【子どもの歯列矯正】専門家のわかりやすい解説 「嚙み合わせが見た目よりも大切!」 幼児の歯の重要な見守り方

歯列矯正専門医に聞く「子どもの歯並びと歯列矯正」#3 歯の見守り方

はやし矯正・歯列育成クリニック院長:林 亮助

家庭で子どもと一緒に歯磨きをするのが歯の健康を保つ第一歩です。  写真:アフロ
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近年、需要が拡大している小児歯科。なかでも子どもの歯列矯正へのニーズは高まっています。

矯正歯科医で、長年多くの子どもたちの歯を見守ってきた「はやし矯正・歯列育成クリニック」の林亮助先生に、子どもの歯列矯正について教わりました。

第1回子どもの歯列矯正の現状、第2回治療方法に続き、第3回は、保護者ができる子どもの歯の見守り方について。

※3回目/全3回(#1#2を読む)

●林亮助PROFILE
はやし矯正・歯列育成クリニック院長。歯学博士・日本大学兼任講師・日本矯正歯科学会認定医。20年以上、矯正歯科を専門に研究と臨床を行う。2022年、小児矯正から成人矯正までを扱う矯正歯科専門の「はやし矯正・歯列育成クリニック」(東京都世田谷区)を開院。

乳歯のすきっ歯はあごが成長している証

歯を健康に保つことの大切さを実感している保護者にとって、子どもの歯の成長をどのように見守っていけばよいのかは、とても気になるところです。特に乳歯から永久歯への生え変わりのタイミングは、個人差も大きいこともあり悩みがちなポイントでもあります。

「大体5歳ぐらいから、前歯の乳歯の隙間が開いてくるのが理想的ですね。あごが成長するにしたがって、小さい乳歯にはすき間が出てきます。幼児期のすきっ歯はたいていの場合、心配はありません。そのあとに大きい永久歯が生えてすき間が埋まり、歯並びが整っていきます。

保護者にお願いしたいのは、歯ブラシとかフロスをしてあげるタイミングなどでのチェックですね。ただこのすき間は個人差がとてもあるので、今すき間がなくても心配しすぎる必要はありません」

口の中の大黒柱「6歳臼歯」をチェック

もうひとつの家庭でできるチェックポイントは「6歳臼歯(ろくさいきゅうし)」が生えてきているかどうかです。

「小学校に入るころ(5~6歳)になると20本の乳歯列のうしろ(一番奥)に、永久歯の中で一番大きく、嚙む力のもっとも強い歯が生えてきます。6歳ごろに生えてくるので、6歳臼歯とも言います。

6歳臼歯は嚙み合わせの鍵と言われることもある、歯並びや嚙み合わせの基本となる、いわば口の中の大黒柱的な歯です。この歯が7歳になっても出てこないようであったら、歯科医に相談したほうがいいです。この6歳臼歯は、スムーズに出てこない子も少なくはありませんので、ここは気にしてほしいです」

6歳臼歯。一番奥に生える大きな永久歯。虫歯にもなりやすいので、生えてきてからは、しっかり歯磨きをしましょう。  写真提供/はやし矯正・歯列育成クリニック

もっとも気にすべきは嚙み合わせ

審美的なイメージもある歯列矯正ですが、子どもの歯列矯正で一番大切なのは正しい嚙み合わせを作ることだと林先生は続けます。

「第一に、直すべきなのは嚙み合わせが正しくない場合です。子どもの場合は特に気にしないといけない点です。

きちんと嚙み合わせが問題のない状態になってから、はじめて審美的なことを気にしてもいい段階になるんです。それらのことを保護者が分かったうえで、歯列矯正を考えてもらえるといいと思います」

では、最後に子どもの歯列矯正を検討している方へのメッセージを。

「最初(第1回)にお話ししたように、子どもの歯列矯正は成長過程におこなうものです。ゆえにとてもセンシティブな診断と治療が必要になってきます。

早いうちに矯正を始めなければならないとか、ワイヤーよりマウスピースのほうがラクにできるなどという情報だけに惑わされることなく、気になることは歯科医師に納得するまで質問をしてみてください。

また、子どものころから正しい歯磨きの習慣をつけることは、本当に大切です。子育てで忙しい毎日だと思いますが、子どもと一緒に歯磨きをする、歯磨きチェックをすることから始めて、子どもの歯の健康を守ってあげてください」

第1回のインタビューで林先生がおっしゃった「歯列矯正の歯科医師は、スタートしてゴールするまで長い期間一緒に子どもを見守っていくことになります」という言葉が印象に残りました。

ただ、診察をして治療するだけはなく一緒に子どもの成長を見守ってくれる、そんな歯科医師にならぜひ大切な子どもの歯の健康を守ってほしいと強く思えた言葉でした。

取材・文/関口千鶴

※歯列矯正専門医に聞く「子どもの歯並びと歯列矯正」は全3回(公開日までリンク無効)
第1回
第2回

●関連サイト
はやし矯正・歯列育成クリニック

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はやし りょうすけ

林 亮助

Ryosuke Hayashi
はやし矯正・歯列育成クリニック院長

はやし矯正・歯列育成クリニック院長。歯学博士・日本大学兼任講師・日本矯正歯科学会認定医/代議員。日本歯科大学卒業後、日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座に入局。20年以上にわたり、矯正歯科を専門に研究と臨床を行う。大学病院退職後は、小児歯科専門クリニックに従事し、2022年、東京都世田谷区にはやし矯正・歯列育成クリニックを開院する。 共著に『子育ての基本 お口を育てよう!わが子に贈る最高のギフト』(現代書林)などがある。 ●関連サイト はやし矯正・歯列育成クリニック

はやし矯正・歯列育成クリニック院長。歯学博士・日本大学兼任講師・日本矯正歯科学会認定医/代議員。日本歯科大学卒業後、日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座に入局。20年以上にわたり、矯正歯科を専門に研究と臨床を行う。大学病院退職後は、小児歯科専門クリニックに従事し、2022年、東京都世田谷区にはやし矯正・歯列育成クリニックを開院する。 共著に『子育ての基本 お口を育てよう!わが子に贈る最高のギフト』(現代書林)などがある。 ●関連サイト はやし矯正・歯列育成クリニック

せきぐち ちづる

関口 千鶴

Sekiguchi Chizuru
編集者・ライター

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon

大学卒業後、出版社にて編集者として数多くの雑誌・書籍を手掛ける。その後、親子カフェ経営を経て、独学で保育士免許を取得。現在は、幼児教育・子育て支援・絵本などを中心としたフリーランスの編集者・ライターとして活動中。 ●Instagram chise_kanon