パパの顔を水色で描いた女の子を「最高!」とほめた理由 人気絵画教室講師が教える「個性をのばす」アートワーク

「こどもアトリエ みかづき」の親子で楽しむアート 第1回「シャボン玉はなに色?」

造形絵画教室「こどもアトリエ みかづき」のアートワークより~「シャボン玉はなに色?」~  写真/こどもアトリエみかづき

幼稚園から中学生の子どもたちを対象とした少人数制の造形絵画教室「こどもアトリエ みかづき」。この教室(アトリエ)では、のびのびと創作できる空間を子どもたちに提供し、自由で個性あふれる創作活動をサポートしています。このアトリエで自分の感性に気づくことで、子どもたちの潜在能力が花開き、想像力という才能の実が大きく育っていくのです。

そんな「みかづき」の主宰者である、デザイナーのあじとみあつこさんが、子どもの個性を伸ばすアートワークを紹介してくれます。親子でも楽しめる独創的なアートワークを、ぜひ楽しんでみてください。

アトリエは子どものための自由空間

はじめまして。「こどもアトリエ みかづき」あじとみあつこです。造形絵画教室ですが、私が子どもたちに創作技術を教えるシーンはあまり多くありません。そのため、子どもたちも保護者も、アトリエ(=創作室)と呼びます。

アトリエは、描くこと作ることが大好きな子どもたちのための自由空間。アトリエで創られたすべての作品と創った子どもに対し、私は表情とありったけの言葉で感想を伝えます。自分の作品が認められると、子どもたちはどんどん創作意欲が湧いてきます。しばらくすると、他の子とは違うものを描こう創ろうという気持ちが生まれて……、そこから“個性”が生まれてくるようです。

自由に創作してと言われ悩んでしまう子もいます。そこでアトリエでは、「たのしそう♪」「やってみたい!」と前向きに取り組める課題を毎回用意しています。強制するものではなく、気分がのらない子は課題を気にせずに、好きな工作やお絵かきをして過ごしています。

ここでは、そういった課題の中から特に人気があり、ご家庭でも気軽に取り組めそうなアートワークをご紹介して行こうと思います。合わせてお伝えするアトリエの子どもたちのエピソードなどは、コクリコ読者の皆さまにとって、子育ての気づきにつながるものと考えます。アートワークと合わせて、こちらもご参考になれば幸いです。

エピソード①「パパはみず色」

数年前、6月のある日。アトリエでの制作を終えた子どもたちを迎えようと、集まったお母さん方が談笑しています。

「うちは、かけてもいないメガネをかけてた」「ヒゲが濃くてわらっちゃった」

どうやら近くのスーパーでは、今年も父の日にあわせて近隣の園児が描いた、お父さんの似顔絵展示が始まったようです。そんな、微笑ましい“父の日あるある”を話す輪の中から、やや硬い表情でわたしに近づいてきたのは4歳Aちゃんのお母さん。

「先生。うちの子、幼稚園で絵の描き直しをさせられたみたいなんです……」

数日前、幼稚園の先生に呼び止められたお母さんは、Aちゃんのその日の様子を聞かされます。先生の説明を聞かず、パパの顔を“みず色”で描いてしまった。描き直そうね、と新しい紙と肌の色に近いうすだいだい色のクレヨンを握らされるも、意地になってまたみず色の顔を描いた……。

そこまで聞いたわたしは堪らず「Aちゃんかっこいい! 最高」と大笑いしてしまいました。お母さんも「やっぱりそう言ってくれた」と、ようやく表情がほころびました。わたしたちはAちゃんが、パパの顔をみず色で描く理由を、知っていました。

みなさんにもわかりますか?

次のページへ Aちゃんがパパの顔を「みず色」で描いた意外な理由
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