漫画家で3児の母のおやまさんは、大の人見知りで、コミュニケーション能力(以下:コミュ力)は低め。
イベントや行事はもっとも苦手なジャンルだけど、子どもが保育園や幼稚園に入ると、運動会など避けて通れないものだったと言います。
コミュ力がゼロのママにとっては、園生活で直面する人間関係も不安要素がいっぱいです。日々の雑談のネタや、ママ友同士のいざこざに巻き込まれないマイルールとは?
人見知りママたちからの共感を巻き起こしているコミックエッセイ『コミュ力0(ゼロ)ママでも育児の人間関係なんとかなるよBOOK』(ワニブックス刊)をもとに、園生活での処世術をうかがいました。
※全4回の3回目(#1、#2を読む)。
話し相手は親より子どもを狙おう!
子どもが保育園や幼稚園などへ通い出すと、同時に避けては通れなくなるのが親同士の付き合いです。
人見知りで親同士の会話は苦手という漫画家・おやまさんですが、ある方法で、園の保護者たちとのコミュニケーションがラクになったと教えてくれました。
「いつも明るく、うちの子に話しかけてくれるママさんがいて、ふと気がついたんです。親同士で会話するよりも、子どもに話しかけるほうがハードルが低いのでは!? と」(おやまさん)
さっそく実践をしてみたおやまさん。
「ほかの子が見覚えのあるTシャツを着ていたら『うちの子もそれ好きなんだよ~』とか『かわいい帽子だね』とか、子どもに話しかけるんです!
ママと話すよりは緊張せず、自然とコミュニケーションがとれるようになりました」(おやまさん)
また、人見知りママには難関である《敬語からタメ口への切り替え》にも、少しずつチャレンジしていったというおやまさん。
「相槌を『ハイ』から『うん』に変えたり、別れの挨拶を、会釈して『では……』から、手を振って『またね~』に変えたりと、だんだん敬語を減らしてタメ口にしていきます。
敬語からタメ口になることで、ぐっと距離が近くなるような気がしますよね」(おやまさん)
いきなり本題を切り出す夫
ちなみに作中にも出てくるおやまさんの夫は、コミュ力がかなり高め。コミュ力“ゼロ”のおやまさんとのやりとりが絶妙で、夫からのアドバイスで気がつくこともたくさんあったと言います。
「夫と一緒に保育園のお迎えに行ったときのこと。他のママにいきなり『○○ちゃんって落ち着いていますよね。家でもあんな感じなんですか?』とか、いきなり聞きたいことの本題から話しかけるんでびっくりしました」(おやまさん)
一方おやまさんはついつい様子をうかがってしまいがちで「天気の話止まり」になることも。
「夫は会ってすぐ『そんな話からするの!?』という内容の話から始めるんですよ。
『うちの子野菜食べなくて困っているんですけど、○○ちゃんはどうですか?』とか、そばで聞いているとなんだか会話が弾んでいるんですね。
いきなり本題パターン、見習いたいなと思います!」(おやまさん)
気の合うママ友探しのマイルール
多くの親と関わり合うなか、「気が合いそうだなという人は少しずつ見つかっていくもの」とおやまさん。
「私が気が合いそうだなと感じるママの共通点は、《なんとなくおおらかそうな人》ですね。
いま、家族ぐるみで一番仲良くさせてもらっているママは絶対に誰かの悪口を言わないんです。そういう姿勢が素敵だなぁといつも思っています。
うちの子が通っている保育園のママも、やわらかい雰囲気のママが多いので入園後はホッとしました」(おやまさん)
とはいえ、なかには苦手なタイプもいるでしょうが、そんなママたちとの付き合いはどうしているのでしょうか?
「全員とコミュニケーション取る必要はなくて、気が合いそうだなという人だけと話せばいいと思っているんです。苦手な人との話をスルーするのってとても大事で、自分のなかで人付き合いのマイルールを作っておけばいい。
私のマイルールは、無理に話を合わせないこと。無理をしているとどこかでガクッとくるし、自分のこと嫌いになりそうになりませんか? 自分に素直に、自然と付き合える人がいいですよね」(おやまさん)
気が乗らないお誘いには、断る勇気も必要です。
「気が進まないお誘いってありますよね。特に予定はないけれど、家でゆっくりしようと思っていた……、なんて日とか。
そんなときでも、この先の付き合いを自分自身が億劫に感じないために、『体調がいまいちで』とか『予定があって』と伝えて、スパッと断るようにしています」(おやまさん)
コミュ力“ゼロ”でも行事は楽しめる!
園生活で直面するのは日々のコミュニケーションだけではありません。人見知りママたちにとってドキドキの行事もたくさんあります。
「はじめての親子遠足では、すでに出来上がっていたママ友グループがまぶしく感じられることもありました。
でも、集団行動も少なく、思った以上に緊張せずに終わったのでホッとひと安心。他の親御さんともゆるっと交流できて、ママ友がいなくても楽しめました」(おやまさん)
運動会では、クラスのグループLINEで学びがあったというおやまさん。
「運動会が終わって帰宅後、クラスのグループLINEに写真や動画をシェアしてくれる方がたくさんいたんです。みなさん自分の子ども以外のものも送ってくれて、気づかいがすごいなぁ~と感動しました」(おやまさん)
子どものころからイベントごとは苦手で、避けてきたおやまさん。でも、子どもの行事ばかりは逃げるわけにもいきません。
「大勢が集まるイベントでは、どうしても周囲の目が気になってしまうこともあるけれど『こんな気持ちではダメだ! 我が愛する娘の表情に注目しよう!』となんとか気持ちを奮い立たせました。
苦手意識は消えないけれど『子どもが楽しそうならそれでよし!』というマインドに切り替えました。これも今やマイルールです」(おやまさん)