「子どもにとって大切なのは、お手伝いより、勉強より、まずは “片づけ”と“身支度”です」と言い切る整理収納アドバイザーのカール友波さん。
片づけと身支度が勉強より大事という、その真意をお聞きすると、「お片づけ、身支度を通して、子どもに自立をしてほしいということです。片づけ、身支度ができれば、勉強やお手伝いも自然とできるようになるからです。片づけや身支度は、自分自身のこと。子どもであっても自分でできないと困りますよね。生活の基本中の基本です。だから、勉強より、お手伝いよりもっと大切だということなんです」
カールさんは、『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』の著者で、お片づけプレゼンターの肩書きで、企業や学校の講座、セミナーなどでも活躍中です。
片づけや身支度が子どもの自立を促すという方法をさらに詳しくお聞きしました。全7回にわたって紹介していきます。今回はその第5回です。
※特に、1年生から低学年の子どもを対象にしています。
本棚にどんな本があるのか、わからない⁉
子どものモノの中で、どうしても増えてしまうのが、本。
今回は、「本の整理」について、カール友波さんにアイデアを教えてもらいました。
「本をよく読む子になってほしい、本に親しんでほしい、と子どものために本を買い与えてしまう、そういうお母さんは多いと思います。それぞれのご家庭の方針ですから、本が増えることについては否定しませんが、収納すべき場所、例えば本棚からあふれて、いわゆる“積読(つんどく)”状態になっていると、子どもが本に親しむ状況にはなっていません」
おっと、これは耳が痛い話ですが、思い当たるお母さん、多いのではないでしょうか。
「本棚って、奥行が深い場合が多いんです。本は収納されているけれど、手前が空いているので、そこに入りきらない本が積まれていたり、モノが置かれて、奥の本が見えなくなっていること、よくあるんです。本棚が有効活用されていない状態です」
家族で使っている本棚なら、子どもはもちろん、大人も何を収納したか、見えなくてわからない状態に陥っています。
“あるある”な状態ですが、こういうことにならないためには、具体的にどうすればいいのでしょうか?
おすすめは収納ボックス
「おすすめしたいのは、本棚の整理に最適な収納ボックスです。私が使っているのは無印良品の“ファイルボックス”という商品で、サイズは幅15㎝×奥行32㎝×高さ12cmのもの。100円ショップでも同じようなものが購入できます」
では、このボックスをどのように使うのでしょうか?
「このボックスに本を入れます。この時入れる本は、子どもの成長に合った本がいいですね。シリーズ本や続きものなどを入れると、まとまっているので本が探しやすくなります」
ただ、あふれている本は、シリーズ本や通巻ものとは限らないですよね。
「確かに、子どもの本は、年齢が低いほど形もさまざま。ページをめくりやすいように厚紙に印刷され、しかも極めて小さいサイズのものや、本の内容に合わせて車や虫などの形をしたものなど、収納しづらいのも片づかない理由です。そんな時に、この収納ボックスが役に立ちます」
つまり、本棚に収納しづらい本も、このボックスに収めてしまえばいいということです。
「小さい本だけでなく大判の絵本、CDやDVD、散らかりがちな小物などを入れることもできますよ。塗り絵とクレヨン、色鉛筆を一緒に入れたり、シール絵本とバラバラになったシールを一緒に入れておいてもいいでしょう」」
本来、奥行32㎝を活かして、縦に置いて整理するものなので、以下の写真のように置いておくと、すっきり片づいて、取り出しやすく、持ち運びもしやすい、ということなのです。
本棚を有効活用する
収納ボックスに本や小物を入れただけでもある程度片づきますが、「これで終わりではありません」と、カールさん。
「本や小物を入れた収納ボックスは、冒頭で説明した“本棚の有効活用”になります。この収納ボックスを本棚の手前のスペースに“横”にして置きます。これで、奥の本もよく見えて、手前もすっきり片づき、なおかつ取り出しやすくなるというわけです」
「ゲームのリモコンなども、散らかるものの代表選手。まとめて収納ボックスに入れて、同様に本棚の手前の空きスペースに置けば、すっきり収納できます」
大判の絵本はディスプレイしても
「また、絵本の表紙は眺めているだけでも楽しいもの。書店や図書館のように表紙を見せるようにディスプレイしてはいかがでしょう。季節に合わせて本を入れ替えてもいいですね」
本好きの子どもにするには
「 “本は捨てない”“本を収納するスペースが十分にある”といった場合は別ですが、増えていく本をそのままにしていると、どんどん積まれ、死蔵します。本は何が収蔵されているか見えていることがとても重要です。ご提案した片づけも、ぜひお子さんと、何を残すか、何を卒業するかを相談しながら決めることがとても大切です」
もちろん、子どもが小さいうちは親が率先してやるしかないとは思いますが……。
「小さい頃からコミュニケーションを取りながら、『この本、好き?』『もうあんまり読まないかな?』などと、話し合いながら残す本を決めていけばいいと思います。そのうち、徐々に子どもだけでも片づけができるようになります」
本がただたくさんあるだけでは、“本好きの子ども”にはならないとカールさんは言います。
自分が今読みたい本はどれか? がわかること。これこそが本を大切にし、本が本当に好きになること。
本棚を見直すだけでも、子どもの自立は実現できるということなのです。
カール友波(かーる となみ) プロフィール
お片づけプレゼンター
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」
深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。
整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。
著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。
https://www.karl-3.jp/
写真:カール友波 構成:時政美由紀
時政 美由紀
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。
1965年兵庫県生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、出版社勤務を経て、2010年、編集・出版企画 ㈱マッチボックスを設立。出版社時代から現在に至るまで企画・編集した書籍・ムックは300冊以上。女性のライフスタイル全般、料理、子育てなどの実用書を中心に活動。2018~2021年、茨城新聞「論壇」にて連載。自著に『50歳から結婚してみませんか?』(朝日新聞出版)。
カール 友波
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」 深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。 整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。 著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。 https://www.karl-3.jp/
キャッチフレーズは「か~るく、明るく、お片づけ!!」 深刻にならず、世間の常識・お片づけの常識にしばられず、その人らしい楽しい生き方を楽しめる、肩ひじはらないお片づけをご提案している。 整理収納アドバイザー1級、整理収納教育士認定講師(子どもの片づけ教育)、時短家事コーディネーター®Basic認定講師、発達支援教育士認定講師(発達障害・グレーゾーンのお子さんの身支度とお金の教育)。 著書は『子どもがどんどん整理整頓したくなる!お片づけ帖』(永岡書店)、『「片づけなさい!」と言わずに家族が勝手に片づけるすごい方法』(PHP研究所)がある。 https://www.karl-3.jp/