子どもに「性の話」 保護者への性教育講座で助産師が教える3大ポイント

助産師・思春期保健相談士の田中まゆ氏に聞く「子どもの性の困った!」#1〜性の話の伝え方〜

助産師・思春期保健相談士:田中 まゆ

子どもへ性教育は伝え方がポイント。親の抵抗感も薄まるかもしれません。写真:アフロ

近年、性教育の関連書籍や絵本が多数出版され、子どもの性教育は大きく注目されています。「とはいえ、子どもに性教育をどう始めたらいいのかわからない」と悩むパパママもいることでしょう。

助産師で思春期保健相談士の田中まゆさんに、子どもへの伝え方のポイントを教えていただきました。
※全3回の1回目

自身の経験から学んだ「性をタブー視しないこと」の大切さ

助産師の仕事をしながら、思春期保健相談士として小中学校での性教育の講演や保護者向けの性教育講座などの活動もしている田中まゆさん。中学2年生ごろには、すでに妊娠・出産に関わる職業に就きたいと思っていたそうです。

「子どものころから性に関することに興味がありました。学校の保健体育の授業がとても楽しみで、つきつめると妊娠・出産という現象にとても興味があったんです。当時読んでいた少し大人向けの少女漫画雑誌からも知識を得ていました(笑)。

それに、私は周りの友達と比べて体の成長がゆっくりだったんです。成長しないことへの焦りがあり、早く大人になりたいと思っていました」(田中さん)

田中さんとのやりとりのひとコマ。その場が明るくなるような笑顔を浮かべて話す様子が印象的でした。Zoom取材にて

性に関して興味津々な田中さんでしたが、家庭では性に関する話題はタブー。教育熱心で「男女交際なんてもってのほか」という雰囲気を出されるなど、母親からは厳しく育てられました。

「母からは、初潮のときも無言で生理用品を渡されました。性をタブー視する背景には、『早くセックスを経験してほしくない』『妊娠するようなことがあってはならない』などの心配があったのだと思います。

でも、あまりにも前段階で遮断されてしまうと、困ったことがあっても親に相談できなくなってしまいますよね」(田中さん)

このような自身の経験から、保護者向けの性教育講座で「性をタブー視しないことの大切さ」を伝えているそうです。

田中さんが性教育の活動を始めたきっかけは、就職先の病院が、中学校で性教育の講演を行なっていたからだと言います。

「性教育の活動をしたいと思った理由の一つに、私自身が学校や家で充分に性教育を受けてこなかったことがあります。

助産師免許を取得する過程で生殖や妊娠について詳しく学びましたが、裏を返せば、『助産師にならないと、ここまでの知識を得ることができない』ことでもありました。

でも、人の命や体に関わることであり、助産師でなくても必要な知識ですよね。自分が学んだことを生かして必要な知識を届けたいと思っていたところ、ちょうど職場でそのような機会があり、性教育の活動をスタートしました」(田中さん)

助産師になって2年目に、先輩の影響で「思春期保健相談士」の資格を取得した田中さん。思春期保健相談士は、日本家族計画協会(※2)が認定する資格で、専門的な知識を身につけて思春期の子どもたちを支援することを目的としています。
※2「日本家族計画協会」=1954年から行政と協力し、家族計画・母子保健の普及啓発事業を推進する公益民間団体。

2018年に保護者向けの性教育講座を行った田中さん。現在は多忙により個人参加できる講座の頻度は減っており、おもに幼稚園や学校などから依頼で、実施しているそうです。 写真提供:田中まゆ
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