「4歳の子どもがすぐに癇癪を起こします」 子育て相談 モンテッソーリで考えよう!

第1回

モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長:田中 昌子

最初はバターナイフで、バナナや、ゆでた人参を切ることから始めます。少しずつステップアップしていけば、4、5歳には一人でメニューをこなすくらいになります。

玉ねぎの皮むき 1歳3ヵ月
バナナを切る 2歳5ヵ月
お米とぎ 4歳
お好み焼きを焼く 4歳9ヵ月

ポイントは、おもちゃではない本物、でも子どもが使いやすい、小さなサイズの道具を揃えることです。魅力的にみえるよう環境をしっかり整えると、子どもは意欲的になります。

モンテッソーリ教育では子どもの活動を「お仕事」と呼びますが、子どもたちは本当にお仕事が大好きで、報酬を求めず、真剣に集中して取り組みます。まずは危険がないことから、少しずつでもさせてみてください。

こうしたお仕事をすることで、手は物を投げたり、お友だちを叩いたりするためにあるのではなく、役に立つことや人に喜ばれることをするためにあることを、子どもは学んでいくのです。

「やってみる?」と誘いかける

力がありあまっているようでしたら、細かい作業よりも全身を使ったお仕事がおすすめです。大きな窓を磨く、長い廊下を雑巾がけする、少し重い物を移動する、穴を掘るなどです。

すぐ終わってしまうものではなく、ある程度長い時間がかる内容の方が集中して取り組み、達成感があります。
そして、どのお仕事も準備を整えてやり方を伝えたら、強制するのではなく、「やってみる?」と誘いかけてみましょう。

幼児後期までこうした経験がない子どもは、最初はめんどくさがったり、うまくいかなくて投げ出したりすることも少なくありません。

しかし、繰り返すうちに、あるとき一心不乱に取り組むことがあります。そうしたら何があっても見守りましょう。ほめたり口出ししたりすると、集中を邪魔してしまいます。

そのうちに子どもは満足して自分からやめます。そのときこそ心が育ち、あの困っていた状態が、不思議と消え失せてしまうものです。穏やかで落ち着いた子どもが現れてくることでしょう。

子どもはテレビやパソコンといった平面やバーチャルの世界ではなく、具体の世界で手と五感を十分に使う実体験によって、自分の心を自分で育てていくのです。ぜひご一緒に家事を楽しむことから始めてみてくださいね。


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『幼児期には2度チャンスがある』(著:相良敦子)

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たなか まさこ

田中 昌子

Masako Tanaka
モンテッソーリで子育て支援 エンジェルズハウス研究所所長

上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。  

上智大学文学部卒。2女の母。日本航空株式会社勤務後、日本モンテッソーリ教育綜合研究所教師養成通信教育講座卒。同研究所認定資格取得。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター卒。国際モンテッソーリ教師ディプロマ取得。2003年よりIT勉強会「てんしのおうち」主宰。著書に『モンテッソーリで解決! 子育ての悩みに今すぐ役立つQ&A68』(講談社)、モンテッソーリ教育の第一人者、相良敦子氏との共著に『お母さんの工夫モンテッソーリ教育を手がかりとして』(文藝春秋)など多数。