
読書感想文の「嫌い、書けない、やりたくない」を解決!「親子インタビュー式読書感想文」で親子のコミュニケーションも再構築〔文章力養成講座の専門家が伝授〕
「親子インタビュー式読書感想文」松嶋有香さんが解説① 教材:課題図書『ぼくの色、見つけた!』
2025.07.10
──「小学生が最後のチャンス」という理由はなんですか?
ゆか先生:小学生ならまだ、親の言うことに耳を傾けてくれるからです。
私の講座を受けている子どもたちの話を聞いていると、今の子どもたちは、友達同士でもすごく無難な話しかしないんですね。それは「思っていることをそのまま言ったら、言われた子はどんな風に思うだろう。もしかして怒られたり、嫌われたりするかも」という、怖さを感じているから。むしろ家では、親が子どもを丸ごと受け止めてあげて欲しいと思いますね。
子どもは、自分の言うことを否定され続けたら「どうせ言ってもムダ」と話さなくなりますし、親に怒られたくないので黙ります。親は「黙る=了承」だと受け取るかもしれませんが、子どもは「黙る=拒絶」です。
第2回の記事で説明するもう1つの効果「言語化能力のアップ」にも関係ありますが、考えていることを人に伝えるときには、必ず「言葉」が必要になります。もし今、お子さんと「言葉」を交わしていないなと感じていたら、まず大人である親が、子どもへの接し方を見直してみてください。
〔ゆか先生の体験例〕子どもの言葉を聞く大切さ
講座の面談で、子どもに「自分の良いところを言ってごらん」と言うと、チラッとお母さんの顔を見ることがあります。すると子どもが口を開く前に、お母さんが「うちの子の良いところは……」と話し始めてしまいます。「お母さんに聞いているんじゃないんですよ」と遮っても、子どもは親の顔を伺うばかり。親の評価の方が気になって、自分の言葉に自信がないんです。
そこで私は質問を変えて「みんなから『ありがとう』って言われたことはなに?」と聞いてみました。
すると、「隣の席の子に消しゴムを貸したら、『ありがとう』って言われた」と答えが返ってきました。「困っている子を助けてあげたんだね。やさしいね」というと、(あ、こんなことを言ってもいいんだ)という顔をするんです。すると、ほかにもいろいろ『ありがとう』と言われた経験を話してくれるようになりました。隣で聞いていたお母さんは「知らなかった……」と驚いていましたね。
本来、人を強く傷つけること以外、言ってはいけないことなんてありません。そして親子の会話であれば、ある程度傷つけるような言葉も許してあげられると思います。昔は「親よりも、友達のほうが本音を言える」と言われていましたが、今は逆。
だから子どもが本音で話せる親子関係を築くことが、子どもの自尊心を育て、ストレスフルな社会をどう生き抜いていくか、自分なりの生き方、生きる力を養うことにつながると感じています。
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松嶋 有香
静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」
静岡大学教育学部卒。海外にも教室がある大手塾の講師を経た後、教育支援業と執筆業を開業。文章指導歴は35年というベテラン講師。またライターとして、自身の教室の他、いろいろなプロジェクトで「書くこと」を担当。言葉、子育て系、国語系の記事やコラム、クラファンの広報文などを手がける。地域未来塾、不登校支援のほか、バンド活動も行っている。 オフィシャルサイト 文章力養成コーチ ゆか先生の「書きまくるトレーニング」