声に出して読みたくなる! 『講談えほん 西行 鼓ヶ滝』読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

読み手 ーーおはなし隊隊長 黒澤令子
※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 
キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!
講談えほん「西行」を読む前に、講談のことや西行のことなどを予習するのが最大のポイントであり、はなしの面白さが最大限に味わえるカギになります。

講談とは、落語のように架空の人物や出来事ではなく、歴史上に実在した人物や実際にあった出来事を題材にした話芸です。そして西行とは、平安時代の末期に実在した歌人で、諸国を旅しながら、歌を詠んだとされています。今回の講談えほんの舞台は、鼓ヶ滝。どんなおはなしにになっているのでしょうか。
『講談えほん 西行 鼓ヶ滝』
監:神田松之丞 文:石崎洋司 絵:山村浩二 講談社
表紙は旅支度の西行。これからどんな旅が始まって、どんな歌が詠めるかと期待の微笑みなのか? はたまた、なんて素晴らしい歌が詠めた! の笑顔なのか? 想像を膨らませ、落ち着いたトーンで『西行-鼓ヶ滝』と読み始めます。

見返しをめくると、釈台に座り張り扇を持った講談師の姿が描かれており、講談の世界へと誘います。これからどんな話が始まるのか、聞き手が心の準備ができるよう、西行の後ろ姿もゆっくりと見せてくだい。

落語は会話でストーリーが展開しますが、講談はナレーションをメインに物語がすすむのが特徴。流れるように読み始め、滝にあたる水の音の「ぽーん!」は、鼓の音色のようにワントーン高めに読んでみてください。
『講談えほん 西行 鼓ヶ滝』より
「伝え聞く 鼓ヶ滝に来てみれば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」は和歌を詠むように、そして、自信たっぷりな感じで読んでみてください。
『講談えほん 西行 鼓ヶ滝』より
鼓ヶ滝に長居し、すっかり夜になってしまったところでは、先程までの自信たっぷりな感じから、不安で心細そうな雰囲気へとかわっていきます。そして、あらわれた一軒のあばら屋には、おじいさん、おばあさん、孫むすめが住んでいました。

ここが楽しいところ。
「伝え聞く 鼓ヶ滝に来てみれば 沢辺に咲きし たんぽぽの花」の上の句をじいさんに、中の句をばあさんに、しまいには下の句までも孫むすめになおされてしまいます。テンポ良くコミカルに読んでみてください。

おじいさんやおばあさんなどの年配者の場合は、低い声でゆっくりと、孫むすめのように年齢が若い者は、少し高い声で気持ち早めに読んでみましょう。大げさな声色は子どもたちの想像力の邪魔をしてしまいますので、気をつけましょう。
『講談えほん 西行 鼓ヶ滝』より
あばら屋の三人は「和歌三神」だと悟った西行。「ああ、にどと、うぬぼれないようにしよう……。」の「……。」は、十分に余韻をもって読み終わりましょう。

「西行歌行脚の一席、よみおわりでございます。」と神田松之丞さんの声が聞こえて来そうな一場面です。裏表紙のたんぽぽの花も忘れずに見せて、おわりです。

現代の語り方と違う文章や、現代では使わない単語が出てきますので、あわてずゆっくり読んでください。

まず絵を見ながら黙読し、全体の流れを把握したあとは、声に出して何度も練習できるといいですね。声の大きさ、テンポ、リズム、間がだんだんと表現出来るようになるので、皆さん、チャレンジしてみてくださいね。

●今回読んだ本

『講談えほん 西行 鼓ヶ滝』
監:神田松之丞 文:石崎洋司 絵:山村浩二 講談社

●プラス1冊

江戸相撲に、いきなり幕内から登場した雷電の、その初土俵の勝負のゆくえはいかに。

『講談えほん 雷電為右衛門 雷電の初土俵』
監:神田伯山 文:石崎洋司 絵:いぬんこ 講談社

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう...