親子いっしょにコロナ禍の紫外線対策 マスク&日焼け止めの上手な使い方
ママと子どもの皮膚トラブル こうして防ごう・こうして治そう 〔第1回〕
2021.06.12
子どもの皮膚は薄くてデリケート。また、バリア機能も充分に発達していないため、季節ごとにさまざまなトラブルが起こります。気をつけたいトラブルと対処法を、「しのぶ皮膚科」の蘇原(そはら)しのぶ先生が紹介。さらに、保険診療だけでなく美容治療にも力をいれていてメディア露出も多いしのぶ先生が、ママの皮膚トラブルも併せてアドバイスします。
コロナ禍 マスクのおかげで減ったトラブル・増えたトラブル
気温や湿度が高くなり、子どもが汗をかくようになるこの時期に増えてくるのが、とびひです。とびひには、「みずぶくれ」ができるタイプと、「かさぶた」ができるタイプの2つがありますが、子どもに圧倒的に多いのが水ぶくれができるタイプです。
原因として多いのが、鼻くそや鼻水を触った手で、虫刺されやあせもの部分をかいてしまうこと。鼻の中や皮ふにある黄色ブドウ球菌は、常在菌といって普段は無害なのですが、虫刺されやあせもなど、トラブルがある状態の皮膚をかき壊してしまったところに菌が入り込むと、化膿してとびひのもとになります。とびひは強いかゆみがあるため、そこをかいた手でまた体のほかの場所をかいてしまうと、どんどん全身に広がってしまうのです。
とびひは非常に感染力の強い病気です。お友だちと遊んでいる間に菌のついた手や患部がふれたりして、どんどんうつってしまうので、赤くただれたところや赤い水ぶくれをみつけたら、早めに皮膚科を受診してください。
とはいえ去年2020年から、とびひは減少傾向にあります。新型コロナウイルスの影響で、子どもたちがマスクをしているからです。鼻をさわるクセがある子どもは意外に多いものですが、マスクのおかげで、菌が手につきにくいのです。
子どものマスクは「薄い色」を! 日焼け止め併用で肌荒れ防止
ただし、マスクはいいことばかりではありません。口元を覆うことで熱気がこもってしまい、熱中症になる危険もあります。遊びに夢中になってしまって水分補給を忘れがちな子どもは、大人よりもリスクが高いといえます。
その危険性を少しでも減らすために、マスクの色に注目してみてはいかがでしょうか。黒やネイビーのスタイリッシュなマスクは特に男の子に人気がありますが、暗い色は光を吸収してしまい、マスクの中の温度が高くなってしまいます。できれば白やピンク、ライトグレーなど、薄い色のほうが安心です。
そのうえで、顔には日焼け止めを塗りましょう。薄い色は紫外線を通してしまうからです。最近は子ども用の日焼け止めがたくさん市販されています。アレルギーを起こしにくかったり、肌に負担がある成分が入っていなかったりなど、子どもの肌に合うよう配慮されているので、ぜひ子ども専用のものを使ってあげてください。
また帽子をかぶるのもおすすめです。一昔前は、紫外線はまったく浴びないとビタミンD不足になるからと、積極的に日光浴をさせたりしましたが、最近では浴びすぎると免疫の働きに支障がでたり、将来、皮ふにダメージが出たりすることがわかっています。子どものうちからきちんと紫外線対策をしておきたいですね。
夏の肌荒れ対策は “引き算ケア”がおすすめ
「マスクニキビ」の対処は シンプルなスキンケアが一番
最近、大人の女性の受診で増えているのが、ニキビや肌荒れです。
「きちんとケアしているので、今までニキビなんてできたことがない!」という人でも、コロナ禍の20年から21年にかけては悩んでいる人が大勢います。原因は、新型コロナウイルス予防のためのマスク。かいた汗が蒸発しづらいし、呼気の水蒸気も加わって、毛穴がつまってしまうのです。
対策としては、こまめに顔を洗うことと、過度なスキンケアを控えるのが一番です。トラブルがでるとどうしても慌ててしまって、化粧水を変えたり、高価な美容液などを塗りたくなったりするかもしれませんが、そのせいで症状をより悪化させてしまうことも多いのです。色々やりたい気持ちをぐっとおさえて、基本に戻ることが大切です。
そもそも、私たちの肌は、汗や皮脂という自然のスキンケア成分によって守られています。汗は皮膚の角質層に水分を補給して潤いを与え、肌のバリア機能を高めます。また、殺菌作用もあります。皮脂は水分の蒸発を防ぎ、みずみずしさを保っています。汗や皮脂が出ているときは、外から過剰に補う必要はありません。
ただし、古くなった汗や皮脂が肌についたままの状態が続くことは問題です。朝晩は洗顔石けんや洗顔料を使ってしっかりと、外から帰ったときもざっと顔を洗って、古い汗や皮脂を落としましょう。顔を洗う時はごしごしとこするのはNG。泡状の洗顔料を使うか、洗顔石けんは、泡立てネットを使うといいですよ。
スキンケア製品は使い慣れたものをそのまま使って大丈夫ですが、もし変えるならノンコメドジェニックのものがおすすめです。ノンコメドとは、毛穴をつまりにくくするという意味。プチプラからデパコスまでさまざまなものが揃っているので、自分に合ったものを使いましょう。
日焼け止め 子ども用「塗りタイプ」1本で親も安心
お子さん同様、ママの紫外線対策も必要です。どうしてもお子さんのケアに気を取られて、自分は後回しになってしまいがちですが、いつまでもきれいなママでいるために、ぜひしっかり対策をしてください。
日焼け止めには、飲むタイプやスプレータイプなどさまざまなものがありますが、一番効果が高いのが、塗るタイプです。また、SPAやPAの数値が高いほうが効果があると言われますが、それよりも大切なのが、こまめに塗り直すことです。たとえウォータープルーフのものであっても、子どもといっしょに走りまわって遊ぶとすぐに流れ落ちてしまいます。できれば2~3時間おきに塗り直したいもの。大人が子ども用のものを使っても問題ないので、公園に行く時は1本持って行って、子どもと一緒に塗り直すといいでしょう。
(取材・文/永坂佳子)
蘇原 しのぶ
皮膚科医・皮膚外科医。東海大学医学部卒業後、北里大学皮膚科、獨協大学皮膚科を経て、2016年にしのぶ皮膚科開業。 皮膚科・皮膚外科歴18年。 ヒアルロン酸、ボトックス治療に造詣が深い。 オールアバウト美と健康のガイドでもあり、執筆、テレビ、ラジオ、などのメディア活動も精力的にこなしている。 日本アンチエイジング外科・美容再生研究会認定医。 しのぶ皮膚科 https://sclinic.jp/
皮膚科医・皮膚外科医。東海大学医学部卒業後、北里大学皮膚科、獨協大学皮膚科を経て、2016年にしのぶ皮膚科開業。 皮膚科・皮膚外科歴18年。 ヒアルロン酸、ボトックス治療に造詣が深い。 オールアバウト美と健康のガイドでもあり、執筆、テレビ、ラジオ、などのメディア活動も精力的にこなしている。 日本アンチエイジング外科・美容再生研究会認定医。 しのぶ皮膚科 https://sclinic.jp/