1日に何度も訪れる赤ちゃんへの授乳タイム。つい時間を有効活用したくて、スマホを見ながら授乳やミルクをあげているというママやパパもいることでしょう。そこで授乳中にスマホを使用したときの赤ちゃんの影響について、公認心理師であり、臨床心理士の帆足暁子さんに解説してもらいました。
授乳の役割は栄養補給だけじゃない
赤ちゃんに母乳やミルクをあげている間、スマホでSNSやニュースをチェックしたり、夕食のレシピを検索したりすることは、毎日忙しいパパやママにとって有意義な時間の過ごし方かもしれません。
でも、赤ちゃんにとっての授乳タイムは、空腹を満たすだけの時間ではありません。精神的な幸福感を得たり、パパやママとの関係を築く大切な時間でもあるのです。
人は人と目を合わせて心を通わせ、心のつながりを作りますが、生まれてすぐの赤ちゃんはまだよく目が見えていません。赤ちゃんの目の焦点が合うのはだいたい30cmのところ。これはちょうど授乳中の赤ちゃんとママの目の距離です。
赤ちゃんにいろいろな図形を見せる実験をすると、人間の目のように黒い点が2つある人の顔の図形を一生懸命見ようとします。視力の弱い、生まれてすぐの赤ちゃんでも「30cmのところにある黒い2つの点を見る」という特性があることから、「授乳中にアイコタクトをして、ママと心をつなげること」は、遺伝子に組み込まれた本能的なものだと考えられているのです。