捨てられない子どもの「おもちゃ・洋服・思い出の品」 片づけのプロが教える解決法!

子育て家庭のスッキリ簡単お片づけ 基本の「き」 #3 子どもの物の手放し方

子どもがこだわる物とお片づけ

大人にとってゴミだと感じてしまう物も、子どもが捨てたくないと主張する物があります。どの子もそれぞれ、物に対するこだわりがあります。

それがそのときの子どもの「価値観」です。子どもの価値観を無視して大人の価値観に合わせて無理に捨てようとすると、子どもとの関係が壊れかねません。

ママとしては「片づけたいのに片づかない」状況に困ってしまうこともしばしばありますが、こんな場合はどのように対処すればよいでしょうか。

「親が不要だと感じる物でも、子どもにとっては『宝物』ということがよくあります。

そういう物はとっておいてあげたらいいでしょう。子どもの目につかないところにまとめて保管し、時間が経ったら子どもと一緒に再度、確認するようにします。

大切なのは、子どもと親の感覚が異なることを理解して、判断を子どもに任せること。そして、子どもの気が済むまでつき合うことです。

『ママはちゃんとあなたの意見を聞いているよ』という姿勢を見せることで、子どもとの信頼関係を築くことができます」(石牟礼さん)

ママが片づけたいからといって子どもの主張を聞き入れないと、子どもは「ママが自分のことをわかってくれなかった」「大事にしてくれなかった」と自己肯定感を下げてしまう原因になる可能性もあります。

ケンカにならないにしても「親に大事なものを捨てられた」「自分の大切なものを理解してくれなかった」と心に残ることになります。

子どもの感覚で「大切」だと思っているものは、その気持ちに寄り添って、その場ではとっておくことが大切です。 写真:アフロ

家族と一緒に「これならできそう」から片づけスタートを!

子どもとの信頼関係を損なわないためにも、「コミュニケーションが大切」だと石牟礼さんは話します。

「子どもにとって、家は健やかな成長のためにとても大切な場所です。ただでさえ好奇心旺盛な時期なのに、家の中が散らかっていると情報過多で注意散漫になり、集中がしにくい状況となってしまいます。

スッキリ片づいていれば、子どもとしてもやるべきことが明確になり、毎日をシンプルに過ごせるようになります」(石牟礼さん)

また、日常生活の中で精神的にも時間的にも余裕ができると、自分の感覚に基づいて新たな学びやそのほかの活動に興味を持てるようになります。世界観が広がり、新しいチャンスや気づきを得やすくなります。

そして、気づきを素早く判断し、すぐに行動に移すことができるようになります。

コミュニケーションを密にとりながら、ママと一緒に片づけをしていくことで、子どもの健やかな成長を促していくこともできます。

「ママも子どもも、初めから完璧な片づけを目指す必要はありません。

少しずつコミュニケーションを積み重ねていくことで、家の中も家族の関係も変化してきます。変化に気づくころには、家の中はスッキリし、あなたの家も開運ハウスとなっていることでしょう」(石牟礼さん)

まずはママが「これならできそう」と思うことから、家族を巻き込んで一緒に片づけを始めてみてはいかがでしょうか。

─◆─◆─◆─◆─◆─◆

◆石牟礼 ともよ(いしむれ ともよ)
動線片づけコンサルタント。整理収納アドバイザー1級、ライフオーガナイザー1級、福祉住環境コーディネーター3級。片づけを仕事にしてキャリア11年。お片づけ訪問・相談実績は、のべ750軒以上。ヤングケアラーだった幼少期の経験、重度の埃アレルギーを持つ旦那さん、極度の遠視を持つ娘さんとの暮らしを通して、効率の良い家事テクニックを培う。生活スタイルに合わせて物を配置する「動線片づけ」は、家事や育児に忙しいお母さんたちに好評。また、よりシンプルに暮らすことをモットーにした家は、物事がはかどりやすく「開運ハウス」と呼ばれている。

取材・文/星野美香

【子育て家庭のスッキリ簡単お片づけ 基本の「き」】の連載は、全3回。
1回目を読む
2回目を読む

24 件