「わが子が怪しい…スマホ見てもよい?」と迷う親 小中学生の交際♡の見守り方を専門家が回答
ソーシャルワーカー・鴻巣麻里香さんに聞く「小中学生の恋愛バウンダリー」【2/4】~子どもに伝えるべきこと~
2025.01.16
精神保健福祉士・スクールソーシャルワーカー:鴻巣 麻里香
子どもは警戒心を持つと噓や秘密が増えていく
「親がつい警戒モードに入って𠮟ったりすると、子どもは『もう言わないほうがいいな』となってしまうので、『まずは話してくれてありがとう。で、それって、あなたにとってどのぐらいハッピーなことなのかな?』『付き合うって、具体的にどんなことをするの?』と、しっかり話を聞いてあげてください。
すると、『お父さん、お母さんに話しても、否定せずに聞いてくれるんだ』と安心し、そこから先に苦しいことがあったときにも、話してくれる可能性が高くなります」(鴻巣さん、以下同)
わが子からでなく、ウワサや伝聞で交際を知るケースもあるでしょう。
「必ずしも正しく伝わっているとは限らないので、いたずらに動揺する必要はありません。一番大切なのは、子どもが『親に何を話してくれるか』と『何を話してくれなかったのか』です。
もしかしたら、“付き合っている=普通の友だちの延長線上”で、わざわざ親に言うほどでもないと思っていたかもしれない。ただ単に、恥ずかしくて言えなかったのかもしれません。
問題は、『言ったら𠮟られると思った』というもの。たぶんそれ以前に、親に対して『これを言ったら𠮟られるな』と、心のシャッターを下ろした瞬間があったはず。それは何だったんだろうと、親自身が振り返る必要があります」
そんなとき、シャッターを無理にこじ開けようとすると、子どもは苦しくなって噓や秘密が増えていくそうです。
「普段の会話で少しずつ、『あなたの普段の様子に私は関心があるし、知りたいと思っているんだよ』ということを、子どもに伝えていきましょう。『今日、何か楽しいことあった?』と聞いたら、『なんだよ、いきなり』と返ってくるかもしれません。
そうしたら、『楽しいことがあったほうがいいし、どんなことがあなたにとって楽しいのかな、って気になるじゃん』などと話してみるんです。
さらに、『そういえば、何々ちゃんとは最近遊んでるの?』、『最近、クラスで何が流行ってるの?』などと聞くと、関心を持っているよ、話してくれていいんだよというメッセージになります」
不適切な関係にあることがわかったら……
大切なのは、「いくら恋人であっても、プライベートゾーンを簡単に触らせてはいけないよ」ときちんと伝えること。
「小学校、中学校の低年齢ですでに性的な関係があるのは、『年齢に見合っていない不適切な関係』ですよね。子どもがたとえ望んでいても、そこは問題にしたほうがいいと思います。
ただし、頭ごなしに『やめなさい』と言うのではなく、『その行為が不適切である』ことを説明することが大切。プライベートゾーンを簡単に触らせたり見せたりすると、将来大人になったときに、望まない妊娠などにつながるリスクがありますから」
行き過ぎたスキンシップは不適切なことだと子どもが気づいたら、そこから相手との間にバウンダリーを引きなおすサポートをしてあげるといいと鴻巣さん。
「望まないのにされた、常習化している、年齢に見合わないような進みすぎた関係があるなどの場合は、子どもに『不適切なことだ』と理解させることが大切。そのうえで、『そのとき、どんな状況だったのかな』と状況を把握し、『何て言えばよかったかな』、『今度はなんて言おうか』と、一緒に考えていきましょう」
子どもたちの間で不適切な関係が進行していることは、相手の保護者や学校の先生など、関係する大人でしっかり共有する必要があります。
「その際には、『あなたたちを守るために、ごく限られた人たちの間で話し合いをさせてほしい。あなたのプライバシーは絶対守られるようにするし、不利益をこうむらないようにするね』と、子どもに伝えることが大切です。
『このことについて話を聞いてくれる、カウンセラーさんやお医者さんがいるよ』と、子どもに提案してみるのもひとつの対処法だと思います」