森の中の絵本美術館で絵本に描かれた「木」の原画を堪能しよう

「木」をテーマに描き続ける絵本作家いせひでこさんの原画展が開催!

幼児図書編集部

森のおうち絵本美術館&コテージは、絵本の中から抜け出してきたような、かわいい絵本美術館です。

長年「木」を描くことをテーマにしてきた絵本作家・いせひでこさんの原画展が行われます。

この夏は、森の中の美術館でゆっくり「木」の絵とむきあってみませんか。
安曇野の森の中にたたずむ森のおうち絵本美術館&コテージ。

「木」の絵ばかりを集めました──いせひでこ

7月7日より、森のおうち絵本原画展で、森の木々にまつわる作品を多数展示します。今年1年間のテーマ『森よ!』にちなんで、100号や50号のキャンバス作品、スケッチ、水彩、絵本の抜粋原画も、全て樹木の絵です。

思えば、宮沢賢治の取材から始まって、木を描くために旅をし、旅をするから木に巡り合う、の繰り返しのうちに、『ルリユールおじさん』の400歳のアカシアを始め、いったい何冊の「木の絵本」が生まれたことでしょう。

『ルリユールおじさん』取材中、1612年に植えられた400歳のアカシアの存在を知ります。そのアカシアを中心に物語は展開しますが、パリにはもう1本400歳のアカシアがありました。それがパリの植物園の絵本『大きな木のような人』に結晶していき、その登場人物たちが日本に移動させたことによって、日光を中心に日本の伝統的な文化を支えてきた木々の職人たちの物語『まつり』が生まれました。

スケッチの旅は発見の連続です。『風の又三郎』(宮沢賢治)ではリンゴ畑よりもサイカチの木に夢中になりました。サイカチ(ハリエンジュ)の木はトゲがあって登れないのに賢治は、村童たちを川のそばのサイカチ淵の木に登らせていました。作家の間違いに気づくのも、取材の楽しい寄り道です。

これらの絵本の他、『絵描き』『チェロの木』『木のあかちゃんズ』『おさびし山のさくらの木』『かしの木の子もりうた』『わたしの木、こころの木』『けんちゃんのもみの木』などの木々たちにも会いに来てください。

いせひでこ

森よ育て「木」のタブローと絵本原画展
2023年7月7日(金)~10月2日(月)

森のおうち絵本美術館&コテージ
住所:長野県安曇野市穂高有明2215-9
電話:0263‐83‐5670

【展示作品】
タブロー「400歳のアカシア」「クロマツ」ほか
『チェロの木』 いせひでこ/作・絵 (偕成社)
『大きな木のような人』いせひでこ/作・絵 (講談社)
『見えない蝶をさがして』『わたしの木、こころの木』『木のあかちゃんズ』(以上、平凡社)などから抜粋

「木」を描き続ける絵本作家いせひでこ

撮影:石井麻木
画家、絵本作家。1949年生まれ。13歳まで北海道で育つ。東京芸術大学卒業。『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞、『水仙月の四日』で産経児童出版文化賞美術賞、『ルリユールおじさん』で講談社出版文化賞絵本賞を受賞する。宮沢賢治とゴッホの研究をライフワークとしており、スケッチの旅での出会いや実感を大切にする現場主義に徹した作品が多い。エッセイに『ふたりのゴッホ』、絵本に『よだかの星』『にいさん』『絵描き』『雲のてんらん会』など多数がある。2007年にはパリで「いせひでこ絵本原画展 絆」を開き、好評を博した。その出会いをきっかけにして東京で開催された2008年の「日仏絵本文化交流原画展 絆」をはじめ、各地での絵本原画やタブロー作品展示を通した絵本の普及にも力を注いでいる。『大きな木のような人』は、仏語版もフランスで同時刊行となる。
大きな木のような人
作:いせひでこ


パリの植物園で、植物学者と少女が出会う。
少女は植物の面白さに目覚め、心に何かが芽生えたことを感じる。
世界中の植物や雄大な樹々に囲まれて、小さいけれど大きな出会い──。

「パリには2本の樹齢400年のアカシアがある。その一本の大樹のある物語はすでに描いた。もう一本の樹ははじめから植物園で大切にされ、樹齢を重ねていた。私の足が、植物園に向かうようになったのは自然のなりゆきだった。
パリの大きな植物園を訪ねては、目が追いつかないほど、四季折々の樹や花や芽を観察することになった。そんな春のこと、私は自宅裏庭のちっちゃな一角に、生まれて初めてひまわりのタネを蒔いた。朝、昼、夕、毎日芽が出ていないかと庭の土におでこを這わせる姿は、まるでチャペックのにわか『園芸家の一年』みたいだった。」 (あとがきより抜粋)
ルリユールおじさん
作:いせひでこ


講談社出版文化賞絵本賞受賞作。

パリの路地裏に、ひっそりと息づいていた手の記憶。本造りの職人(ルリユール)から少女へ、かけがえのないおくりもの。


そのアカシアは、400年間じっとひとところで、自分の足元を行き交う人々の人生を見続けていた。
その中に、壊れた植物図鑑を持ったソフィーと老ルリユール(製本職人)の物語もあった。
まつり
作:いせひでこ


人と木は、ずっといっしょに生きてきた。
まつり──。わたしたちが知と技で伝えてきた、「日本のこころ」の結晶。

パリの植物園を舞台にした『大きな木のような人』のあと、身体が「描きたい」と要求するものをなかなか見つけることができないでいた。そんなとき、私は何かに呼ばれるようにして秋祭りに出かけた。私を呼んだのは、鎮守の森の一本の老ケヤキだった。お囃子にさそわれてか、子どもたちが湧くように現れては、大樹の根やこぶこぶに抱きついたりのぼったりしはじめた──。その中にさえらがいた。私は一気に「まつり」にのみこまれていった。(いせひでこ)

いせ ひでこ

Hideko Ise
画家・絵本作家

1949年生まれ。13歳まで北海道で育つ。東京芸術大学卒業。『マキちゃんのえにっき』で野間児童文芸新人賞、『水仙月の四日』で産経児童出...