まだ間に合う! 夏休みの企業見学&民間学童 賢い利用法を専門家が解説
「こどもクリエ塾」代表・遠藤奈央子氏に聞く、夏休みの上手な乗り切り方 後編 知っておきたい社会見学の予約期間や民間学童
2023.07.09
「こどもクリエ塾」代表:遠藤 奈央子
夏休み目前! すでにサマーキャンプや家族旅行、ママパパの実家への帰省、サマースクールなど、前もって予定を立てているご家庭も多いことでしょう。
一方で、これから夏休みのスケジュールを考えるというご家庭もいると思います。
そこで、民間学童「こどもクリエ塾」代表・遠藤奈央子さんに、今からでも間に合う夏休みの上手な過ごし方について教えていただきました。
(全2回の後編。前編を読む)
遠藤奈央子
(えんどう・なおこ)
民間学童「こどもクリエ塾」代表。社会福祉士。
2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。
現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。
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詳細は記事の最後をご覧ください。
1ヵ月前から予約スタート! 夏休みの穴場は大手企業の社会見学
──夏休みを直前に控えて、今年2023年の夏休みは、昨年までの様子と何か違いを感じますか?
遠藤奈央子さん(以下、遠藤さん):都内においてですが、外出の仕方やイベントの予約状況などをみると、コロナ禍前の状況に戻っているなという印象を受けています。
今は、観光でもアート展でも、どこかへ行こうとすれば基本的に事前の予約が必要ですよね。また、お友だちと遊ぶにしても、それぞれご家庭で予定があるため事前の約束が欠かせません。
都心の子どもたちを取り巻く環境は、予約文化や約束文化が当たり前になっているのが現状ですよね。
──やはり、夏休みのスケジュールを立てるためには、早い時期から動き出す必要があるということでしょうか?
遠藤さん:そうですね。人気のあるイベントや施設などは、皆さん早くから予約に向けて動いていますね。その中でもサマーキャンプは、特に人気が高く、毎年ゴールデンウィーク明けぐらいから申し込みが始まり、6月中旬には手続きが完了している状態なんです。
そもそもサマーキャンプは、都会では味わえない自然の中、子どもが親から離れて集団の規律に従った生活をします。親としてはそういった経験を通して自立心を育んでほしいという想いから、子どもを参加させたいと考えている人は少なくありません。
今年はもう参加は無理でも、来年用に今から情報収集されておいてもよいかと思います。
──今から間に合う夏休みのおすすめの過ごし方はありますか。
遠藤さん:私がおすすめしたいのは、多くの企業で実施している工場見学などの社会見学です。
大手企業が実施している工場見学は、コロナ禍前は半年前の予約が必須でした。ところが、コロナをきっかけに、1ヵ月前の予約が主流になったんです。そのため夏休み直前でも申し込みができるようになりました。
「夏休み×工場見学」とネットで検索すれば、警視庁本部や航空整備場、食品メーカーの工場、酒蔵見学など、都内だけでもたくさんの企業が出てきます。しかも、そのほとんどが無料で楽しめてお土産付きなんです。
多くの企業では、CSR(企業の社会的責任)活動の一貫として積極的に子どもたちを受け入れており、普段見ることができない企業の裏側を特別に見学できるため、大人でも楽しめるようになっています。
また、工場見学は夏休みの自由研究のテーマにもなりますので、見学の際はメモを取るようにするといいですね。
多彩なプログラムが魅力の民間学童
──普段、学童に通われていない子どもでも、夏休みだけ民間学童に通うこともできるのでしょうか。
遠藤さん:夏休みだけ利用できる民間学童はたくさんあります。また公立の学童は、基本的に親の就業状況が問われますが、民間学童では問いません。空きがあれば、ぎりぎりまで申し込みができるところが多いかと思います。
例えば『こどもクリエ塾』では、体験型の遠足や夏休みの宿題対策、読書感想文教室、アート教室、理科の実験教室などを開催しています。そのため、夏休みの期間に「アートを教えてほしい」、「理科の実験をやってみたい」、「読書感想文はプロに指導してもらいたい」というように、目的に合わせて、習い事のような感覚で申し込みをされる方が多いです。
親御さんが働いている場合、夏休みに子どもを遠足や工場見学に連れていこうとすると、お仕事を休まないといけないですよね。
民間学童では1日単位で長時間預けることができるため、親は仕事に専念することができます。加えて、子どもは夏の想い出を作ることができますし、宿題のフォローまでしてもらえると、とても重宝していただいています。
──民間学童にさまざまなプログラムがあることに驚きました。
遠藤さん:そうなんです。例えば「一般社団法人民間学童保育協会」では、全国52社の民間学童が登録されています。こちらを見てもらえると分かるとおり、各学童ではとてもユニークな取り組みを行っており、素晴らしい施設がたくさんあります。ぜひ、いろいろな施設の活動にも注目してもらいたいです。
