2021.05.06

鍋が笑いだす!? 『りょうりを してはいけない なべ』 の読み聞かせのコツ

「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」隊長がお教えします

著者:本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

読み手 ーーおはなし隊隊長 佐々木貴美子

※この記事は、講談社絵本通信に掲載の記事を再構成したものです。
 

キャラバンカーに本をたくさん積んで、全国47都道府県におはなしを届ける「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。
幼稚園や保育所、小学校や図書館、書店など様々な訪問先で、おはなし会を重ねてきたおはなし隊の隊長さんが、子どもたちに人気の絵本の読み聞かせのコツをお教えします!

コックが「おいしい料理を作ろう」と買った鍋が、笑って料理を吐き出したり、中に入れる材料を好き嫌いする、とんでもない鍋だったのです。ユニークな鍋の絵の、ナンセンスな楽しいお話です。

『りょうりを してはいけない なべ』
作・絵:シゲタサヤカ 講談社

ずらりと並んだお皿の絵。でもそのお皿の上には、まともに出来上がった料理はひとつもありません。 なぜでしょう? 不思議なお皿たちが、お話へと誘います。

「ここは まちで いちばんにんきの レストラン。きょうも みせは おおいそがし。せんじつ、ひとりの コックが あたらしいなべを かってきました。」

物語の世界に子どもたちを案内していく大事な文章ですね。子どもたちは左下の鍋の絵に注目していますから、その表情を確かめながらゆっくりと読み始めましょう。

「ところが この なべときたら……、」
次のページへと続く文です。「ところが」は、何か予想外のことが起きる予感を表現する読み方で雰囲気をつくり、子どもたちの気持ちをつかんでいきましょう。料理中に笑いだす、とんでもない鍋だったことがわかります。

「ウフフフ! アハハハハ!」
鍋の笑い声は、身勝手な鍋の性格づけをして読みましょう。

「りょうりが ジャバ~!」
鍋が料理を吐き出すイメージで。

突然笑い出すとんでもない鍋
『りょうりを してはいけない なべ』より

鍋は笑っては料理を吐き出し、材料の好き嫌いまでするのです。絵が3つに分かれているページは、どの絵のことかを、指差しをしながら読むとわかりやすいですね。とうとう鍋は料理長に叱られますが、悪びれることなく言い返します。

「だって おもしろいんだも~ん」
生意気そうな口調で表現するとよいですね。

「もう おまえには りょうりを つくらせん!」
料理長がかんかんに怒っているように勢いよく。

料理長はかんかん
『りょうりを してはいけない なべ』より

「1かげつが たちました」の文を読んだあと、「2かげつが たちました」の文を読むまで、少し間をおいて、月日が経過した感じを表すとよいですね。少しずつ働きたくなってきた鍋の心境の変化の言葉は、ぼそぼそと口ごもった感じの言い方で表現できますね。

「そして、3かげつ たった ある ひのこと。その ひは いつにもまして おおいそがし。」
ようやく鍋を使ってもらえるようになります。忙しい厨房のようすは少し早口で読んで変化をつけると、鍋が態度を改めて仕事をするようすの臨場感が伝わります。

大嫌いなエビを入れられても我慢
『りょうりを してはいけない なべ』より

おしまいは、最初のころとは違って、しっかりと料理をして誇らしげな鍋の絵です。そんな気持ちの変化を表現しながら、子どもたちに「よかったね」と安心感を与えるようにやさしく読んでみましょう。

最初の見返しの、料理が未完成のお皿とはうって変わり、おいしそうな料理が盛りつけられたお皿が並んでいますね。子どもたちの心に残るようにしっかり見せてあげてください。

裏の表紙を見せて、表に戻して表紙を見せてから、裏の表紙も開いて、絵がつながっているのを見せます。表紙から裏の表紙まで、子どもたちを、いっぱい楽しませてあげてくださいね♪

子どもたちは「給食の鍋がこれだったらいやだー」と、笑いながら聞いてくれます。ユーモアたっぷりのお話を、絵のメッセージに導いてもらいながら、子どもたちといっしょにお話を楽しんで読んでくださいね。

●今回読んだ本

『りょうりを してはいけない なべ』
作・絵:シゲタサヤカ 講談社

●プラス1冊

食いしんぼのまな板に、気のやさしいコックはこっそり料理をあげますが、まな板はだんだん太っていって……。

『まないたに りょうりを あげないこと』
作・絵:シゲタサヤカ 講談社

著者紹介

本とあそぼう 全国訪問おはなし隊

たくさんの絵本を積んだ2台のキャラバンカーで各都道府県を巡回し、幼稚園、保育所、小学校や図書館、書店などを訪問している、「本とあそぼう 全国訪問おはなし隊」。1999年7月に、講談社90周年記念事業として、スタートしました。
2007年には第55回菊池寛賞、2018年には、メセナ大賞にも選ばれました。
スタートして以来、通算2万2000回以上の訪問、190万人を超える参加者のみなさん、ありがとうございます。次はあなたの町でお会いできるかもしれませんね!

https://www.kodansha.co.jp/ohanashi/
Twitter:@ohanashitai55