「まごわやさしい」魔法のレシピ 臭くない!簡単!食べやすい!魚料理

カンタン・高栄養・完食!#5【魚の「さ」】「美味しさを引き出した魚料理3品」

料理家:越野 美樹

子どもが好きな魚料理3品。左:鯵の香草チーズパン粉焼き 真ん中:鮭と野菜のマヨカレー焼き 右:まぐろのチリソース  写真:越野美樹
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「食べたいものは自分で作る!」をモットーに、料理家・越野美樹さんが「まごわやさしい」素材を使ったレシピを提案する連載(全7回)。

「まごわやさしい」とは、「まめ、ごま、わかめ(海藻)、やさい、さかな、しいたけ、いも」のこと。

季節を問わず手に入る日本の伝統的な7つの食材です。

第5回は、魚の「さ」。

簡単に作れて子どもが美味しく食べられる3つのコツを取り入れた魚料理3品をご紹介。

子どもが思わず一緒に作りたくなる「お手伝いポイント」も載せていますので、親子で一緒に楽しんでくださいね。

「まごわやさしい」魔法のレシピ 全7回を読む

子どもが好きになってくれれば、お魚料理は楽しい!

普段からお魚に慣れ親しんでいますか?    

お魚は不飽和脂肪酸であるDHAやEPA、タンパク質、ミネラルやビタミンなど、私たちの体に必要な栄養素が豊富に含まれています。    

お魚に栄養があることはわかっていても、お魚料理は下処理したり骨をとったりして手間がかかるのが難点。

その割に、男の子は特に、子どもが喜ぶのはお肉料理の方が多いように思います。    

「子どもが喜ぶメニュー」×「お料理の手間」を頭の中で即座に計算すると、ついお肉メニューに偏りがちになってしまいますよね。  

焼き魚や煮魚などの素朴な魚料理は、骨をとってあげるのが面倒臭い割に、食べてくれない子どもが多いと聞きます。

子どもが喜んで食べてくれるなら、お魚料理を楽しく作れますか?    

そこで今回は、子どもが喜んでパクパク食べてくれるお魚の選び方や、簡単調理法をご紹介しましょう。

手前右から時計まわりに、鮭、鰺、煮干し、まぐろ、ちりめんじゃこ。  写真:越野美樹

子どもがお魚を嫌がる理由ベスト3とは?

お魚を子どもが嫌がる理由は、3つあります。    

① 生臭い  
② 骨があると食べにくい
③ お肉に比べると満足感が少ない  

「お魚の生臭さ」は、新鮮なお魚を選ぶことで解消されます。

お魚は、獲ってから時間が経つと、生臭さが出てしまいます。    

うちの娘も、海の近くに住んでいたときは、新鮮なお魚が身近にあったのでたくさん食べましたが、中山間地に引っ越してから、ピタリと魚を食べなくなりました。    

子どもの味覚や嗅覚は敏感で、大人はそんなに気にならなくても、新鮮かどうかを見分けているようです。    

我が家の場合は、近くに新鮮で美味しい魚を売る魚屋さんを見つけてから、娘もまた魚を喜んで食べるようになりました。

カニ嫌いだった娘。奮発してお魚屋さんの毛蟹を買ってみたら、本物のカニの味を知ってしまい、どんどん娘の手に…。  写真:越野美樹

多少値が張りますが、新鮮で美味しいお魚を食べると、幸せな気分になれますよ。    

そうはいっても、なかなか新鮮なお魚が手に入らない!という方のために、①生臭い ②骨があると食べにくい ③お肉に比べると満足感が少ないというお悩みを解消する方法をお伝えします。

子どもに魚を食べてもらうには?

