2021.07.20

「双子の妊娠」がわかった 「パパだからできること」って何だろう?

多胎妊娠・出産・育児の「父親学級」#1【妊娠期編】

寄稿家:松倉和華子

多胎妊娠・出産は苦労や心配も多い分、赤ちゃんの顔を見られたときのよろこびはひとしおと語るパパ・ママは多い。  写真:松倉和華子

多胎は単胎(1人の赤ちゃん)に比べ、妊娠・出産の負担が大きくなります。だからこそパパは即戦力になる必要があります。また、出産を終えてからも、複数いる新生児の世話は大変で、ママの苦労は想像以上です。そんなとき、パパはいったい何をしてどう乗り越えればよいのか。多胎妊娠・出産・育児をママと一緒に乗りきるために、2人の見識者にアドバイスを伺いました。

一人は4人の男児のパパで、実際に双子を育てながら「育て上げネット」代表を努める工藤啓さん。もう一人は「多胎育児のサポートを考える会」の代表・市倉加寿代さんです。第1回目は「妊娠期編」です。

多胎妊娠が判明したらママの意見を尊重した病院選び

厚生労働省の「多胎(複産)に関する人口動態統計(平成29年度)」(※1)によると多胎家庭は、体外受精が本格化し始めた1980年代後半から急増しており、現在、多胎妊婦は約100人に1人(2016年で分娩1000対10.3)、年間出生児はおよそ50人に1人(2016年で出生1000対19.8)が多胎児です。
※1=「多胎育児家庭の虐待リスクと 家庭訪問型支援の効果等に関する調査研究」より引用

おなかの子が、双子、三つ子だと知らされたとき、多くのパパ・ママは喜びもつかの間、頭が真っ白。ママは病院から多胎妊娠について、出産までのさまざまな危険性を聞かされます。驚いた直後から不安や心配事だらけになる人がほとんどです。
体調の変化が大きいママに無理をさせないためにも、パパがまず率先してやるべきことは病院選びです。

工藤啓さん(以下、工藤さん) 「3番目の子が双子と聞いたときは頭が真っ白になりました(笑)。そして、まず考えなきゃいけないことは病院をどうするか。多胎だと、NICU(新生児集中治療室)のある大学病院や、総合病院でないと受け入れてもらえないことが多いので選択肢は限られますが、その中でもどこを選ぶのか。各家庭の事情にもよりますが、うちは家から近い病院か、少し遠いけど設備がより充実している病院かで悩みました。そして最終的には、妻が希望する遠くても設備がより充実している病院に決めました。

夫婦で話し合ったポイントは、僕が毎回の定期検診などに車で送迎できるかどうか、僕が送迎できないときはタクシーを使えるか。少しの移動すらも母親の身体への負担が大きく、早産などのリスクも高まるのが多胎妊娠なので、移動は必ず車を使うようにしていました」

病院は基本的に、妊娠の定期検診から出産、その後の検診と、1年以上、通うことになります。多胎妊婦では、定期検診の頻度も単胎妊婦より多く、いつ管理入院になるかもわかりません。それらも含め、夫婦でしっかりと話し合い、ママの負担軽減を最優先して病院を選ぶことが大切です。

認定NPO法人「育て上げネット」代表を務め、4児の父(そのうちの2人が双子)である工藤啓さん。
ZOOM取材にて

直接の授乳以外はパパもできるように! 細かい部分まで子育てスキルを習得

病院が決まり、定期検診が始まったら、同時にパパの考え方やライフスタイルを子育て中心に変えていく必要があると市倉さんは言います。

市倉加寿代さん(以下、市倉さん) 「多胎妊娠がわかったら、お父さんにはお母さんと同じ目線に立って育児について考えてほしいです。子育てを“手伝う”という感覚ではなく、お母さんと同じく当事者意識を持つこと。双子、三つ子とはどんなものか、インターネットや本などから、できる限り正確な情報を集めて、自分は何をするべきか、自分の仕事とどう折り合いをつけるかを考える。また役所への提出書類や保育園の手続きなどもお父さんができればいいと思います。多胎妊婦さんは病院へ行くと多胎のリスクについてさまざまな話を聞かされるので、そんなお母さんの不安を少しでもやわらげるように意識してほしいのです。

工藤さん 「うちは上の2人の子育てから“直接の授乳以外は僕にもできる”と考えてやってきました。母乳も搾乳してもらえば、哺乳瓶であげられますし、オムツ替えや沐浴、離乳食や兄弟の世話も妻と同じようにやれるように努力しました。僕の場合、仕事が時間の融通もききやすく、周りの協力体制も整っていたのでできた部分もありますが、多胎育児ではお父さんの子育てスキルがそのくらい必要だと心得ることが大切です。子どもが生まれてからあわてるのではなく、事前に子育ての基本的なことは理解して、できるようになっておいたほうがいいと思います」

妊婦検診と並行して開かれている両親学級では、看護師さんたちが新生児の人形を使って、抱っこの仕方からオムツ替え、沐浴など、育児のHOW TOを教えてくれます。単胎の家庭でもパパの育児参加は必要ですが、多胎家庭も当然と考え、子どもたちが生まれてくる前にしっかりと勉強しておきましょう。

認定NPO法人「フローレンス」に所属しながら「多胎育児のサポートを考える会」の代表を務め、自身も2人の女の子を育てる市倉加寿代さん
ZOOM取材にて

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