【子どもの口のケガ】抜けた・折れた・飲み込んだ! 症状別「応急処置」とは? 〔小児歯科専門医指導医〕がわかりやすく解説

子どもの口のケガ〔宮新美智世先生〕#2

日本外傷歯学会副理事長:宮新 美智世

「歯が折れた」ときの対応方法

──では、歯が折れたり欠けたりしたときは、どう対応すればよいでしょうか?

宮新先生:歯が折れた場合は、もし見つけることができたら、欠けた破片を乾燥しないように持ってきてください。

乾燥が強いと歯の色が濁ってしまうことがあるため、軽く水道水にひたすか、湿ったものに包んで持ってきてもらうとよいです。

──歯が抜けた場合は水道水で洗ってはいけないのに、折れた歯は水道水を使っていいんですね?

宮新先生:よく誤解されやすい点ですが、すでに述べたように、歯が抜けた場合は、歯根膜という生きた細胞を守らなければならず、塩素を含む水道水は逆効果です。

一方で、折れた歯は守るべき細胞はないので、目的はあくまでも乾燥防止です。砂や汚れが付いていても歯科医で清潔にできますから、そのまま持ってきてください。

──欠けた部分は、必ず元どおりに接着できるのでしょうか?

宮新先生:「接着できる場合もある」と考えてください。折れた歯は細かく飛散している部分も多く、完全に拾い上げられるとは限りません。

また、割りばしを素手で折る場面を想像してみると、ポキッと折れた瞬間、持っている手にも痛みが走りますよね。歯も同じで、見た目には一部欠けただけでも、その衝撃が内部の神経(歯髄)や歯の根(歯根)にまで及んでいることがあります。

そのため、欠けた部分を“貼り付ければ終わり”ではなく、神経(歯髄)の治療や、歯を元に戻したり固定が必要になる場合もあります。

ただ、治療は早く受けたほうが痛みを感じることなく、安心して食事がとれるようになるので、ぜひ当日中に受診していただければと思います。

「歯を飲み込んだとき」呼吸確認をして119番を! 

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