小児がんの子が5歳で結婚式 「こどもホスピス」で実現した「人生最良の1日」

「こどもホスピス」#3 ~5歳児の結婚式と七五三~

フリーライター:浜田 奈美

「いけばよかった」と後悔してほしくない

「れいちゃん、うみそらにまた行きたいからと放射線治療も頑張ってくれて、来られたんです。体調はよくなかったけれど、釣りもして花火もして、本当に楽しかった。あれが最後になってしまうとは思っていなくて……」

結婚式の様子をFacebookに投稿した9月23日は、玲花ちゃんの6回目の誕生日でした。玲花ちゃんは旅立ってしまいましたが、この日は家族とはるぽん、はるぽんのママさんも駆けつけ、スタッフとともに誕生日を祝ったそうです。

美しい着物姿で晴れ晴れとほほ笑む玲花ちゃん。
家族みんなでたくさん作った餃子を、口いっぱいにほおばる玲花ちゃん。
横に座る新郎のはるぽんに、ケーキを「あーん」する、花嫁姿の玲花ちゃん。
愛美さんと文弥さんのスマートフォンには、本当にたくさんの玲花ちゃんの笑顔が、記録されています。

それらの写真を涙ながらに愛でながら、愛美さんは、「どの写真の玲花も、うみそらだから見ることができた特別なもの」と断言します。そして、同じ境遇にある家族たちへの思いを、語ってくれました。

「玲花の体験を通して、こどもホスピスを利用することに迷われているご家族の後押しになれたらと思います。今、子どもたちを支えているご家族には、私のように『もっと早く連れていけばよかった』と、後悔してほしくありません。

勇気を出した先には、子どもたちの笑顔があふれる『第二のおうち』があることを、知っていただけたら。そして、治療を頑張っている子どもたちが、自宅や病院以外でも安心して過ごせるおうちが各地に増えてほしいと願っています」


取材・文/浜田奈美

フリーライター浜田奈美が、こどもホスピス「うみとそらのおうち」での物語を描いたノンフィクション。高橋源一郎氏推薦。『最後の花火 横浜こどもホスピス「うみそら」物語』(朝日新聞出版)
すべての画像を見る(全8枚)
この記事の画像をもっと見る(全8枚)
27 件
はまだ なみ

浜田 奈美

Nami Hamada
フリーライター

1969年、さいたま市出身。埼玉県立浦和第一女子高校を経て早稲田大学教育学部卒業ののち、1993年2月に朝日新聞に入社。 大阪運動部(現スポーツ部)を振り出しに、高知支局や大阪社会部、アエラ編集部、東京本社文化部などで記者として勤務。勤続30年を迎えた2023年3月に退社後、フリーライターとして活動。 2024年5月、国内では2例目となる“コミュニティー型”のこどもホスピス「うみとそらのおうち」(横浜市金沢区)に密着取材したノンフィクション『最後の花火』(朝日新聞出版)を刊行した。

1969年、さいたま市出身。埼玉県立浦和第一女子高校を経て早稲田大学教育学部卒業ののち、1993年2月に朝日新聞に入社。 大阪運動部(現スポーツ部)を振り出しに、高知支局や大阪社会部、アエラ編集部、東京本社文化部などで記者として勤務。勤続30年を迎えた2023年3月に退社後、フリーライターとして活動。 2024年5月、国内では2例目となる“コミュニティー型”のこどもホスピス「うみとそらのおうち」(横浜市金沢区)に密着取材したノンフィクション『最後の花火』(朝日新聞出版)を刊行した。