「これが積み木!?」と目を疑うようなカラフルで美しい作品。作ったのはInstagramを中心に活躍する、積み木アート作家・miharuさんこと髙木美晴さんです。
髙木さんは無着色の積み木とカラフルな積み木を織りまぜ、立体絵画のような数々の作品を作りあげます。
個性的な世界観が注目され、おもちゃ専門店や書店での展示会、カレンダーの制作、スペインのおもちゃ「GRAPAT(グラパット)」の日本公式Instagramに作品が掲載されるなど、今、活躍の場を広げています。
また、髙木さんは8歳(2021年8月現在)の双子女児のママ。子育てで忙しいなか、どのようにして積み木アート作家として活動するようになったのでしょうか。
産後の孤独感を支えてくれたブログ発信
ご自身の作品制作のかたわら、親子でも積み木を楽しんでいるという髙木さんですが、出産後からしばらくは双子の育児に必死だったと言います。広島県出身で東京住まい。悩みを打ち明ける友人もあまりおらず、似た境遇にいる人の育児ブログが支えになっていました。
「産後すぐに双子の娘たちが低体重で転院になり、産後4日目から毎日往復2時間かけて病院に母乳を届けていました。これが本当に自分に起きていることなのか? と現実感がなくなるほど必死で。
もう耐えられないかも……と思っていた頃、双子育児をしている方のブログを見つけて、『大変なのは私だけじゃないんだ』と励まされたんです」
双子育児の情報交換をするため、育児ブログをスタート。ブログ発信のおかげで友達もできて、支えられたと言います。2人分のおむつを替えて、授乳をして、抱っこして、とにかく忙しい日々。
「振り返ると、双子が0歳の当時2人がお気に入りだったのは、ただのスカーフ。目の前にヒラヒラ見せていました」と髙木さん。おもちゃのことは頭になかったと言います。
双子の娘たちのケンカを止めてくれたのが「積み木」だった
2人がズリバイをし始めた生後9ヵ月頃、近所の方からいただいたおさがりのおもちゃを出してみました。ボタンを押したら音が鳴るおもちゃに夢中になったものの、一筋縄ではいかないのが双子育児。すぐに激しい取り合いを始めてしまったのです。
「危ない! と思って、同じものを持たせなきゃとあわてて積み木を2人に渡しました。すると、それぞれがなめたりニギニギしたり機嫌よく遊び始めたんです。積み木ってすごいかもしれない! と感じた瞬間でした」
インターネットや書籍で積み木について調べると、次第に髙木さん自身も奥深さに魅せられていきました。なかでも、おもちゃ専門店『百町森』店主の著書『プーおじさんの子育て入門』(著:柿田友広・相沢康夫)や、おもちゃデザイナーで積み木パフォーマーとしても活躍する相沢康夫さんの『好きッ! 絵本とおもちゃの日々』(著:相沢康夫)といった本や、おもちゃデザイナーで著書も多数ある、和久洋三さんの講演会に感銘を受けたと言います。
「積み木で大勢の子どもたちがお城など大きな作品を作る写真を見て、感激しました。積み木を作っている方には、『子どもにこそ最高のものを』と考え、長く大切に使うことを前提にして物づくりをする方が多いんです。そういう作り手の思いにも共感しました」
ブログの発信と、積み木との出会いが髙木さんの子育てを「大変なものから楽しいもの」へと変化させていきました。
髙木さんが特に好きな積み木、ネフ社の「ネフスピール」を積み上げる、双子のせなちゃん、さよちゃんが2歳頃の様子(左)。4歳頃に友人の結婚式へ行ったあとに「結婚式場つくろう」と一緒に作ったときの様子(右)。親子で積み木遊びを楽しむ様子が伝わってきます。 写真提供:髙木美晴