育児のどんな場面でAIを使っているの?
AIの利用経験があると答えたパパママに、「どんな場面で利用したか」を聞いた結果が上のグラフです。もっとも多かったのは、「子どもへの対応や伝え方に悩んだとき」「育児ストレスや悩みを軽減する相談相手が欲しいとき」でした。
何か特殊な事態が起きたときというよりは、子育ての日常的な場面において気軽に利用している様子がうかがえます。
利用しているAIについて座談会参加者に聞いたところ、ママが利用するのはChatGPTとGeminiが多く、子ども自身にはAlexaを利用させているという方もいました。
◆【活用術1】子どもの「なぜ?」に答える
ここからは、具体的な活用エピソードをご紹介します。まずは、利用シーンでもっとも多かった「子どもへの対応」について。尽きることのない子どもの「なぜなぜ」に、AIが大活躍しています。
・子どもが最近「なぜ?」が多いので、ChatGPTに「小学生でもわかるように教えて」とお願いしたり、夏休みの自由研究についてAIに相談したりしています。(小1、年少、1歳の男の子のママ)
生成AIは、「小学生でもわかるように」「3歳児に向けて」などと指示することで、年齢に合わせたレベル調整をしてくれるのが助かりますね。
・次男と夜、車に乗っていたとき、窓の外にお月様が見えていて、「どうしてお月様はついてくるの?」と聞かれました。科学的な説明ではなく、4歳の心に寄り添えるようなロマンチックな答えを伝えたくて、ChatGPTに相談したんです。ChatGPTは的確な答えだけでなく、就寝前にできるようなお月様についての短いお話も提案してくれて、親子での寝る前のおしゃべりが、素敵な時間になりました。(小3、4歳、5ヵ月の男の子のママ)
科学的に説明するだけなら検索すれば答えに辿りつきますが、そうではない4歳の心に沿った回答を生成AIが教えてくれるとは驚きです。
◆【活用術2】24時間対応の「愚痴聞き役」
子どもへの対応と同じくらい多かったのが、育児ストレスや悩んだときの相談相手にAIを使うという声です。
・思いついたときにパッと質問を投げかけます。今や、24時間気兼ねなく相談できる頼もしい相談相手、という感覚です。AIはいつも優しく励ましてくれるのがとてもいいなーと思っています!(2歳の女の子のママ)
24時間気兼ねなく相談できるのはAIの最大の利点ですね。「親友のように利用している」と答えてくれたママや「保健センターの担当者には言えないけどAIには言える」というママもいました。
・ストレスが溜まったときに愚痴を聞いてもらっています。ママ友だとそれぞれ子どもの個性が違うので、愚痴がマウントになることもあるし、かといって子なしの友だちにも言いづらいとき、助かっています。育児グッズのおすすめも相談したりします。(年中、5歳の男の子のママ)
「愚痴がマウントになることもある」は共感するママも多いのでしょうか。生身の人間相手だと、どうしても気をつかってしまうもの。「否定せずに聞いてくれる」という安心感は、現代のパパママにとって大きな救いになっているようです。
◆【活用術3】発達や特性についての深い相談
次に多かったのが、子どもの発達やしつけに関する相談です。デリケートな話題だからこそ、AIに相談するという声もありました。
・育児で利用するのは、ほとんどが悩み相談。長男が発達障害のため悩みが多く、友達やネットよりもAIに相談したほうが寄り添ってくれて、的確なアドバイスがもらえる。あまりに優しい返答に思わず泣いてしまったことがある。(小3、小1の男の子のママ)
発達障害のお子さんをもつママからは、こんな意見も。
・発達障がいのため、自治体の援助で何が使えるかを一元化してくれるのが便利。自治体のサイトも引用してくれるので助かる。(小6の女の子、小2の男の子のママ)
複雑な行政サービスや支援制度を一元化して教えてくれるのも、情報処理が得意なAIならではの強みです。
・習い事をやめるべきか、続けるべきか迷ったときに意見をもらった。子の特性や状況ヒアリングを丁寧に進めた上で、やめた場合に家庭でできることなどいろいろと提案してくれたので感心しました。(中1、小4、6歳の男の子のママ)
「やめさせる」「続けさせる」の二択ではなく、第三の選択肢を提案してくれる点は、思考を整理するサポーターとしてうってつけです。
◆【活用術4】献立・遊び・お出かけのアイデア出し
食事のレシピ、子どもとの遊び方について相談している親御さんも多くいました。
・子どもの野菜嫌いが激しいときに、食べるレシピを提案してくれた。買い物リストや作り置きのレシピ・保存方法まで考えてくれた。(1歳の男の子のママ)
好き嫌いを考慮したメニューを用意するのは本当に大変。レシピだけでなく、その先の保存方法まで提案してくれるのは検索では得られない情報です。
・卵アレルギーがあり、食べムラも多く献立に悩んでいる。考えたくないときこそ、AIに聞いて教えてもらっている。(小1の女の子のママ)
献立のバリエーションに行き詰まったときの利用事例です。ただしアレルギーに関する情報には精査が必要な点には注意しましょう。
・夏休みで今あるおもちゃに飽きてしまった際に、ぬりえを作成しました。子どもたちにどんなぬりえがいいかヒアリングして作成。好きなキャラクター、思い描く背景など実現できたことが嬉しかったようで、とても集中して遊んでくれました。(小2、年長の女の子のママ)
子どもとの遊びのバリエーションを増やすのに利用しているという声もありました。
