シオリーヌさん「性教育は恥ずかしくて当たり前。子どもに教える前に親が学ぼう」
性教育YouTuber・シオリーヌさん「親から幼児へ 性とジェンダーの伝え方」第2回〜家庭であるべき性教育について〜
2021.06.15
「こんなときどうしたらいい?」性のお悩みQ&A
未就学児のいる家庭に起こりがちな性の悩みについて、シオリーヌさんに対処法を答えていただきました。
Q1:子どもが人前で「ちんちん」「おっぱい」などの言葉を連発します。どのように対処したらいいのでしょうか?
A1:「子どもがそういう発言をするときは、大人の反応を楽しんでいる可能性があります。慌てることなく、『そういうのをおもしろがる年頃だよね』と冷静に対応しましょう。
そのうえで、『水着で隠れる場所と口は、プライベートゾーンといって、人に見せたり、触らせたりしてはいけない大切な部分だよ。言ったときの周りの反応を見ておもしろいと思っているかもしれないけど、聞くとイヤな気持ちになる人もいるよ』などと、なぜその発言がよくないのかをお子さんにしっかり話しておくことが大切です。」
Q2:女の子の性器を「おまた」と呼んでいます。正式名称を使った方がいいのでしょうか?
A2:「お子さんとの会話のなかで『おまた』を使うのはいいと思います。ただし、「膣」や「外陰部」といった正式名称を教えておくことも大事です。おまたは広範囲を指す言葉なので、具体的な部位の区別はできません。正式名称を知っておくと、万が一性被害にあった際に自分が受けた被害について説明できるようになります」
Q3:子ども同士がお互いの体を性的な目で見ています。どう声をかけたらいいでしょうか?
A3:「大人から見て不適切だと感じるやりとりをしているのなら、自分と他者との境界線を大きく超えてしまっているのかもしれません。お子さんには、境界線をしっかりと意識してもらう必要があります。
子どもたちは、おむつ替えや着替えなどで、普段から無許可で体をさわられる経験をしています。そうすると、自分も他人の体を同じように見たり、触ったりしていいと思ってしまうのは自然なことです。スキンシップは、お互いに許可を取り合ってするもの。ご家庭でも『おむつを替えていい?』とお子さんに確認するなど、相手の体に触れるときには許可を取ることを日常のやりとりから身につけてもらえるといいですね」
家庭での性教育におすすめの絵本2選
「性について改まって話すよりも、お子さんのペースで伝えるといいですよ。何か質問されたときなど、日常会話の延長ですると子どもも話を受け止めやすいと思います」とシオリーヌさん。そこで、読み聞かせを通じて大事な話を伝えられる絵本をおすすめしてもらいました。
『あっ!そうなんだ!性と生―幼児・小学生そしておとなへ』は、絵本編と解説編の2部構成で作られた一冊。豊富なイラストとともに、性についてわかりやすく説明されています。
「体の解剖図など、幼いときは難しい部分もあるかと思います。ただ、小さい頃からこのような情報に触れて、見ていいものだと知っておくことが大切です。お子さんのなかにしっかり土台ができていると、小学校低学年くらいになって疑問に思ったときに、自分で調べて読めるようになります。
後半に書いてある保護者向けのページも充実しています。大人が性教育を学んでみようと思ったときに手に取る本としてもおすすめです」(シオリーヌさん)
『いいタッチわるいタッチ』は、信頼できる人からの愛情のあるタッチとそうでないタッチについて優しい言葉で書かれた絵本です。読み聞かせを通じて、<自分の体は自分のもの>と自分の身を守る術を身につけられるようになります。
「プライベートゾーンにも触れられていて、自分と他人のふれあいについて説明するときに役立つと思いますよ」(シオリーヌさん)
取材・文/畑菜穂子
※性教育YouTuberシオリーヌさんのインタビューは全3回。次は21年6月18日8:00〜公開です(公開日時までリンクは無効)。
【第3回】幼児のジェンダー教育について
【第1回】人気YouTuberになった理由とコロナ禍の性教育〜
シオリーヌ
助産師、性教育YouTuber。株式会社Rine代表取締役。 総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟で勤務ののち、全国の学校や企業で性教育に関する講演・イベントの講師を務める。性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。2022年10月性教育の普及と子育て支援に取り組む(株)Rineを設立。 主な著書:『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)、『やらねばならぬと思いつつ ~超初級 性教育サポートBOOK~』(ハガツサブックス)など多数。 X:@shiori_mw
助産師、性教育YouTuber。株式会社Rine代表取締役。 総合病院産婦人科、精神科児童思春期病棟で勤務ののち、全国の学校や企業で性教育に関する講演・イベントの講師を務める。性教育YouTuberとして性を学べる動画を配信中。2022年10月性教育の普及と子育て支援に取り組む(株)Rineを設立。 主な著書:『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)、『やらねばならぬと思いつつ ~超初級 性教育サポートBOOK~』(ハガツサブックス)など多数。 X:@shiori_mw