落語家・三遊亭あら馬 2児の母がPTA連合会長と前座修行を掛け持ち!

落語家・三遊亭あら馬さんインタビュー #2 前座修行と子育てとの両立

落語家:三遊亭 あら馬

PTA連合会長をしながらの前座修行

撮影:土居麻紀子

――前座修行中、PTAでの活動は、まったくしていなかったのでしょうか。

「前座4年目のとき、PTA会長経験者の先輩落語家に相談をして、PTA連合の会長を務めました。
PTA連合会長は、住んでいる区の小学校42校のトップ。そのため、すべてのスケジュールを握れるんです。
10時半に浅草演芸ホールの寄席に行かなきゃいけないときは、朝9時半からの会議にしてもらったり、会議が長引いたときも『私は、あと5分で退席するので、一旦結びます。結論〇〇ですよね。まだご意見ある方は、私の退席後も続けてください』と、ちゃちゃっと結論を流しておいて、私は帰るという。
でも、結局すぐに『会長がいないとまとまらないから、すぐに終わりました』という連絡が来て。
無責任だったかもしれませんが、皆さん、“時間が区切られて助かった”と言っていましたね。
だからPTA連合会長はお薦めです(笑)。ただ、前座の1、2年目では、絶対にできなかったですけどね」

――それでも時間のやりくりが大変だったのではないでしょうか。

「連合会長をしていたときは、全前座のシフトを組むなどの時間調整をする4年目だったので、そこまで大変ではなかったです。

寄席には、昼席と夜席があるのですが、昼席は11時に楽屋に入って、16時半には帰れます。子どもたちには、弁当を持たせて送り出して、帰って、買い物をしてごはんを作る時間もあるんです。
夜席は、16時半から21時までで、学校から帰宅した子どもたちに、『ごはん作ってあるし、おやつ買っといたからね』と伝えて寄席へ行けます。

タイミングが合わないときは、伝言メモを残したりしました。
夜席のときは、夜のお仕事に出かけるような時間ですから、PTA会長をやっていなかったらいろんな噂が立ったかもしれません。
でも、町内の人ほとんどが知り合いですから。『いってらっしゃい! 寄席今度行くね』と、皆さん送り出してくれて。
本当にPTA会長はやっておいてよかったな、と思いましたね(笑)」

撮影:土居麻紀子

受け皿が大きいから、ママでも落語家になれた

「それから、師匠・とん馬が背中を押してくれたからやれた、というところもあります。
前座修業中ですから、連合会長も師匠が許可しなければなれなかったですし、さらに、師匠が、寄席の楽屋で他の師匠方や、お客さま方に、『あら馬はPTA会長なんだよ』と話の種にしてくれて。修業中の身としては、後ろめたさが解消されましたね。

落語芸術協会は、私が入門した当時、年齢制限もまだなかったですし(2018年に35歳の年齢制限が導入された)、変わった経歴の持ち主や、奇想天外な発想をする大人がたくさんいるんです。
だから私みたいな、ママでPTA会長をやっているような落語家がいても全然浮かなかった。そんな落語界の受け皿の大きさが本当にありがたかったですね」

第3回では、二ツ目昇進によって、新たにできたという夢について語っていただきます。

取材・文 石本真樹

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さんゆうてい あらま

三遊亭 あら馬

落語家

落語家。鹿児島県出身。フリーアナウンサー、女優。 2017年1月に三遊亭とん馬に弟子入りし前座見習いとなり、同年4月に楽屋入り。2021年5月21日より二ツ目昇進。 これまでの経験を活かして、子ども目線、保護者目線の落語公演のほか、PTAおよびインクルーシブ教育などの講演会も精力的に開催している。 オフィシャルHP https://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/arama/

落語家。鹿児島県出身。フリーアナウンサー、女優。 2017年1月に三遊亭とん馬に弟子入りし前座見習いとなり、同年4月に楽屋入り。2021年5月21日より二ツ目昇進。 これまでの経験を活かして、子ども目線、保護者目線の落語公演のほか、PTAおよびインクルーシブ教育などの講演会も精力的に開催している。 オフィシャルHP https://ha8.seikyou.ne.jp/home/acco/arama/