・コパイロット(Microsoft Copilot)を使用しています。お出かけ先を探すときに条件をさまざまつけて対話するように探します。対話しているとこちらの要望も整理されてくるので、最終的にはコパイロットの提案そのままというより、話しながら自身でひらめいた内容に落ち着くことが多いです。インスタでも探しますが、インスタではサーフィンした挙げ句に内容がまとまらずというシーンもあるので、それに比べると早く結論が出せることが多いです。(4歳の女の子のママ)
インスタで検索するよりも、AIと対話することで自身の考えが整理されていきお出かけ先が早く決まるんですね。実践的な使い方でぜひ参考にしたいと思います。
◆そのほか
上記のシーン以外でもAIを積極的に利用しているパパママの意見が複数寄せられました。
・懇談会での自己紹介をどのようにするか決める際に、ChatGPTで子どもの性格など入力し簡潔に、親しみやすい文章を作成してもらった。(小2の男の子のママ)
・先生に角が立たないよう伝えるにはどうしたらよいかを聞くことがある。何パターンか提案してくれるので、組み合わせて使う。(小6の女の子、小2の男の子のママ)
園や学校などに提出する文章に悩んだときに使うという声も多く寄せられました。マミーブレインで頭が回らないときには、特に強い味方になったというリアルな意見もありました。
便利だが使い方には注意 AIは「きれいな日本語で嘘をつく」
アンケートでは、約8割が「抵抗感はない」と回答しましたが、少数派ながら「抵抗がある」「注意している」という冷静な意見もありました。
「抵抗がある」と回答したパパママに理由を聞いてみました。
・仕事で生成AIを使うが、キレイな日本語で噓をつくので、育児の情報が正しいか信用しきれないと思っています。(小2の男の子、3歳の女の子のママ)
生成AIの回答はこのような偽情報や誤情報が一見もっともらしく見える「ハルシネーション」が起きやすいという問題をはらんでいます。とくに、子どもの病気や健康、薬に関わることは、必ず医師や専門機関の情報を確認するようにしましょう。
・自分で考えることなのかなと思うので、楽をしているような気になる。(小5、小3の男の子のママ)
「抵抗ある派」の理由は、主に上記2つに集約されていました。座談会に参加したママのなかにも使い方に気を付けているという声が。
・子どもが直接AIを使うときに気を付けていることは、「ママがいるときに、ママの前で、ママと一緒に」ということを心がけています。子どもってすぐ良くないことでも習得してしまうので。(小1、年少、1歳の男の子のママ)
大人以上にITに関するリテラシーが未熟な子ども。利用させる場合には家庭内でのルールをしっかり定め、注意が必要です。
・夫と喧嘩したときに相談をしようと思ったことはあるのですが、やめておきました。というのも、あるポッドキャスト番組で「AIは自分に寄り添ってくれる回答になりがちで、周りが見えなくなってしまう」と危険性を説いていたんです。なので感情的な悩みはまだ相談したことはありません。(2歳の男の子のママ)
前出のように対人の悩み相談よりも気軽でよい、というママもいましたが、あまり依存してしまうと周りが見えなくなる危険も確かにあります。距離感は意識したほうがよさそうですね。
文部科学省のサイトでは、生成AIの利用にあたっての注意点として、情報の正確性、情報流出、知的財産権の侵害、活用者としてのモラルの4点を挙げています。子どもでもわかりやすい文章になっているので、ぜひお子さんとご覧ください。
AIは現代育児の「最強のサポーター」
今回の調査では、育児にAIを利用しているパパママは約7割、育児にAIを利用するのに抵抗がないパパママは8割という結果で、想像以上にAIが活用されていることがわかりました。
AIの利用によって楽になったり救われたりするメリットがある一方、デメリットや注意点があることは心に留めておかなければならないと強く思いました。みなさんはAIを育児に利用することについてどのように考えますか?
※基本的にアンケート回答の原文をそのまま記載しています。ただし文字数の都合上、一部抜粋や主旨を損なわない範囲の要約・編集を行っている箇所があります。(明らかな誤字等は修正のうえ記載)
コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。
ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。
【関連書籍】
AIと一緒に「図鑑」も広げてみよう! 子どもの「なぜ?」に、本物の写真と映像で学べる図鑑シリーズはいかがですか?





















































































コクリコラボ
コクリコとAnyMaMa LIFESTYLE.Labが協働で、子育て課題解決×読書文化を目指すプロジェクト「コクリコラボ」。 ママの社会復帰を支援するサービス「AnyMaMa(エニママ)」で活躍するママたちのリアルな声を集めながら、新たなサービスや取り組み、ライフスタイルのアイデアを生み出していきます。 (Any MaMaについてはこちら:anymama.jp Twitter: @AnyMaMaJP )
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