男児の性被害 2歳で顔見知りから…部活で先輩が…親が知っておくべき“男児性被害”の現実

専門医・山田浩史医師に聞く 男児の性被害#1「被害の実態」

「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長、泌尿器科医:山田 浩史

法改正や報道で男性の性被害が知られるように

2016年の「なごみ」開設当初から男性被害に関する相談はありましたが、泌尿器科の山田先生に本格的に声がかかったのは2017年。性犯罪に関する法改正がきっかけです。

2017年6月、被害者を女性に限っていた「強姦罪」が「強制性交等罪」に改正。1907年の刑法制定以来、110年ぶりの抜本改正により、被害者に男性を含め、口腔性交などの性交類似行為も対象となりました。

「改正前、強姦罪は、男性が女性を姦淫した場合に限られていて、肛門・口腔性交の強制は強制わいせつ罪にあたり、強姦罪よりも軽い罪に位置づけられていました。

法改正によってようやく男性も被害者の対象となり、『なごみ』でも正式に、男性のための診療科をと、泌尿器科の私が携わることになりました」(山田先生)

さらに、今年(2023)6月には、強制性交等罪の名称が「不同意性交等罪」に変更され、「同意のない性的行為は犯罪になり得る」ということが明確化されました。

「最近は、男性(男児)の性被害もメディアで取り上げられるようになり、世間の認知度も少しずつ上がっていると思います。一方で、医療者の中での関心はまだまだだと感じています。

男性(男児)の被害者に対応できる医師が、また、もっと気軽に男性(男児)の性被害を相談できる機関が増えるといいと思っています」(山田先生)

性暴力は、被害者の心に深い傷を負わせてしまいます。とりわけ、心身ともに成長過程である未成年の心と体にどのように影響するのかも心配です。

次回は、性被害が及ぼす影響や、男児の診察内容などについて、引き続き山田浩史先生に伺います。

取材・文/稲葉美映子

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やまだ ひろし

山田 浩史

Hiroshi Yamada
「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長、泌尿器科医

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院泌尿器科副部長。泌尿器科医。医学博士。「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長。 福島県立医科大学医学部卒業後、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院、名古屋大学医学部附属病院を経て現職。2011年3月11日の東日本大震災で救護活動を経験したことで人道支援に目覚め、愛知DMAT(災害派遣医療チーム)、日赤DMAT、病院の国際医療救援部に加入。「なごみ」では、性暴力にあった男性(男児)の診察に当たる。 さまざまな学会で発表及び各種団体より依頼を受け講演をするなど、男性(男児)の性暴力被害への対応についてその重要性を訴え続けている。 ●性暴力救援センター日赤なごや なごみ

日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院泌尿器科副部長。泌尿器科医。医学博士。「性暴力救援センター日赤なごや なごみ」副センター長。 福島県立医科大学医学部卒業後、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院、名古屋大学医学部附属病院を経て現職。2011年3月11日の東日本大震災で救護活動を経験したことで人道支援に目覚め、愛知DMAT(災害派遣医療チーム)、日赤DMAT、病院の国際医療救援部に加入。「なごみ」では、性暴力にあった男性(男児)の診察に当たる。 さまざまな学会で発表及び各種団体より依頼を受け講演をするなど、男性(男児)の性暴力被害への対応についてその重要性を訴え続けている。 ●性暴力救援センター日赤なごや なごみ

いなば みおこ

稲葉 美映子

ライター

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。

フリーランスの編集者・ライターとして旅、働き方、ライフスタイル、育児ものを中心に、書籍、雑誌、WEBで活動中。保育園児の5歳・1歳の息子あり。趣味は、どこでも一人旅。ポルトガルとインドが好き。息子たちとバックパックを背負って旅することが今の夢。