VEXロボティクスの「コンペティション」は世界3000チームが参加! 子どもの「非認知能力」が身につくスゴい中身
注目のアメリカ発STEM教材「VEXロボティクス」 #2 世界規模の「コンペティション」(競技大会)について
2024.02.01
大会のアナウンスは日本会場でも英語
──先日、VIQRCの大会を見学させていただきましたが、英語でのアナウンスに驚きました。
市川さん:英語で運営される国際大会に準じて、日本で行われる大会も基本的に英語で進行します。ペアを組む相手が、海外チームというパターンも当然あるからです。
教室の子どもたちの英語力はまちまちですが、アナウンスを聞いて自分に分かる英語を拾って、何を言っているかを理解し、海外の選手とは身振り手振りも含めてコミュニケーションを取り、互いに歩み寄ろうとします。こうした姿勢が、グローバリゼーションにも大いに役立つと思います。
競技大会を通じて非認知能力が身につく
市川さん:競技大会を通じて、子どもたちはごく自然にコミュニケーション力やチームワーク、人をまとめる力、課題解決力、クリティカル・シンキングなど、さまざまなソーシャルスキル(非認知能力)を身につけていきます。これもまた、VEXが強く打ち出している強みです。
──大会には、どのような賞があるのでしょうか?
市川さん:得点成績で決まる“パフォーマンス・アワード”は、「チームワークチャレンジ」と「ロボットスキルス」部門で各1~2位のチームが表彰されます。
そして、順位や得点だけで取ることはできない、最優秀賞である「エクセレンスアワード」や、デザインプロセスやロボット設計に対する「デザインアワード」、大会を通してスポーツマンシップを発揮していたチームに贈られる「スポーツマンシップアワード」、「エナジーアワード」、「インスパイヤーアワード」など多彩な“ジャッジド・アワード”があります。
子どもたちにとってはこれらの受賞が、次の大会へのモチベーションになることも多いですね。
──2023年2月に開催された『VEX IQ Competition Japan Nationals』で、市川さんの『DOHSCHOOL』のロボコンコースに通う女子小中学生4名のチーム『Laurels(ローレルズ)』が、優秀な成績を収めて日本代表チームに選出。その年の5月の世界大会に出場したのは、大きな出来事でしたね。
市川さん:女子4名のチームということもあり、多くの方に注目していただきました。ちなみに、『Laurels』がこのときに作ったロボットは、とても完成度が高かったので、崩すのがもったいなくていまだにとってあります(笑)。
VEXのスクールでは女子の割合が半数近くにも
市川さん:私が運営に携わっているプログラミングスクール『DOHSCHOOL』では、女子の割合が3割強ぐらいまで伸びてきています。これはとても喜ばしいことだと思っていて。
というのも、世界大会でも、男女の比率は半々ぐらいなんですよ。女子もロボットやプログラミングに興味がある子は楽しく学び、その先を追究できる環境を用意したい。それが叶えられるのがVEXだと僕は思っています。
日本ではまだ少数派だとしても、世界大会に行くと、GoogleやNASA、Teslaなどの世界的な企業で活躍する女性エンジニアたちの講演を聞くことができます。
「自分もあんなふうになりたい」というロールモデルを目にすることができることで、女子もロボットやプログラミングへの興味・関心を失うことなく、将来への具体的なビジョンまで持ったうえで、好きなことを続けていけると思います。
────◆───◆────
2回目では、VEXのコンペティションについて、市川さんに詳しく解説していただきました。次回3回目では、世界大会に出場した『DOHSCHOOL』に所属する女子チーム『Laurels』のメンバーに、VEXについてや、世界大会の様子などのインタビューをお届けします。
取材・文/木下千寿
VEXの連載は全4回。
1回目を読む。
3回目を読む
4回目を読む
(※3回目は2024年2月2日、4回目は2月3日公開。公開日までリンク無効)
木下 千寿
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。
福岡県出身。大学卒業後、情報誌の編集アシスタントを経てフリーとなる。各種インタビューを中心に、ドラマや映画、舞台などのエンターテイメント、ライフスタイルをテーマに広く執筆。趣味は舞台鑑賞。