子育て中は、日々、悩みや困りごとがありますね。そこで、「モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所」所長で、たくさんのお母さま、お父さまの相談にのってこられた田中昌子先生にお話をお伺いしました。ちょっとした工夫で、子どもたちに大きな変化が起こるモンテッソーリの考え方は、目からうろこが落ちることがいっぱいです。子育て中の人、必読です!
※この記事は、講談社絵本通信掲載の企画を再構成したものです。
4歳の子どもがすぐに癇癪を起こします。どうしたらいいでしょうか?
4歳2ヵ月の男の子です。すぐに癇癪(かんしゃく)を起こして物を投げたり、床の上で激しく暴れて泣き続けたりします。友だちを叩いたり、自分の頭を壁や床に打ちつけたりすることもあります。
どう対応したらいいでしょうか。
4歳過ぎると体も大きくなり、力も強くなってきますから、親御さんも対処にほとほと困ってしまいますね。1、2歳ならともかく、4歳にもなってと、余計に腹立たしくなるでしょう。よくわかります。
では、なぜ子どもはそんな行動を取るのでしょうか。
モンテッソーリは、大人にとって困った行動を取り続ける子どもは、心が満足していない状態にある、と考えていました。これを「精神的な飢え」と呼んでいます。子ども自身も、とても苦しんでいるというのです。
そんな状態のときに、大人が「物を投げないで!」「お友だちを叩いちゃダメ!」と叫んで、無理にやめさせても、真の解決には至りません。
子どもの気持ちを受け止める
では、どうしたらいいのでしょうか。
まずは「そう、わかった」と、子どもの気持ちを受け止めます。このひとことが大切です。同時にぎゅっと抱きしめてあげるなど、スキンシップもしてみましょう。
子どもが小さい頃は、たくさんスキンシップをしていたと思います。でも、3歳を過ぎると急に減ってしまうもの。そのため、3歳から6歳の「幼児後期」の子どもたちは、さびしい想いをしていることがあります。もしも下に弟や妹がいるならば、なおさらです。
ですから、まずは、「○○君くん(ちゃん)は、これがいやだったのね」と主語を明確にして気持ちを代弁してあげましょう。幼児は、自分の想いをうまく言葉で表現できないことがあり、自分でも腹立たしくなっていることがあるからです。
子どもの気持ちをしっかり受け止めてから、「今度から、こうしてほしいと言葉で伝えてくれると、お母さんはよくわかってうれしいな」と伝えてみましょう。
3歳以降は論理的な思考が少しずつ育つ時期ですし、相手に共感することもだんだんできるようになります。すぐにはうまくいかなくても、時間をかけて向き合うことが大切です。
ただし、これはあくまでも対症療法に過ぎません。「精神的な飢え」を満足させ、心を育てる方法をモンテッソーリに学びましょう。
おすすめは、手を使う作業
おすすめしたいのは、手を使う作業です。といっても、難しい内容ではありません。
たとえば、子どもは母親と一緒に家事をすることが大好きです。「ごっこ遊び」ではなく、本物を使うことに魅力を感じています。実際、モンテッソーリ教育では、1歳児から、本当の家事に参加させています。でも、いきなり包丁を持たせるなんて無理、と思われることでしょう。