では、お悩みを一つずつ見ていきましょう。

① 生臭い  

魚の生臭さは、発酵調味料、香りの強い素材、さっぱりした味になる素材などと合わせて使うと食べやすくなります。

1. お酒やみりん、お酢、醬油などの発酵調味料を使って生臭さを飛ばす  

2. カレー粉やニンニク、香味野菜などの香りのあるもので生臭さを抑える  

3. 梅干しや生姜などの素材で食べやすくする

また、お魚を加熱する前に塩をふってしばらくおいてからふきとる、熱湯をかけてから煮るなど、下処理をすることで生臭さが解消されます。    

子どもは大人より、すべての感覚が鋭く繊細です。

お魚も、下処理や素材の組み合わせを工夫するだけで、ぐんと食べやすくなります。

このような素材を隠し味に使うことで、生臭さがなくなり、美味しさが引き出されます。  写真:越野美樹

② 骨があると食べにくい

焼き魚や煮魚は、大人は箸で骨をとりながら食べますが、子どもがひとりで食べるのは大変ですよね。    

親も「まだ自分で骨をとるのは無理」とか「手がベチャベチャになる」などと思って、先にとってあげる場合が多いと思いますが、親にとっては大変な作業です。

魚を毎日のように食べていた我が家では、娘が2歳になるかならないかくらいのとき、私がとり残した骨を娘が自らよけて食べられたことがあり、びっくりしました。  

「お魚の骨は喉に詰まると危ないから一つ残らずとらなきゃ!」と思っていましたが、2歳児でもちゃんと自分で骨がよけられるのです。

いつまでも魚の骨を親がとってあげていると、魚料理を上手に食べられない大人になってしまいます。  

子どもの成長を感じて「もう大丈夫」というタイミングが来たら、一緒に魚の骨をとる練習をするといいと思います。    

我が家のように小さいころから魚に親しんでいれば上手に食べられるようになりますが、そうでない場合、骨が入っているだけで食べるのを嫌がるということもありますよね。

そこで、あらかじめ骨をとり除いて作るお料理であれば、子どもにも食べやすく、魚が苦手なお子さんに出す「お魚料理の第一歩」としてもオススメです。    

骨のない、切り身魚を使ったお料理から始めてみましょう(このあと、レシピをご紹介します)。

③ お肉に比べると満足感が少ない

煮魚や焼き魚は、大人には美味しいですが、子どもにはさっぱりしていて、少し物足りないおかずに感じることが多いようです。

魚に慣れるまでは、油やチーズ、マヨネーズなどの油分を使った素材を使い、ボリューム感を出しましょう。  

魚が苦手なお子さんには魚の形が分かりにくいように他の素材を合わせる、子どもが好きなケチャップや中濃ソースなどの調味料を使うといった工夫をすると、ぐんと食べやすくなります。  

では、こうしたお悩みを解消する、お魚を食べやすくする3つのコツを使った3品をご紹介します。  

簡単に作れる魚料理なので、家族みんなで美味しく食べられるはず!

お魚を料理すること自体を面倒と思わず、ぜひ楽しんでチャレンジしてみてください!

香味野菜を使った『マグロのエビチリ風ケチャップ炒め』

火を入れるとお肉のような食感になるマグロを使った、ボリューム感のある一品。香味野菜を使ったチリソースは、生臭さもなくなり、子どもが喜ぶ味つけです。

子どもが好きなケチャップ味の炒め物。香味野菜を加えることで、魚が食べやすくなります。  写真:越野美樹

【材料】2人分
マグロ 200g
片栗粉 大さじ2
長ネギ 30g
生姜 1片
ニンニク 1片
菜種油 大さじ1
本みりん 大さじ1
醬油 小さじ1
ケチャップ 大さじ2

【お手伝いポイント】
マグロに粉をまぶす工程を子どもにやってもらいましょう。面白がってくれる作業です。キッチンが粉だらけになることを避けるために、大きめのボウルで作業するといいですよ。

【作り方】
1.長ネギ、生姜、ニンニクはみじん切りにする。

2.マグロはぶつ切りにする。

3.ボウルに片栗粉を入れて、2にまんべんなくまぶす。

4.フライパンに菜種油と1を入れて弱火に熱し、香りが出たらマグロを入れる。

5.焼き目がついたらマグロを返し、順々に全ての面を焼く。

6.本みりん、醤油、ケチャップの順に加え、木ベラなどでそっとからめる。

たらなどの白身魚の切り身や、いかやたこなどでも美味しく作れます。大人はあとから七味唐辛子やラー油をかけても。

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