『赤毛のアン』の原題は? 『アナと雪の女王』『千と千尋の神隠し』の意外な英語タイトル

「英語でなんて言うの?」 知ってて差がつく“通訳者ママ”の「最新」英語表現 【連載】第11回

通訳者・翻訳家:神本 亜紀

Anne of Green Gables

カナダの作家L・M・モンゴメリが書いた『赤毛のアン』の原題は、〈Anne of Green Gables〉。邦題をそのまま英語にすると〈Anne of Red Hair〉になり、主人公の特徴に通じるものはありますが、ネイティブにこのタイトルを伝えても通じないことがあります。

海外の作品は、日本に入ってきたときに日本版のタイトルがつけられることが多いので、原書を探すときやネイティブと会話をするときは注意するといいでしょう。また、原題を調べてみると、作品にひと味違ったアプローチができます。

たとえば、〈Anne of Green Gables〉の〈Green Gables〉は「緑の切り妻屋根」という意味で、孤児である主人公のアンが引き取られる家の愛称のこと。その家で繰り広げられる物語ということが原題から読み取れます。

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日本オリジナルの作品が、海外で公開・出版されたときのタイトルも調べてみるとおもしろいものです。たとえば、第75回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した『千と千尋の神隠し』は、英語のタイトルを〈Spirited Away〉といいます。

spirited awayは、こつ然といなくなることを意味するので、つまり「神隠し」のこと。身近な作品を調べてみると単語の勉強にもなるでしょう。

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「ハリー・ポッター」シリーズにはイギリス版とアメリカ版がある話

イギリスの作家であるJ・K・ローリングによる「ハリー・ポッター」シリーズは、今や世界中で愛されている小説。原書はいうまでもなく英語で書かれていますが、英語は英語でも、イギリスオリジナル版とアメリカ版があるのをご存知でしょうか。

たとえば、シリーズ第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』のタイトルは……、
イギリスオリジナル版  〈Harry Potter and the Philosopher's Stone〉
アメリカ版       〈Harry Potter and the Sorcerer's Stone〉 です。

アメリカ版はsorcerer(魔法使い)の言葉が使われていて、より子どもの興味をそそるようなタイトルになっています。

そのほか、jumper(イギリスではセーターのこと)という単語はアメリカ版ではsweaterに、colourなどのイギリス英語のスペリングはcolorとアメリカ英語のスペリングに変更するなど、アメリカ版は一部変えられています。

とはいえ、ストーリー自体は同じなので、イギリスの雰囲気を味わいたいときはイギリスオリジナル版を、読みやすさを優先するときはアメリカ版を、好みによって手に取ってみてもいいのかもしれません。

かつては“英語音痴”……第2子出産後の30歳から英語を学び直し、今は通訳者・翻訳家として活躍する神本亜紀(かんもと あき)さんの「英語勉強法」を解説した記事は⬇︎下のバナーからどうぞ!

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かんもと あき

神本 亜紀

通訳者・翻訳家

大学で心理学を専攻しカウンセラーを志すも、学生時代に夫と出会い、卒業後に結婚・出産。英語は大嫌いだったものの、子育て中に出会った英語教育に熱心なママ友や、勤め先からの勧め、我が子の英語教育を前にして親もある程度の英語力がないとダメだと自覚したことで、2人目の子どもを出産後、30歳から英語を真剣に学び直しし始める。 現在は社内通翻訳として勤務するかたわら、フリーランス通訳として各種国際イベントなどで活躍。英検1級までは約5年、TOEIC990点(満点)は約13年かけて到達。英語はいまでも毎日、アップデート中。 ・note(ブログ) https://note.com/englishpuppy/

大学で心理学を専攻しカウンセラーを志すも、学生時代に夫と出会い、卒業後に結婚・出産。英語は大嫌いだったものの、子育て中に出会った英語教育に熱心なママ友や、勤め先からの勧め、我が子の英語教育を前にして親もある程度の英語力がないとダメだと自覚したことで、2人目の子どもを出産後、30歳から英語を真剣に学び直しし始める。 現在は社内通翻訳として勤務するかたわら、フリーランス通訳として各種国際イベントなどで活躍。英検1級までは約5年、TOEIC990点(満点)は約13年かけて到達。英語はいまでも毎日、アップデート中。 ・note(ブログ) https://note.com/englishpuppy/