名古屋発・小学1年生が劇的に変わった 「プロジェクト型学習」徹底取材

【小学校教育2.0】名古屋市立矢田小学校の挑戦#2「1年生のプロジェクト型学習」

自ら考えプロジェクト型学習を進める1年生  写真提供 矢田小学校
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学校全体でプロジェクト型学習に取り組み、子どもたちが自ら学ぶ力を育む名古屋市立矢田小学校。

低学年でも、教科のなかにプロジェクト型学習の要素を積極的に取り入れており、1年生でも生活科のなかで実践しています(2年生の取り組みは#1を参照)。

小学校に入学してまだ間もない1年生でも、自分で考え、計画を立てて学習を進める「自律的な学び」はできるのでしょうか?

第2回では、1年生での具体的な実践とそのポイント、子どもたちの様子についてうかがいます。

※全3回の第2回(#1を読む)

まずは「ゴールの共有」から始める

今年度(2022年度)の矢田小学校の1年生は、2学期の生活科のなかで、「あきをさがそう」「あきのおもちゃをつくろう」「あきまつりをしよう」という3つのテーマ(単元)をつなげて、プロジェクト型学習の要素を取り入れた学習を行いました。

「あきをさがそう」では、東山の森という公園へ校外学習に出かけました。そこで拾ったどんぐりを活用し、子どもたちはそれぞれおもちゃやゲームなどを作り、『あきまつり』でお店を開きます。

そのおまつりに近くの幼稚園児を招待する、という流れです。

校外学習でどんぐりを拾う子どもたち。  写真提供 矢田小学校

あきまつりを開催するまでに使った授業時間は約7時間(校外学習除く)。比較的長い連続した時間のなかで学習を行う意義を、1年生の担任の中谷優里先生はこう説明します。

「通常は単独で行う単元をあえて組み合わせて、一体的に展開することで、子どもたちが学習の目的やゴールを理解してから取り組めるように工夫しました。

『幼稚園の子たちにおまつりに来てもらおう』という明確でわかりやすいゴールを共有した上で、おもちゃやゲーム作りを行ったので、子どもたちの意欲はより高まったと感じます。

どんなものなら楽しんでもらえるのか、一生懸命考える子どもたちの姿がとても印象的でした」(中谷先生)

ポイントを押さえて子どもたちの「やりたい」を支援

まずは、子どもたち一人ひとりが、自分のお店について、どんなおもちゃを置くのか、ゲームを用意するのかなど、企画を考えて決定します。

その後は一斉授業を挟んで、具体的にどんな準備が必要か考える時間を設けました。

そのなかで「(お店に置くおもちゃやゲームの)材料を決める→実際に作る→試す→直す→看板を書く」という手順を確認。子どもたちは自分のお店作りに当てはめて、必要な材料や作り方などをプリントに書き込んでいきます。

実際に子どもたちが書き込んだプリント。  写真提供 矢田小学校

「1年生は学校での学習経験がまだ少ないこともあり、子どもたちが自分で進めていける部分と、一斉授業で考えたほうが良い部分を、慎重に見極めています。

最初から最後まで、『自分でやってごらん』と任せると、何をやっていいのかわからなくなってしまって、かえって自分のアイデアを形にするのが難しくなる場合もあるんです。

今回は、お店を開くための計画作り(手順確認)は難しそうだと判断し、一斉授業を活用しました。順を追ってみんなで考えるなかで、子どもたちが自分の場合はどうすればいいのかを把握できたので、計画が立てやすくなったと感じます」(中谷先生)

熱心にプリントに書き込んでいます。  写真提供 矢田小学校
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