「いちばん大変なとき」に、一緒にいる意味
「子どもが生まれてから育休を取る前、夫は数ヵ月間、在宅勤務をしていました。ですが育休とは、全然違いました」(いっちーさん)
フリーランスで動画クリエイター・いっちーさんと、リモートワークの多いIT系企業に勤める夫のAさん。関東地方でフルタイム共働きをする二人に赤ちゃんが生まれたのは、2025年3月のことでした。
子どもが保育園に入るまで、なるべく長い時間を一緒に過ごしたい──そんな思いから、Aさんは「産後パパ育休(※)」の28日間(2週間×2回)の他、長めの3ヵ月の育休を取得しようと願っていました。
(注:「産後パパ育休」産後8週間以内に4週間(28日)を限度として2回に分けて取得できる休業。1歳までの育児休業とは別に取得できる制度)
二人で話し合った取得のタイミングは、産後3ヵ月後から。家の引っ越しや、夫婦の実家からのサポートを考えてのことです。
この判断の背景には、それまでもAさんがリモートワークで多く家にいて、家事を分担してきた経緯もありました。
「妻は動画の撮影やイベントで出張が多いので、同棲中から、家に多くいる私が家事をしていました。その延長線上で、子どもが生まれてからもできるだろう、と考えていましたが……」(Aさん)
想像以上にハードな新生児期
実際にやってみると、在宅で働きながらの家事育児は、想像以上にハード。また、仕事中のAさんは「家にいるのに、一緒に育児できない」状態で、いっちーさんの孤独感は、逆に深まってしまったと言います。
「子どものかわいい瞬間や、育児のむずかしさ、気づき。それをその場で夫と共有するのと、私が一人で体験してあとから報告するのでは、心理的な負担が全く違ったんです。退院後は、実家にお世話になっているタイミングもありましたが、育児では、夫以外の人とは分かち合えないことが、たくさんありました」(いっちーさん)
Aさんは日中に仕事をしているので、基本的にはいっちーさん一人で、赤ちゃんのお世話を担当。3時間以上連続して眠れない日が続き、産後のダメージから回復しきれないまま、どんどん疲弊していきました。
「睡眠不足と、日中に大人と話せない孤独感が重なって、子供のかわいさを堪能したり浸る余裕すらない日もありました。体の変化にもついていけず、あまりのしんどさに勝手に涙が出たり……分からないことや不安も多く、日々戦いでした」(いっちーさん)
そんなワンオペ期間を乗り越えて、ようやくAさんの育休が始まりました。そこでAさんが痛感したのは、「一緒に経験することの大切さ」でした。
「初めての子育ては、右も左もわからないことだらけで、一番大変なときです。そのときだからこそ、一緒に経験・共有しなければ、分からないことがあるんだ、と。赤ちゃんには毎日必ず、何かしらの変化や成長があります。それを、一緒に見届けること。育休の意味は、そこにあるんだと思いました」(Aさん)
また夫が育休に入れば、赤ちゃんの夜のお世話も頼れる……と思いきや、そうはいかない現実に直面します。それはAさんの睡眠でした。
「夜、子どもの泣き声でも全く起きないくらい、深い睡眠に入ってしまうんです。赤ちゃんが多く夜中に起きる期間に、私がワンオペで夜の担当だったら、やばかったなと」(Aさん)
夜に起きられない分、Aさんは日中の育児を多めにして、いっちーさんが休める時間を確保。二人の分担を調整することで、母親の睡眠不足や精神状態の悪化を、父親育休の間に回復することができました。
成功のカギは育休前の準備と話し合い
育休を取得するにあたり、いっちーさんご夫妻が大切に考えていたのが、仕事の調整です。
特に自営業(フリーランス)のいっちーさんが、産休期間に収入を絶やさないよう、綿密に準備をしたと言います。




































