世界の子どもたちは朝ごはんに何を食べているのでしょうか?
第2回はフランス・パリ編。世界のならいごと第2回にも登場していただいた、フランス在住歴20年のダヴィエ佐知子さんにパリの朝ごはんの様子についてお話してもらいました。
エスカルゴを食べたことがないフランス人の夫
フランスの首都・パリにお住まいのダヴィエ一家は、フランス人の旦那さんと7歳の長男・直人くん、そしてフランス語コーチの仕事をされている佐知子さんの3人家族です。
フランスの朝ごはんと言えば、クロワッサンとカフェ・オ・レというイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。
「朝ごはんの前に、まずはリアルなフランスの食事について少しお話を。
日本だとフォアグラや生ガキはフランスらしい食材と認識されていますが、実際はクリスマスなどの特別な機会にしか口にせず、日常的に食べているわけではありません。“エスカルゴ”も同じ。我が家のフランス人の夫は、食わず嫌いでエスカルゴを今まで一度も口にしたことがないんです! 『僕はムシを食べる趣味はない!』とさえ……。私は結構好きなんですけどね。
そしてフランスの代表的な料理についてですが、私が思い浮かぶものは、わりと地方の名物料理や郷土料理だったりします。
例えばクレープ。元々はフランス北西部にあるブルターニュ地方の料理ですが、今ではフランス中で食べられています。“クレープリー”と呼ばれる、クレープを出す専門レストランでは、そば粉の“ガレット”と呼ばれるクレープに、チーズやハムなどの具を入れた食事系と、小麦粉ベースで、チョコレートやジャムを入れるデザート系の2種類が定番。
クレープは朝食にすることもありますが、おやつの時間に食べることが多いです。
ちなみに、2月2日はシャンドラー(Chandeleur/主の奉献の祝日)というカトリックの祝日があり、俗に“クレープの日”と呼ばれています。その日は、各家庭でクレープを焼いて食べたりします」
フランスも平日の朝は慌ただしく、朝食は簡単に
クレープを朝ごはんに食べるという話が出てきましたが、実際は平日の朝は慌ただしく、朝ごはんもさっと済ますことが多いとのこと。
「朝7時頃には家を出る夫は、牛乳とチョコレートクリームがサンドされたビスケットで済ますことが多いです。職場についてから、コーヒーを飲んでいるとのこと。
息子は牛乳1杯にシリアルバーやりんご、バナナなどのフルーツで簡単に済ませて学校に向かいます。学校の門が8時20分~30分まで、10分ほどしか開いていないので、つい気持ちに余裕がなくなってしまうのも理由のひとつかも。
私もコーヒーとビスケット、あるいは夕飯の残りのバゲットがあればそれを焼いて食べる程度。平日の朝食に時間をかける家庭は少ないと思います」
「ただ、休日の朝には、クロワッサンやヴィエノワズリーと呼ばれる菓子パン類を色々と買ってきて楽しんでいます。パンケーキを焼いて、へーゼルナッツのスプレッドをつけたり。
あとは、朝ごはんにフレンチトーストも作ることもありますね。日本でフレンチトーストが流行っていると耳にしましたが、実際のフランスのフレンチトーストは、残って固くなってしまったバゲットを処理するために考えられたレシピなんですよ。我が家でもバゲットが余っているときによく作っています」
「パリだと朝から焼き立てのバゲットを抱えて歩いている人の姿などのイメージが強いかもしれません。
しかし、朝から買いに行く人たちは、働き盛りの世代というよりは、ゆっくり過ごしている高齢の方々が多いです。
バゲットは、夕方に買ったものが夜の食卓に上ることの方が一般的かな」