主人公の心の成長を描くハロウィン絵本

続いてご紹介するのは、ハロウィンの1日を描いた『ハロウィンのランプ』(作:小林ゆき子)。物語は学校の教室で、みんなでかぼちゃのランプを作るシーンから始まります。

ハロウィンの日、学校でかぼちゃのランプを作ることに。ジーナははりきりますが、うまくいかず、友達のサリーにいじわるをしてしまい――。不思議なハロウィンの1日を描いた『ハロウィンのランプ』(作:小林ゆき子/岩崎書店)。

いちばん怖いランプを作ろうとはりきる主人公のジーナでしたが、先生や友達がほめたのは、なかよしのサリーのランプ。ジーナは、おもしろくありません。みんなが帰る時間になっても、もっと怖いランプを作ろうと、ひとりで居残りをして作り続けました。

やっと完成したランプを手に、お菓子をもらいに家々を回るジーナ。でも、どの家でも<お菓子はなくなった>と言われてしまいます。ガッカリして歩いていると、魔女の格好をした女の子に出会いました。

「パーティーに おくれちゃう!」
「ほら、まにあわないよ。いそごう!」

そうして、ジーナが不思議な女の子に導かれて入ったお屋敷は……なんと、おばけ屋敷!! 本物のおばけのパーティに来てしまったのです。

ちょっぴりドキドキ、でも賑やかで楽しいパーティのひととき。ところが、ジーナが人間の子どもだとわかると、おばけたちは、ジーナを捕まえようと追いかけてきて――。

この絵本のポイントは、等身大の子どもが嫉妬したり、怖い目にあってハラハラしたりする場面が描かれていること。共感しながら、ストーリーのおもしろさに浸ることができます。最後には、主人公の心の成長、友達を思いやる気持ちも感じ取ることができるでしょう。

それに、<かぼちゃのランプは本当に役に立つ>という点が描かれているのも、ハロウィン絵本ならでは。ランプを作ってみたくなります。

主人公は小学生の設定ですが、4・5歳のお子さんでも十分理解できて、楽しめる1冊ですよ。

魔法にかけられた王子の運命は!?

最後にご紹介するのは、私が大好きな魔女の絵本『いたずら王子バートラム』(作:アーノルド・ローベル、訳:湯本香樹実)。作者は『がまくんとかえるくん』シリーズでおなじみの作家、アーノルド・ローベルです。

数々の名作を生み出した人気絵本作家、アーノルド・ローベルの『いたずら王子バートラム』(作:アーノルド・ローベル、訳:湯本香樹実/偕成社)。いたずらばかりするバートラム王子は、ある日、魔女に竜にされてしまい――。

主人公は、いたずらばかりする、いわゆる“悪い子”の王子・バートラム。「むかし むかし、ある国に 王子が うまれました。」と、物語は昔話風に展開していきます。

「でも バートラム王子は、あんまり いい子じゃありませんでした。
おしろの すてきな ベビーベッドのなかで、いちにちじゅう わめきっぱなし。」

「おきさきさまが 公園に つれていけば、よその子に いじわるするし、
まだ あるけもしないくせに、おにわの バラを ぜんぶ むしっちゃう。」

うーん、なかなか大変な子育てです(笑)。私たちと同じように、王様とおきさき様も<いい子に育ってほしい>と願うのですが、大きくなればなるほど、やんちゃになってやりたい放題。みんなは<いたずら王子>と呼ぶようになりました。

そんなある朝、愛用のパチンコで鳥を打ち落とそうとしていたバートラム。ところが誤って、ほうきに乗った魔女に小石を当ててしまいます。怒った魔女は、「アラガビン!」と呪文を唱えて、バートラムを小さな竜にしてしまったのです――。

魔女ですから、怒れば呪いをかけるし、いいことをされれば呪いを解く。ドラマチックな物語を、ただ楽しんでいただけたらと思います。4、5歳以上のお子さんにおすすめしたい絵本です。

直接ハロウィンの描写がなくても、ハロウィンは魔女やおばけ、妖怪たちが一堂に会する日だと言われています。そういった<もののけたち>の絵本を読んで、ぜひハロウィン気分を盛り上げてくださいね♪


取材・文/星野早百合

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とうじょう ともみ

東條 知美

とうじょうともみ 絵本コーディネーター、講師、コラムニスト。1973年新潟県上越市生まれ。白百合女子大学児童文化学科卒業。在学中は桑原...

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