お風呂嫌いの子を「お風呂スキ!」に変身させる「おふろシール」と「かおボトル」

おもちゃ作家・佐藤蕗さんに教わる イヤイヤ期に効く手作りおもちゃ #1

手作りおもちゃ作家:佐藤 蕗

お風呂で繰り広げられる遊びの世界。  写真・文字デザイン:佐藤 蕗

自我が芽生えてくる2〜3歳は、いわゆる“イヤイヤ期”。かわいい我が子ながら、強い自己主張への対応に四苦八苦することも多いもの。

そんなときに、無理なく子どもの気持ちを切り替えてくれる “お助けアイテム”として活躍するのが、シーンや好みに合わせた「手作りおもちゃ」です。

お風呂に入るのが嫌で泣いてしまう。電車内で飽きてしまい、ぐずりはじめた……。言葉で言い聞かせるかわりに、子どもが興味をひかれるような楽しげなおもちゃで、遊びに誘ってみてください。

本連載では、自身も子育てをしながら、多彩なアイデアで手作りおもちゃを提案している佐藤蕗(ふき)さんに、2〜3歳向けのおもちゃを紹介していただきます。

連載第1回では、子どもがいつのまにか「お風呂好き」になるような、バスタイムに使えるおもちゃをご紹介します。

特別な材料も、道具も、手先の器用さも必要ありません。仕上がりが完璧じゃなくても大丈夫。楽しいおもちゃ作りに、チャレンジしてみませんか?

「おふろシール」でバスルームをワクワクする遊び場に

寝かしつけ時や、登園時の「イヤイヤ」と並んで大変なのが、お風呂に入るときの「イヤイヤ」です。毎日のことなので、お風呂が苦手だと、親としても困ってしまいますね。

手作りおもちゃでそんな悩みを解決してみましょう。

手作りの魅力は、リーズナブルな面もありますが、「電車が大好き」「青色が好き」といった子どもの好みや興味の対象に合わせて、親が自由にカスタマイズできるところ。「次はこの色で作ってみようか?」「何の動物がいい?」といったやりとりで、親子のコミュニケーションも深まります。工夫しておもちゃを作る経験は、子どもの創造性を育む上でもプラスになるでしょう。

人気おもちゃ作家の佐藤蕗さんは、「子育てに“手作りおもちゃ”というコミュニケーションツールを取り入れたことで、結果的に子育てが少しだけ楽になりました」と語ります。

かく言う佐藤さんの長男も、2〜3歳の頃は、お風呂に入るのを嫌がり、毎日苦労されていました。

「息子は入浴が嫌いというより、とにかく『遊びを中断される』のがつらかったようですね。はじめは、どう声かけすればいいのかわからず困っていました。そこで逆転の発想をして、バスルームを『遊び場』にすればいいんだ、と思いついて作ってみたのが『おふろシール』でした」(佐藤さん)

そうしてできあがったのが、駅や踏切の絵を描いた「おふろシール」。浴槽の縁を線路に見立てて、タイルの壁に貼り、なんと、実際に電車のおもちゃを持ち込んで遊べるようにしました。

息子さんお気に入りの電車のおもちゃと「おふろシール」。   写真:佐藤 蕗

「我が家は息子が電車好きだったので、電車モチーフから作りはじめましたが、それぞれ、お子さんの好きな乗り物や生き物、食べ物などで作ってみてください。裏に水をサッとつけて、壁や鏡などのツルツルした平面に貼れば、ピタッとどこでもくっつきます。楽しく飾りつけたお風呂の壁を見せて誘えば、普段お風呂が苦手な子も、きっと、目を輝かせて喜ぶと思いますよ」(佐藤さん)

たくさん貼ることで遊び場のような空間に!  写真:佐藤 蕗

お風呂が別世界になる「おふろシール」の作り方

【用意するもの】
・クリアファイル
・油性ペン
・透明OPPテープか、手貼り用ラミネートフィルム
・ビニールテープ(色をつけたい場合。お好みで)
・ハサミ

【作り方】
①クリアファイルの2辺をハサミで切って、2枚に分けておきます。

② ①に好きな絵を油性ペンで描きます。絵本などに重ねてなぞるだけでもOK。

油性ペンでまず輪郭を描き、色をつけていきます。  制作・撮影:砂田奈美子

③描いた絵の上に透明OPPテープ、または手貼り用のラミネートフィルムを貼ります(油性ペンで描いた絵は、こすれると消えてしまうため)。

④絵の大まかな形に沿って、クリアファイルをハサミで切り抜き、角を丸く仕上げれば、完成。好みで色つきビニールテープを裏から貼っても、カラフルに仕上がります。

OPPテープを貼ったあと絵の輪郭に沿ってハサミで切り抜けばできあがり。  制作・撮影:砂田奈美子

【遊び方】
水をサッとつけて、お風呂の壁、鏡などに貼ります。平らな場所であれば、どこでもピタッと密着します。

【ポイント】
・透明OPPテープを貼るとき、多少気泡が入っても気にせず貼ってください(やり直そうとはがすと絵もはがれてしまいます)。
・シールのはしに小さなつまみを作り、折り曲げて立てておくと、子どもでもはがしやすくなります。
・春なら桜の木、節分なら鬼など、季節や行事に合わせた絵柄のシールを作るのもおすすめ!

服や帽子のシールを作ってキャラクターの上に貼れば、着せ替え遊びもできる。  写真:佐藤 蕗
佐藤さんの息子さんと自慢の「おふろシール」の数々。  写真:佐藤 蕗

「おふろシール」でお風呂を魅力的な場所に見せたかいもあり、息子さんはすすんでお風呂に入るように。また、自分で絵を描けるようになってからは、恐竜、昆虫、パズル……と、数とバリエーションがどんどん増えていったそう。約6年間、さまざまなシールを貼って楽しみました。

「『おふろシール』は、部屋の中と違って、いくらでも好きな場所に貼れるので、その点も子どもにとってはうれしいと思います。成長してきたらぜひお子さん自身にもどんどん絵を描いてもらい、いろんなシールを貼って楽しんでみてください」(佐藤さん)

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