妻の入院1ヵ月半「ワンオペ育児」の子育て戦力外パパが悪戦苦闘でキレまくり!

妻が脳出血!戦力外パパと2児の奮闘記 #3~ワンオペ育児の苦悩編~

ライター:佐野 勝大

子どもたちが思うように動いてくれないことや同じことを何度も言わせることにイラつくパパ。家は自然とピリピリしたムードに……。
写真:アフロ

2021年7月、ママが前触れもなく脳出血で倒れて緊急入院。以降、「ワンオペ育児」に挑んでいるフリーライターのパパ(46歳)。もともと「子育て戦力外」だったパパだからこそ、思うようにいかない育児にストレスがMAX! 家のなかでキレまくるようになってしまい……。

ママの入院をきっかけに、変わり始めたある家族の奮闘記。
第3回は「ワンオペ育児の苦悩編」編です。(第1回#1、第2回#2を読む)

子どもたちとコミュニケーションが増えキレまくる日々

妻がいなくなってからの夕食タイムは、“黙食”になることが多かった。家のなかでも、コロナ対策を徹底していたわけではない。僕がキレて、食卓のムードが悪くなるからだ。

妻が戻ってくるまで「ワンオペ育児」をやり抜くには、子どもたちの協力が必要不可欠。そこで、できるだけ自分のことは自分でやるよう、言い聞かせていた。

ところが、食事時に「お皿を用意して」「ゴハンをよそって」と言っても、なかなか行動を起こさない小6の娘と小3の息子。そのたびに、「ええかげんにせぇよ!」と僕が不機嫌になるというのがお決まりのパターンだった。

僕がキレるのは、夕食のときだけではない。「ゴミはゴミ箱へ」「脱いだ服は洗濯機へ」「洗濯物は自分でタンスにしまう」「食べたらテーブルを拭く」という最低限決めたルールが守れていないときは、「何億回も言うたやろ!」とシャウト。

何度も同じことを言わなければいけないことが、これほどムカつくということを初めて知った。同時に、すぐキレる僕はマネジメントに向いていないだろうと実感。フリーランスで、本当によかった。

また、子どもたち2人に約束させたのは、「きょうだいゲンカをするのは仕方ないけど、絶対に手は出さない」ということ。

妻がいなくなって娘や息子の顔にアザでもできようもんなら、周囲から虐待を疑われかねない。「そうなると、お父さんとも離ればなれになってしまうかもしれへんで」と子どもたちに説明すると、「そうか、逮捕されちゃうかもしれないもんね」と妙に納得しているようだった。

「ワンオペ育児」で子どもたちとのコミュニケーションが増えたことで、調子に乗って“教育”を試みたこともある。

特に何度もしつこく伝えていたのが、「想像すること」の大切さ。「同じ注意をされないようにするには?」「言われたことを守れるようにするには?」などと、何かと想像することを要求した。そうすることで、自ずとその後の行動が変わってくるからだ。

「想像しろ!」と何回言っても子どもたちの生活態度が一向に改善されないので、ジョン・レノンに頼ることにした。少しでも心に響けばという祈りを込めて、名曲『イマジン』を聴かせてみたのだ。ところが、子どもたちはノーリアクション。英語の歌詞の意味がわからないせいか、まったく響かなかったようだ。

あるとき、「お父さんはあんたらよりも小さい頃から、オカンが家におらんかってんで。それにくらべたら、マシやろ! ちゃんとせーや」とキレたことがある。すると、それに対して娘が一言。

「だって、お母さん、急にいなくなっちゃったんだもん……」。

僕は、事情があって小学1年生の頃からオカンとは一緒に暮らしていない。そうか、もともと母親がいないのと、急にいなくなるのとではショックの度合いがまったく違うのか。

「子どもたちも突然の変化で戸惑っている」という、当たり前のことを想像できなかった自分を猛省した。

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