積み木の楽しさ倍増! 「積み木アート作家」が教える〈成長別〉遊び方のコツ

積み木アート作家・miharuさんから学ぶ「積み木で子育て」#2〜成長別遊び方〜

片岡 由衣

子どもの好きなものを積み木で一緒に作ってみる

「積み木で何か作ってみたい」という方へ、平面で絵を描く遊びもおすすめだと言います。「2人の幼稚園のマークだった『いちご』とか『ちょうちょ』を作るなど、ふだん目にしたものを一緒に作る遊びをよくしていました」と髙木さん。

平面であればお絵かきの延長として、子どもも取り組みやすそうです。
また、双子がままごとの具材としてよく使っていたのが木製のビーズやおはじき。それらを高木さんが積み木の飾りにし始めたところ、2人の遊びに変化が現れたそうです。

「娘たちは小さい頃は鍋にビーズを入れてひたすらかき混ぜる、お皿からお皿へと移しかえるみたいな遊びをしていました。だんだん私の真似をして、積み木遊びにビーズを加えるようになっていきました。

5歳の誕生日には、『絵本に出てきた3段ケーキが作りたい!』と言われ、一緒に考えながら作りました。例えば飛行機が好きなお子さんだったら一緒に飛行機を、昆虫が好きなら昆虫を作ってみたら盛り上がると思います」

積み木を平面的に並べて作る遊び。「ちょうちょを作っていたら、周りの小さな蝶々を娘たちが作りました」(髙木さん)  写真提供:髙木美晴
積み木で作ったセミ。「娘たちは昆虫も好き。家族でセミの羽化観察は今年で4年目になりました」(髙木さん)  写真提供:髙木美晴

片付けは見やすく 取りやすく わかりやすく

収納や片付けといった環境作りも、子どもの遊びに大切な要素。高木さんは、おもちゃを戻す場所はすべて決めて、おもちゃ箱ではなく棚に並べていたそうです。

「わが家は決して広くありません。無駄なスペースなく収納できるように、おもちゃの棚を手作りました。散らかるのが困る場合は、フェルトやコルクマットを床に敷いて視覚的に子どもが遊ぶ場所を区切ってみてはいかがでしょうか。

おままごとをする場所、積み木遊びをする場所、文房具や折り紙など工作のグッズを置く場所、と収納場所を分けると、子どもたちも遊びやすそうでした」

2〜3歳頃は、立ったままの方が遊びやすそうに感じたため、低い棚を置いていたそうです。  写真提供:髙木美晴
集中して遊ぶ2人。左の壁に並ぶ棚は髙木さんによるDIYで、滑車付きのため、小さな子でも楽に積み木を移動できる。  写真提供:髙木美晴

「すぐ片付けないのも実は大事」、と言います。絵を描くときのように、すぐ続きに取りかかれるようにしてあげることで、双子の娘たちも大作を作るようになったと感じているそうです。

「娘たちが小学生になり、学校や習い事で家にいる時間が少なくなりました。1回の遊びでは完成しないことも多いので、作り途中のもの以外、散らばっているものだけ片付けています。

完成してしばらく飾っていたものは、『これどうするの?』と声をかけたり、ホコリがたまってくるから『お掃除する?』と誘ったり。片付けよう、とはあまり言いません。なるべく、向こうから言うのを待ちます」

髙木さんが外観を作り、中の小物はせなちゃん、さよちゃんが作った積み木のドールハウス。小さい頃から大好きな遊びのひとつ。  写真提供:髙木美晴 

音も光も出ない積み木だからこそ 子どもの個性が見えた

積み木とはシンプルな木。音が出たり、光ったりはしません。だからその子自身が何をしたいのか、好きなのか、主体性が見えるのかもしれない、と髙木さんは言います。

「積み木は、崩れたらもう1回積めばいい。作りたいものを作るのも楽しいし、何も考えていなくても、積んで行くうちに、そこから見えるものが出来上がっていく感じもすごく好きです。自由度がありますよね」

積み木は「知育に良い」とされ、「空間認識能力が養われる」と期待する声も多くありますが「何かを身につけさせたくて遊んでいたわけではありません」と髙木さんはひかえめな様子です。

「強いて言えば、娘たちは断面図や間取りが好きで、図形に親しみがあります。特に、積むのが好きだったせなの方が図形には強いですが、さよも奥行きのある絵を描いています。それぞれの持っていた気質が引き出されているのかもしれませんね。

2人とも自然遊びも好きで、自然の中で見つけたものを積み木で作ってきたからか『自然の絵が得意だね』と言ってもらうことも多いです。

娘たちの成長過程の変化を、ひとつのおもちゃを通して見守ることができました。何かが身につくというのは副産物ではないでしょうか。

初めて積み木を知ったときは、値段が高くて驚きましたが(笑)、8歳になった今でもよく遊んでいるので、とても息の長いおもちゃだなあと、積み木に感謝しています」

髙木さんが使っているような老舗メーカーの積み木は1万円以上するものが多く、いざ買うには少し躊躇しますが、遊びながら子どもの発想が広がることや、小学生になってもまだ遊べていることなどを考えると、あながち「高い」とも言いきれないものがあります。

積み木アート作品や髙木さん親子の遊ぶ様子を見ていると、子どもの個性の数だけ遊び方があるように思えます。「子どもらしい、自由な遊びを見るのが好き」とも話していた髙木さん。

気軽に積み木に触れてみると、そこには各家庭や、親子だけの新しい積み木遊びの世界が広がっていきそうです。

8歳になったさよちゃんがコツコツと作った積み木の塔(左)と、せなちゃんが作った建物(右下)。大きな作品や細やかな作り込みなど、自由な発想で遊ぶようになってきたそうです。  写真提供:髙木美晴
積み木アート作家の髙木美晴さん。  写真提供:本人

PROFILE 
髙木美晴

たかぎみはる 積み木アート作家。おもちゃコーディネーター。おもちゃコンサルタント。2013年に双子女児を出産。親子で作る感性豊かな積み木遊びをInstagramで発信し話題に。2017年から冊子『積み木手帖』、2018年から『積み木手帖カレンダー』を発行。2019年横浜バーニーズニューヨーク、2020年子どもの本とおもちゃの店・百町森(静岡)、2021年浦和蔦屋書店、アトリエニキティキ吉祥寺店等々、全国各地でフェアや積み木パネル展を開催している。スペインのおもちゃメーカー「grapat japan」の日本公式instagram画像掲載、雑誌momo連載中。
Instagram 
miharu.sss.t
公式ホームページ 
https://linktr.ee/miharu.sss.t

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かたおか ゆい

片岡 由衣

ライター

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter

ライター。東京都出身、竹富島在住。東京学芸大学卒業後、リゾート運営会社にて広報やイベント企画に携わる。3人子育ての発信を続けるうちにライターへ。 積み木オタクで、おもちゃや絵本に囲まれた児童館のような家で暮らしている。いつも片付かないのが悩み。 朝日新聞社「おしごとはくぶつかん」や小学館「kufura」など、メディアや企業サイトで取材記事やコラムを執筆中。 Instagram Twitter