、本来なら0~5歳で育つところですが、「生活改善」に取り組めば、何歳からでも育て直すことができます。