難関中学で「食」の入試問題が増えた2つの理由 「受験食事」の専門家が「万能な食事」を解説
【子どもの学力を伸ばしたければ子どもに料理をさせなさい #1】朝ごはんと味噌汁が「最強の食材」の理由
2024.08.27
子どもでも簡単に作ることができる味噌汁
朝ごはんはパンと飲み物、果物で軽く済ませていた家庭だと、朝の味噌汁作りはハードルが高いかもしれません。そこで、親にとっては時短になり、子ども自ら味噌汁作りができるようになるとっておきの秘策が、表さんが紹介している「味噌玉」です。
好きな具材と味噌を丸めて保存しておけば、いつでも手軽に味噌汁が楽しめます。味噌玉作りは、お手伝いというよりも遊びの延長で取り組めて、指先を動かすことが脳に刺激を与えます。食に興味を持つきっかけにもなるので、子どもと一緒に楽しみながら作ってみると良いでしょう。
「味噌玉」のレシピ
【材料】(1人分)
味噌 小さじ2
だし 下記からどれか一つ
かつお節粉末 小さじ1
とろろ昆布 ひとつまみ
干ししいたけ(細かく砕く) 1/4個
乾物 好みのもの(乾燥青ねぎ・高野豆腐・乾燥桜えび・ちりめんじゃこ・乾燥わかめ・乾燥えのき・乾燥ほうれん草・切り干し大根など)1~2つまみ
トッピング (黒いりごま・白いりごま・青のり・梅干しふりかけ)適量
【作り方】(1個分)
①だしとなるかつお節粉末、とろろ昆布、干ししいたけのいずれかを味噌と混ぜ合わせる(ゴムベラやスプーンを使って均一になるまで混ぜる)。
② 好みの乾物を1~2つまみ程度入れて丸める。乾物を多く入れすぎると、仕上げのトッピングがきれいにつかないので注意。
③ 1個につきトッピング大さじ1程度を保存容器などに入れ、味噌玉を入れて転がしながらまぶす。子どもが作るときは容器のふたをして転がすとこぼれず安心。
料理を手伝う子どもほど頭が良くなる!?
受験先の学校の先生は、子どもの様子を見れば家庭がわかるといいます。料理の手伝い経験が少ない子は言われて始めて動くような感じで、行動も受動的です。
その一方で、よく手伝いをする子は周りをよく見ており、自分がいま何をすれば良いかを感じ取り、その場に合わせて柔軟に振る舞うことができます。受動的と能動的、相反する行動は子どもの性格として片づけられず、家庭の教育方針を映し出しています。
また、料理経験のある子どもには、うまくいかないことがあってもどうしたら失敗せずに効率よくできるか、粘り強く考える力が育まれていきます。
そのため、もしこれまで我が子に料理の経験をさせていないなら、ぜひやらせるべきです。手伝いはプチトマトのヘタを取るような簡単なことから始め、子どもが意欲的に楽しんで取り組めるよう、ゆっくり難易度を上げていきしましょう。どんなことからでも生活に必要な知識や経験が得られ、さまざまなことに興味を持って自分で考えようとする力がつくはずです。
さらに、親の接し方も大切です。もし子どもが失敗したとしても、親ががっかりしたり𠮟ったりすれば逆効果。子どもはやる気を失い、「もうやめておこう」「どうせやっても失敗する」と思って伸びる機会を逃します。
「失敗した」「ショック」という子どものマイナスな感情には共感して、次はどうすれば良いか一緒に考えてあげましょう。一緒に遊んであげられる時間が限られた親御さんほど、かけがえのない時間と心得て子どもに付き合ってあげてください。失敗を恐れずに次の挑戦へと立ち向かっていく土台は、手伝いを通して育めます。
次回は、食事内容次第で子どもの健康とパフォーマンスに差が出る、といわれる理由について解説します。
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◆表 洋子(おもて ようこ)
料理家。受験食事マイスター。「賢母の食卓」主宰。
医師である父から食の大切さの教えを受けて育つ。大学卒業後にフランスでの料理研修を経て帰国し、行政や企業で料理講師、食育講座を行う。2012年より名門幼稚園から難関大学まで毎年多数の合格者を送り出している、東京都内の大手進学塾で食育担当として働く。メニュー開発、生徒への料理教室、保護者への食育アドバイスなどを行い、のべ1万人の受験生を食事面からサポートする。その経験をもとに、2019年に受験生の親のための料理教室「賢母の食卓」を開講。現在は講座を行いながら、SNSやメディアを通して心身ともに健康になる食のメソッドを発信している。
著書に『おにぎりと味噌汁だけ ─ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立─』(ワニブックス)、『中学受験は食事が9割 子どもの学力を伸ばしたければ、食事をこう変えなさい』(光文社)がある。
『おにぎりと味噌汁だけ ─ほぼ10分で完成! 食べて健康になる朝食献立─』
ワニブックス
『中学受験は食事が9割 子どもの学力を伸ばしたければ、食事をこう変えなさい』
光文社
取材・文/石牟礼ともよ
『子どもの学力を伸ばしたければ、子どもに料理をさせなさい』の連載は、全3回。
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※公開日までリンク無効