子どもの入院付き添いの過酷な背景には小児科病棟の想像を超える人手不足があった

キープ・ママ・スマイリング理事長・光原ゆき氏に聞く「子どもの入院付き添いの実態」 #2 ~人手不足と医療制度の問題点~

認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング理事長:光原 ゆき

年齢に応じたスタッフの配置がない

しかし、これは病院が悪いのではないということは、活動を進めるうちにわかってきました。今の医療制度が、このような体制を前提としているからです。

多くの人に知ってほしいことですが、保育園や幼稚園では当たり前の、年齢に応じたスタッフの配置が、病院には基本的にはありません。

例えば、保育園ならば、0歳児のクラスは保育士1人につき乳児3人まで、3歳児クラスになると1人の保育士で15人までみることができるようになります。これは、0歳児と3歳児ではお世話にかかる手間が違うのですから、当然のことです。

大人も赤ちゃんも看護師の配置数は同じ

画像提供:認定NPO法人キープ・ママ・スマイリング(イラスト協力:ひいらぎ舎)
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これに対して、病院ではこのような仕組みはありません。大人の患者も0歳の赤ちゃんも、基本的には看護師の配置は変わらないのです。

例えば、重症者が多い急性期の病棟では、患者7人に対して看護師を1人配置することが法律で決められています。これは、大人の病棟でも子どもの病棟でも同じです。

身の回りのことが自分でできる大人の患者であっても、オムツやミルクの世話が必要な赤ちゃんの患者であっても、同じように患者7人に対して看護師1人と決まっているのです。

これは、あまりに現実離れしていると言わざるを得ません。1人の大人がそれほど多くの赤ちゃんを看るのは、たとえ健康であっても不可能です。ましてや病気の子どもですから、通常よりも多くのケアが必要になります。しかし、それをやるだけの人員を配置できるような仕組みにはなっていないのです。

さらに言えば、夜間はこれより看護師の人数は少なくなります。例えば看護師1人で10人の赤ちゃんを看るなどの状況が、当たり前に生まれてしまっているのです。

その結果、病院は足りない人手を埋めるために、やむなく保護者に付き添いを求めることが常態化してしまっているのです。

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