【子どものうつ病】は小学生~思春期の20人にひとり イライラ・過食・過眠 …「うつ病」のサインを見逃すな! 専門医が解説

子どものうつ病#1 ~子どものうつ病と注意すべきサイン~

北海道大学病院子どものこころと発達センター特任教授、児童思春期精神医学専門医:齊藤 卓弥

自傷行為は、以前だと周囲の注意を引くために行うものと思われていましたが、現在では自殺行動と自傷行為は別物ではなく、自傷行為からエスカレートして自殺行動につながる子も多いと考えられています。自殺念慮は思春期がピークで、成人になると徐々に落ち着きます。

年齢によって症状が変わる病気だと理解していないと、「治ったのではないか」「うつ病かと思ったけれど勘違いかもしれない」など、親御さんは対応に悩まれるかもしれません。

特に小学生低学年など小さいお子さんの場合、自分の感情を伝える能力が十分に育っていないため、苦しい気持ちを体の不調として訴える場合がほとんどで、わが子がうつ病だと気づくのはより難しいもの。下記のようなサインを頭に入れておきましょう。

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子どもに見られるうつ病のサイン

■うつ病のこころのサイン
 ゆううつ、悲しい
 無気力、無関心
 意欲、集中力、決断力が低下する
 焦燥感、自責感が強くなる
 悲観的になる
 柔軟な考え方ができなくなる
 将来に希望がもてなくなる


■うつ病のカラダのサイン
 眠れない、もしくは寝すぎる
 食欲が低下する、もしくは食べすぎる
 だるい、疲れやすい、元気が出ない
 頭痛、頭重、めまい、吐き気など

 引用:子どものSOSサイン「うつ病とは?」/厚生労働省

また、次(#2)でお話ししますが、うつ病と不安症や発達障害などの精神疾患を併発している子どもが多いことも見逃されやすい理由に挙げられます。

アメリカのある調査でうつ病の発症年齢を調べたところ、12歳以降で急増することがわかっています。うつ病は、よくなったり悪くなったりと寛解・再燃を繰り返す病気なので、有病率でいうと中高年が高いのですが、初回に発症するうつ病の頻度は思春期(12歳以上)になると急激に高くなり、大人と同じ程度の思春期の子どもがうつ病になるといわれているのです。

中高年のうつ病を減らすためにも、うつ病のサインが見られたらしっかりと治療し、対応することが大事だと思います。

─・─・─・─・─・

第2回は、うつ病になりやすい子どもの特徴、うつ病の治療について伺います。


取材・文/星野早百合

引用:子どものSOSサイン「うつ病とは?」/厚生労働省

●関連サイト
令和6年版自殺対策白書 第2章 こどもの自殺の状況と対策(厚生労働省)

一般人口を対象とした子どもの自殺念慮・企図を含む抑うつ症状の現況(弘前大学)

子どものSOSサイン「うつ病とは?」(厚生労働省)

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さいとう たくや

齊藤 卓弥

Takuya Saito
北海道大学病院子どものこころと発達センター特任教授、児童思春期精神医学専門医

1987年に日本医科大学卒業後、日本医科大学神経科、アメリカ・ニューヨークのコーネル医科大学精神科、アルバート・アインシュタイン医科大学を経て、1999年、日本医科大学にて医学博士取得。 アルバート・アインシュタイン医科大学精神科助教授、日本医科大学精神医学教室准教授を経て、2014年、北海道大学大学院医学研究科児童思春期精神医学講座(現・子どものこころと発達センター)特任教授に就任。児童思春期精神医学の発展、児童思春期精神医学を担う医師の養成に尽力する。 ●北海道大学病院 ●北海道大学病院子どものこころと発達センター

1987年に日本医科大学卒業後、日本医科大学神経科、アメリカ・ニューヨークのコーネル医科大学精神科、アルバート・アインシュタイン医科大学を経て、1999年、日本医科大学にて医学博士取得。 アルバート・アインシュタイン医科大学精神科助教授、日本医科大学精神医学教室准教授を経て、2014年、北海道大学大学院医学研究科児童思春期精神医学講座(現・子どものこころと発達センター)特任教授に就任。児童思春期精神医学の発展、児童思春期精神医学を担う医師の養成に尽力する。 ●北海道大学病院 ●北海道大学病院子どものこころと発達センター

ほしの さゆり

星野 早百合

ライター

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。

編集プロダクション勤務を経て、フリーランス・ライターとして活動。雑誌やWEBメディア、オウンドメディアなどで、ライフスタイル取材や著名人のインタビュー原稿を中心に執筆。 保育園児の娘、夫、シニアの黒パグと暮らす。