【生理の貧困】月経は恥ずかしいこと?元・養護教諭が語る「子どもへの支援」
誰もが生理用品にアクセスしやすい社会になるには #2
今、生理用品をトイレに設置する学校が少しずつ増えてきたが、「本来は自分で用意すべきものなのに」「過保護」「自立を妨げる」などと昔の私のような考えの先生も少なくない。
そういう方はぜひ生理用品をトイレットペーパーに置き換えて想像してみてほしい。自分で用意し、持ち歩くものだったら。もし忘れたら。もし買えなかったら。誰もが経済的、心理的なハードルなく入手、使用できなければ困るはずだ。
生理は様々なハンデになる。大学入試やたいせつな試合と生理が重なり、力を発揮できなかったと悔し涙を流す生徒はたくさんいた。生理痛を男性教員に言い出せずに我慢して倒れてしまった生徒も複数いた。
生理による行き場のない悔しさ、辛さ、羞恥心を減らしていくには、積極的な支援と生理に関する教育が不可欠だ。大人は「みんな乗り越えてきたのだからあなたも我慢しなさい」ではなく、「自分たちが困ったから、知らなかったから、生きやすい方法を一緒に考えていこう」という姿勢でいてほしい。
子どもたちが生理中でも安心して学校生活を送る権利を、生理に関する教育を受ける権利を、大切にしていってほしい。自己責任ではなく、人権と社会の問題なのだと認識してほしい。
国際セクシュアリティ教育ガイダンスには、9~12歳の学習内容に「月経は秘密やスティグマとして扱われるべきではない」と書かれている。かつて行われてきたような、女子だけを教室に集めて、男子には内容も教えず隠すような月経教育は、秘密やスティグマ(差別・偏見)を助長してきたに違いない。
私は性教育に行くすべての学校で男女一緒に生理の話をしている。生徒からは「男子にも知っておいてもらえてよかった。今までより安心して過ごせそう」「女子がこんなに困っているなんて知らなかった。自分や社会ができることを考えたい」などの感想が見られる。
「最初は男女一緒に聞くことに抵抗があったけど、一緒に聞けてよかった」という感想は性別問わず多い。生理を科学的、包括的に学ぶことで、見方が変わる。タブー、我慢するもの、自分だけで解決するものではないと気づく。生徒の感想を読んでいると、未来が明るく感じられる。(了)
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にじいろ
元・保健室の先生(主に高校。小学校も経験有)。今はフリーランスの性教育講師/思春期保健相談士/二児の母/ 性教育は、健康教育・安全教...