「生理が来るのが楽しみだった」子ども時代

シオリーヌさんは、どのような子ども時代を過ごされたのでしょうか。

「宇宙のように人の力がおよばないようなことに興味を持つ子どもでした。宇宙に関する本をたくさん読んで、その延長で生命の誕生についても。『精子と卵子が出合うってどういうことだろう?』と理科の教科書を熟読して探したこともありました」

4歳の頃のシオリーヌさん。取材中、クルクルと表情を変えながら、愛嬌たっぷりに話す姿に好奇心旺盛な子ども時代の面影がうかがえます。
写真提供:シオリーヌ

シオリーヌさんのご著書『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』には、「なんでも話せる関係」と言うお母さんとのエピソードも書かれています。

「私が子どもの頃から、母は性をタブー視することなく話してくれました。たとえば、一緒にお風呂に入っていると、母の脚の間からたまに紐が見えることがあって。子ども心にすごく気になってしまい、あるとき『お母さん、なんでたまに紐が出ているの?』と聞いてみました。

すると母は、『生理といって、おまたから血が出ることがあるよ。血が出たままだとお風呂に入れないから、おまたにタンポンっていうものを入れてふたをするんだよ。それが取り出せなくなると困るから、紐が出ているんだよ』とごまかさずに教えてくれたのです。

もうひとつ印象的だったのが、小学校4年生の頃のできごとです。母が突然『今から生理の話をします!』とテーブルに生理用品を並べて、ナプキンの貼り方を教えてくれました。かわいいポーチを買ってくれたり、一緒に生理用ショーツを選んだり……。だから、私は生理が来るのが楽しみでした。初経(初めての生理)が来たときには、『ついに来た!』とすぐに母に報告したくらいです」

心身ともに変化を迎え、不安に感じることも多い思春期。シオリーヌさんが、自身の体の成長を肯定的にとらえられていたことがわかります。

「生理の話をしたときに、どう反応するかは子どもによってさまざまです。しかし、幼い頃から生理について伝えておけば、いきなり血を見てびっくりするようなことは避けられるはずです」

「親子の距離感は家庭によって異なるので、すべてをオープンにしすぎる必要はないですし、私と母の関係がベストだとは思っていません。ただ、お子さんに何かあったときに相談できる親子関係でいることは大事ですよね。

保護者の方には、子どもが何かあったときに話しやすい雰囲気を普段から、かもし出していただきたい。たとえば、若年層の妊娠不安の相談が増えていると報道されたのを見て、(親が)『無責任なことをしているからいけないんだよね』と言っていたら、自分が妊娠したかもしれないと思っても相談できないですよね」

性教育を一過性のブームで終わらせたくない

新型コロナウイルスの影響で困っている女性のために、新しい取り組みも行いました。

「妊娠中の方から『コロナの影響で両親学級や母親学級がなくなってしまった』とSNSで相談を受けることがとても増えました。コロナの影響で、妊婦検診ではパートナーの同伴を断られるケースも多いため、両親学級ができないとなると、妊娠・出産・育児について女性がパートナーに教えるような関係性ができてしまいます。

初めての妊娠だとわからないことばかりで不安なのに、主導権を握って教えないといけない。この苦しさは、コロナでより強まっていると感じます。そこで、“オンライン両親学級”というシリーズで、動画を12本アップしました」

12本の“オンライン両親学級”に収録されている内容は、妊娠中に起こる体の変化から産前・産後のメンタル不調、おむつ交換と沐浴の方法など。出産を控えた女性とそのパートナーが知っておくべき情報が幅広く網羅されています。

「私が性教育に関する発信を始めた2017年から考えると、ここ1〜2年で国内の流れが大きく変わっていると感じます。テレビ番組で生理に関する特集を組んだり、性教育の大切さを実感されてアクションを起こす保護者の方が増えたり……。うれしく思う反面、性教育を一過性のブームで終わらせたくない気持ちもあります。

性教育は、やはり学校で行われるのがベストです。国が定める指導要領を変えられるまで反映させたいと思い、政治家の方に性教育の大切さを伝えるようなロビー活動もしています。今後は、一緒に声を上げる仲間を増やして、世論を動かせるような流れをつくりたいですね」

楽しいイラストとカラフルな配色でわかりやすくジェンダーを伝えるシオリーヌさんの絵本『こどもジェンダー』(ワニブックス)

取材・文/畑菜穂子

※性教育YouTuberシオリーヌさんのインタビューは全3回。次は21年6月15日8:00〜公開です(公開日時までリンクは無効)。
【第2回】家庭であるべき性教育について


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寄稿家紹介

シオリーヌ しおりーぬ

助産師/性教育YouTuber。助産師として総合病院産婦人科病棟で勤務ののち、精神科児童思春期病棟で若者の心理ケアを学ぶ。2017年から性教育に関する発信を始め、2019年2月よりYouTubeチャンネルで動画投稿を開始。「性の話をもっと気軽にオープンに」をテーマにYouTubeチャンネルやイベントなどで、性についての情報を発信している。チャンネル登録者数は14.8万人(2021年5月現在)。著書『CHOICE 自分で選びとるための「性」の知識』(イースト・プレス)、『こどもジェンダー』(ワニブックス)が好評発売中。