他人事じゃない育児&介護のダブルケア 「介護休業法」の賢い組み合わせで乗り切る
改正育児・介護休業法4月開始! 子育て世代が知っておくべき基礎知識#4〜上手な介護休業の取り方編〜
2022.04.28
一般社団法人介護離職防止対策促進機構代表理事:和氣 美枝
介護経験者とのネットワークづくりも大切
「介護は情報戦」ともよく言われます。有益な情報をしっかりキャッチできると、困難な状況でも何かしら選択肢を見つけられるのです。ただ、いざ介護が始まると目の前のことに追われ、「わからないことがわからない」状態に陥り、情報収集どころでなくなる問題もあります。
いざというとき、一人で抱え込んで無理することなく、選択肢にたどりつくには、どうすればいいのでしょうか?
「介護が始まった初期の頃、どんなことが起きるのか、仕事にどのような影響がかかるのかは、働く介護経験者しか知りません。
社内に介護者の先輩がおられるのであれば、ぜひネットワークを作っておくことをおすすめします。今後、どのようなことが起こりうるのか、どのくらい会社を休むことになるのかなど聞いてみるのもいいと思います。社内に味方や理解者がいるのといないのとでは居心地も変わります。
身近に介護経験者の方がいない場合も、心配いりません。全国に介護者支援の団体や介護者の会がたくさんあって、活動しています。そういったところに出かけて、ぜひ仲間をつくってください」(和氣さん)
介護経験者に「わからないことがわからない」と話すことから始めても、困りごとや不安、疑問が明確になり、情報収集の糸口になると、和氣さんは語ります。
「私自身もかつて、思いきって参加した介護者の会で温かく迎えてもらったことで救われた経験があります。情報をもらえたり、共有できたりするのはもちろん、つらい思いを吐露でき、つらさを肯定し、共感してもらえることに励まされました。
もし、社内の誰かから介護のことで相談を受けたら、ぜひ心から寄り添ってあげてください。介護を経験していないとなかなか共感できないかもしれません。でも、言い出しにくいところを、勇気を振り絞って打ち明けている状況を真摯に受け止め、一緒に状況を整理してあげてください」
上司や人事部への報告も『したほうがいいよ』で終わらせず、『私も勉強したいし、一緒に人事部に行っていい?』と一言かけてみてください。介護をしながら働き続ける選択肢を一緒に考え続ける社内の空気は、私たちひとりひとりがつくるものです。そして、介護とカミングアウトしやすい職場は、誰にとっても働きやすい職場になると思うのです」(和氣さん)
※和氣美枝さんの「介護離職防止対策シンポジウム」が2022年5月24日(火)13:30~開催予定。
詳細は 介護離職防止対策シンポジウム で検索
取材・文/島影真奈美
※「改正育児・介護休業開始! 子育て世代が知っておくべき基礎知識」は全4回です。
#3 25万人のダブルケア(育児&介護)を救う? 改正「介護休業法」を使いこなす条件
#2 約7割が希望「男性の育休」 育児・介護休業法改正でここが変わった!
#1 内容総点検!「改正育児介護休業法」でパパの育児休業取得率13%は増える?
島影 真奈美
介護ジャーナリスト。一般社団法人マリーゴールド理事、NPO法人タダカヨ理事。編集・ライター業の傍ら大学院に進学し、「老年学」を学び始めた矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。現在も仕事×研究×介護の三つ巴生活を送る。介護分野の取材・執筆、プレ介護者・介護者向けのセミナー・講演を精力的に行う。 著書に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラくなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)など。 Twitter @babakikaku_s
介護ジャーナリスト。一般社団法人マリーゴールド理事、NPO法人タダカヨ理事。編集・ライター業の傍ら大学院に進学し、「老年学」を学び始めた矢先に、夫の両親の認知症が立て続けに発覚。現在も仕事×研究×介護の三つ巴生活を送る。介護分野の取材・執筆、プレ介護者・介護者向けのセミナー・講演を精力的に行う。 著書に『子育てとばして介護かよ』(KADOKAWA)、『親の介護がツラくなる前に知っておきたいこと』(WAVE出版)など。 Twitter @babakikaku_s
和氣 美枝
1971年埼玉県生まれ。一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)代表理事、株式会社ワーク&ケアバランス研究所代表取締役。レビー小体型認知症のある母親(80代)と暮らす、現役の働く介護者でもある。「介護と言えば地域包括支援センター」を合言葉にした、わかりやすい企業セミナー、介護者に寄り添う介護相談で定評がある。一方、「介護離職防止対策アドバイザー」の養成、関係省庁や経済団体と議論を重ねるなど、「介護をしながら働くことが当たり前の社会」を作るための活動を最前線で取り組む。 Twitter:@Waki_KR0 ケアラーズコンシェル ワーク&ケアバランス研究所 一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)
1971年埼玉県生まれ。一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)代表理事、株式会社ワーク&ケアバランス研究所代表取締役。レビー小体型認知症のある母親(80代)と暮らす、現役の働く介護者でもある。「介護と言えば地域包括支援センター」を合言葉にした、わかりやすい企業セミナー、介護者に寄り添う介護相談で定評がある。一方、「介護離職防止対策アドバイザー」の養成、関係省庁や経済団体と議論を重ねるなど、「介護をしながら働くことが当たり前の社会」を作るための活動を最前線で取り組む。 Twitter:@Waki_KR0 ケアラーズコンシェル ワーク&ケアバランス研究所 一般社団法人介護離職防止対策促進機構(KABS)