「心臓病の子ども」を救う 心・血管修復パッチが販売 「新プロジェクトX」で紹介 「下町ロケット」続編のモデルにも 

心臓外科医・根本慎太郎先生のアイデアがきっかけーー大阪医科薬科大・帝人・福井経編が共同開発

新開発「心臓パッチ」6月12日より販売開始決定 ドキュメンタリーも放送

▲心・血管修復パッチ「シンフォリウム®」の販売開始が6月12日に決定した。写真は5月27日に行われた、大阪医科薬科大学、帝人株式会社、福井経編興業株式会社による記者会見の様子。(写真提供:大阪医科薬科大学)

日本では約100人に1人の割合で「先天性心疾患」の赤ちゃんが生まれている。

「先天性心疾患」は、生まれつき心臓の中のしきりに穴があったり、出入りする血管が狭くなったりしている病気。手術では「パッチ」を使って穴を塞いだり血管を広げたりするが、患者の成長に伴い再手術による交換が必要になることがあった。

心臓病の子どもにとって負担の大きな再手術のリスクを減らすため、心臓外科医・根本慎太郎氏(大阪医科薬科大学病院・小児心臓血管外科診療科長)のアイデアをきっかけに、「患者の自己組織に置き換わり、身体の成長に合わせて伸張可能な特殊素材のパッチ」を、大阪医科薬科大学、帝人株式会社、福井経編興業株式会社の3者が共同開発、世界で初めて実用化した。

パッチの開発計画は、直木賞作家・池井戸潤さんの小説『下町ロケット』の続編に登場する「ガウディ計画」のモデルにもなったことで知られている。

この心・血管修復パッチ「シンフォリウム」は、2023年7月に厚生労働省より製造販売承認を取得したのち、今年2024年5月27日(月)には開発をてがけた3者による記者会見が行われ、6月12日より販売が開始されることが発表された。

販売開始の直前となる6月8日(土)には、NHKの人気番組「新プロジェクトX」にて、開発の様子を取材した「技術よ 小さき命を救え 〜町工場 夢の心臓・血管パッチ開発〜」が放送される。

放送予定:NHK総合 2024年6月8日(土) 午後7:30〜午後8:15

心臓病の子どもを救う・根本慎太郎先生

根本慎太郎先生(大阪医科薬科大学病院・小児心臓血管外科診療科長)

心・血管修復パッチ「シンフォリウム」は、生まれつき心臓病を持つ「先天性心疾患」を専門に治療している根本慎太郎先生(大阪医科薬科大学病院・小児心臓血管外科診療科長)のアイデアによって生まれた。

根本先生に取材した、「先天性心疾患」の解説とパッチ開発についてのエピソードの連載(全3回)は、以下のリンクより読むことができる。