特に、夏休みは子どもと一緒に過ごす時間が長くなるため、親子でストレスが溜まることも少なくありません。
しかし、民間学童を利用すれば親は自分の時間を持つことができ、かつ子どもは豊富なプログラムの中からさまざまな体験ができます。親と子の双方にとってメリットは大きいと思いますね。
ファシリテーション技術で子どものやる気を引き出す
──前編の記事では、夏休みは子どもが主体性を持って過ごすことが大事だと語っていただきました。例えば、社会見学にしても、自発的に子どもの興味を引き出すために何か工夫できることはありますか。
遠藤さん:いかにファシリテーションをするかですね。つまり、子どもの「行ってみたい!」「やってみたい!」を引き出すために、そのプロセスを親がどうやってサポートしていくかがポイントになります。
例えば、子どもを社会見学に連れていきたいなと思った場合、前編でもお話ししましたが、親が一方的に「この企業の社会見学に行ってみない?」と押し付けるとうまくいかないことが多いです。それは子どもが興味関心を持って自分で選択したわけではないからです。
そうではなく、ある程度、スタートの部分は子どもに寄り添う形のほうがうまくいきます。例えば「夏休みの自由研究どうする?」「どこかに出かけてレポートにまとめるのもありじゃない?」と子ども自身に考えさせるような問いかけですね。
そのほかにも、パソコンやタブレットで子どもと一緒に「社会見学」を検索してみましょう。特に子どもは、文字よりもビジュアルから入りやすいので、画像を見せると反応を示してくれるんですよ。あとは口出しをせずに、企業の一覧から「行ってみたい場所があれば、いくつか候補を出してみて」と子どもに伝えて、ママやパパは席を立つんです。
これは本を選ぶときも同じです。子どもは自分で選んだものは、自主的に取り組みますから。
その中で、たとえ「子どもにはできなそうだな」と思うようなものがあったとしても、親が「それは無理だよ」と否定は決してしないでください。「それって難しくないかな?」と声をかけ、子ども自身に、できるかどうかを考えさせるのです。
そうやって、子どもが自分の考えを整理したり、子ども自身が意思決定できるような問いかけをしたりするファシリテーションのテクニックで、子どもは自ら「やってみたい!」という気持ちを引き出すことができるようになりますよ。
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人気のあるイベントやサマーキャンプなどは受け付けが終了しているところが多い中、意外にも「企業の社会見学」は1ヵ月前からの予約で、自由研究のテーマとしても活用できる穴場だと教わりました。
また、民間学童では、読書感想文や宿題のサポートをしてくれるところもあり、親の時間も確保できる、夏休みの強い味方になるといえます。
この夏は、子どもの「やってみたい!」という気持ちを親がうまく引き出しながら、子どもが主体的に過ごせる楽しい夏休みにしたいですね。
取材・文/山田優子
夏休みの過ごし方は全2回。
前編を読む。
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山田 優子
フリーライター。神奈川出身。1980年生まれ。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、拠点を大阪に移し、さまざまな業界を経て、2018年にフリーランスへ転向。 現在は、ビジネス系の取材記事制作を中心に活動中。1児の母。
フリーライター。神奈川出身。1980年生まれ。新卒で百貨店内の旅行会社に就職。その後、拠点を大阪に移し、さまざまな業界を経て、2018年にフリーランスへ転向。 現在は、ビジネス系の取材記事制作を中心に活動中。1児の母。
遠藤 奈央子
民間学童「こどもクリエ塾」代表。(株)ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。 一般社団法人民間学童保育協会設立代表理事。社会福祉士。 リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。 現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。 主な著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・𠮟る・見守る 親も育つ』(講談社)がある。 Twitter @endonaoko1
民間学童「こどもクリエ塾」代表。(株)ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。 一般社団法人民間学童保育協会設立代表理事。社会福祉士。 リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。 現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。 主な著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・𠮟る・見守る 親も育つ』(講談社)がある。 Twitter @endonaoko1